府中市美術館で「藤田嗣治展―東と西を結ぶ絵画」を観た! | とんとん・にっき

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府中市美術館で「藤田嗣治展―東と西を結ぶ絵画」を観てきました。観に行ったのは10月6日、前期が始まってすぐに観に行きました。1カ月半も前のことでした。やっとブログに登場、なんだこの遅れは、と自分でも驚いています。従って公園の緑も、今はだいぶ紅葉が進んでいると思います。


「藤田嗣治展―東と西を結ぶ絵画」、藤田嗣治関連の展覧会のなかでも、さまざまな意見はあるでしょうが、僕にはいちばん、藤田の全体が、あるいは全体像がわかる展覧会だったと思いました。26歳でフランスに渡り、陶器を思わせるような滑らかな光沢を放つ白い肌の美しい裸婦像で一躍パリ画壇の寵児となりました。この時代の作品が、藤田の特徴をとらえた、もっとも知られている作品なのではないでしょうか。


しかし、東西の豊かな土壌の上に花開かせた藤田は、二つの文化に引き裂かれ、苦しみを味わいます。戦争画を巡る過熱した責任論は、藤田が背負った重い十字架でもありました。その誹謗中傷を背に、藤田は日本を去ります。秋田県立美術館で観た「秋田の行事」など、あるいはそれ以降の藤田の作品は、地方に根差し土俗化し、ますます重くなっていきました。その後、子どもたちに目を向けた藤田は、数々の名作を残しました。そして最晩年はランスの礼拝堂の建設に力を注ぎます。完成から1年余りでこの世を去ります。


僕が今まで観た藤田嗣治関連の展覧会を、下に載せておきます。


小栗康平監督・脚本「FOUJITA」を観た!

藤田嗣治を描く日仏合作映画!

夢見るフランス絵画展 藤田嗣治の作品!

東京国立近代美術館の藤田嗣冶!
ポーラミュージアムアネックスで「フジタ、夢をみる手」を観た!
秋田県立美術館で「壁画《秋田の行事》からのメッセージ」を観た!
Bunkamuraザ・ミュージアム「レオナール・フジタ―ポーラ美術館コレクション」!

渋谷区立松濤美術館で「藤田嗣治と愛読都市パリ」を観た!

上野の森美術館で「レオナール・フジタ展」を観た!

秋めいてポーラ美術館


「藤田嗣治展―東と西を結ぶ絵画」、会場および出品リストは、おおむね年代順になっています。展覧会の構成は、ここでは図録によります。


展覧会の構成は、以下の通りです。


Ⅰ 模索の時代 1909-1918

Ⅱ パリ画壇の寵児  1919-1929

Ⅲ さまよう画家  1930-1937

Ⅳ 戦争と国家  1938-1948

Ⅴ フランスとの再会  1949-1963

Ⅵ 平和への祈り  1952-1968



Ⅰ 模索の時代 1909-1918



Ⅱ  パリ画壇の寵児  1919-1929




Ⅲ さまよう画家  1930-1937




Ⅳ 戦争と国家  1938-1948




Ⅴ フランスとの再会  1949-1963



Ⅵ 平和への祈り  1952-1968



藤田嗣治年譜:府中市美術館


fuji1

「藤田嗣治展―東と西を結ぶ絵画」

26歳でパリに渡った藤田嗣治(1886-1968)は、試行錯誤の末に生み出した独自の画風で一躍パリの寵児となります。製法を秘して語らなかった乳白色に輝く下地、面相筆で引かれた流麗な墨の線。日本的で繊細な美意識と巧みな技術が、人々を魅了したのです。そして、その個性を引き立てたのは、裸婦や自画像といった西洋の古典的な画題でした。藤田は西洋絵画の伝統に正面から向き合うことで、ヨーロッパの人々に真に認められることを目指したのです。それは「東と西を結ぶ絵画」と呼ぶに相応しいものでしょう。

しかし一方で、二つの世界を背負った彼は、両者に引き裂かれるような苦しみも味わいます。パリでの評価を重ねるほどに大きくなる、嫉妬と羨望の入り混じった日本画壇からの反応。さらに、戦後は戦争画制作の責任を問われ、追われるように日本を去ります。そして、フランスでキリスト教に改宗し、晩年は礼拝堂の建設と壁画制作に没頭しました。祖国との間に生まれた深い傷を癒すような祈りにも似た創作の日々を重ね、81歳で没します。

このたびの展覧会では、東西文化の融合と対立に注目しながら藤田の創作の歩みをたどります。華やかな成功に彩られながら、苦しみや葛藤にも満ちた彼の生涯ですが、作品のひとつひとつからは「描くこと」に真摯に向き合った画家の姿が見えてきます。

近年ランス市に寄贈された未公開作品など、国内外の代表作により藤田の作品世界の全貌を紹介します。通常よりも会場規模を拡大し、大作を含むおよそ110点をご覧いただきます。


「府中市美術館」ホームページ


fuji1 生誕130年記念

「藤田嗣治展―東と西を結ぶ絵画」

図録

編集:

名古屋市美術館

兵庫県立美術館

府中市美術館

中日新聞社

発行:

中日新聞社

©2016







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