資生堂ギャラリーで「そばにいる工芸」展を観てきました。
企画協力をした森岡督行は、以下のように述べています。
この度の「そばにいる工芸」では、「生活を美しくする工芸」に感謝する、を基盤とし、多様化する「工芸」にあって、削ぎ落とされた装飾、ともいうべきシンプルな工芸作品を選びました。吹けば消えてしまいそうな繊細なイメージは、むしろ、ともに時間と空間を分かち合う悦びを増幅してくれます。そのいろとかたちたるや。このことを少しでも共有出来たら望外の悦びです。
以下、6人の作家による作品
吉村和美
ピーター・アイビー
川端健夫
ハタノワタル
飛松広隆
鎌田菜穂
このテーブルの作品は手にとって観ることができます。
作家:鎌田菜穂、吉村和美、ピーター・アイビー、川端健夫、飛松弘隆、ハタノワタル
ガラスケースに入った作品
最上段:トルコ酒盃(純銀)、Object(純銀)・鎌田菜穂
デザートプレート9寸・川端健夫
二段目:Goblet1、Bottle H210・ピーター・アイビー
三段目:箱・名刺サイズ×2、筆箱・ハタノワタル
四段目:7寸ボウル・吉村和美
「そばにいる工芸」
資生堂ギャラリーでは2016年9月6日(火)から10月25日(火)まで、身近な生活の中にある工芸を紹介する「そばにいる工芸」展を開催します。資生堂は、「美しい生活文化の創造」を企業使命とし、1919年に資生堂ギャラリーを開設しました。開設当初から、生活を豊かにするものとして工芸に着目し、美術と同様に数多くの工芸の展覧会を催してきました。陶芸や漆芸などの工芸作家の個展、海外の美術工芸品展、日本の工芸の発展を目指し結成された団体の作品発表など、さまざまな展覧会を通して工芸とともに歩んできました。
1975年から1995年まで開催した「現代工藝展」は、工芸界の各分野からメンバーを選んで毎年展覧会を行い、「椿会展」とともに資生堂ギャラリーの企画展の柱となっていました。2001年から2005年まで開催した「life/art」展は、「現代工藝」を今日的に発展させたかたちとして、life(生・生活)とart(芸術・技術)との新たな関係性を探る展覧会でした。このような工芸への取り組みは、資生堂ギャラリーを代表する活動のひとつといえます。
今日、テクノロジーに頼ったモノや情報にあふれた生活から、自然に寄り添うシンプルな生活へと、ライフスタイルをシフトする人が増えています。そして、日々の暮らしで使用する道具を丁寧に選び、大切に使う生活が見直されています。また、日本の工芸は海外でも注目されていますが、これまで知られていた職人による技巧だけでなく、最近は、素材と真摯に向き合って作られた、味わいあるミニマルな日本の工芸品への人気も高まっています。
本展は、日常の生活のなかでそっと人間と寄り添う工芸をテーマにしています。展示するのは「森岡書店」の代表・森岡督行氏の協力を得て、暮らしの基本となる「食」と「住」の側面から選んだ6名の工芸作家の作品です。― 鎌田奈穂(金工)、川端健夫(木工)、飛松弘隆(陶磁器)、ハタノワタル(和紙)、ピーター・アイビー(ガラス)、吉村和美(陶芸)― 彼らがつくる、スプーンやフォークなどのカトラリー、照明、箱、ガラス容器、うつわなどの作品は、シンプルでも細部へのこだわりがあり、見た目も美しく、使う人のことが意識されています。
展覧会では、6名の作家の新作を含む作品を1人数点ずつ展示します。また彼らのアトリエや制作の様子など、作品が生まれる背景も映像で紹介する予定です。
強く主張はしないけれどあたたかな存在感のあるこれらの工芸品は、日々の生活を豊かにするエッセンスとなるでしょう。ぜひご高覧下さい。
企画協力:森岡督行(もりおか よしゆき)
1974年生まれ。「一冊の本を売る書店」がテーマの株式会社森岡書店代表。著書に『写真集 誰かに贈りたくなる108冊』(平凡社)、『BOOKS ON JAPAN 1931-1972 日本の対外宣伝グラフ誌』(ピー・エヌ・エヌ新社)、『荒野の古本屋』(晶文社)等。『芸術新潮』の巻頭ページ連載中。新潮社『工芸青花』編集委員。2015年には三越日本橋店で「森岡百貨店」を開催。2016年には21_21 DESIGN SIGHTで開催された「雑貨展」に出展者として参加。
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