帝釈堂法華経説話彫刻について
帝釈堂の内外には、数多くの木彫がほどこされているが、特に帝釈堂内陣の外側にある、十枚の胴羽目彫刻は、仏教経典の中でも最も有名な「法華経」の説話を選び出して彫刻したものである。
この法華経説話彫刻は、当山第十六世観明院日済上人の発願になるもので、篤信者鈴木源次朗氏の丹精協力を得て、大正末期より昭和九年に至る十数年の歳月を費やして完成したものである。
因みに大正十一年、まず加藤寅之助師が「法師守護の図」を完成したが、氏の発案によって残りの九枚を東京在住の名人彫刻師に依頼することが決まり、大きな欅（けやき）の彫刻材が各師のもとに運び込まれた。しかるに大正十二年、折からの関東大震災に遭って彫刻材を焼失したのである。そこで新ためて、欅の彫刻材を全国に求め、昭和初年ようやく巨大な欅材を得て、本格的な彫刻工事が始められたのである。従って、得難い彫刻材と言い、木彫技術の点についても希有なもので、文化財的価値の極めて高いものである。
彫刻した絵は、法華経の絵と黄の図を参考にして、高山英洲師が描いたもので、独特の構図を示している。因みに一枚板の大きさは、縦巾4尺2寸（1.27メートル）、横巾7尺5寸（2.27メートル）、厚さ20センチの、ふすま大の欅材である。尚、堂の内外にある、数多くの木彫と共に鑑賞されることを望むものである。
帝釈天題経寺（日蓮宗）
「塔供養の図」序品第一 金子光清作
「三車火宅の図」譬喩品第三 木嶋江運作
「慈雨等潤の図」薬草喩品第五 石川信光作
「法師修行の図」法師品第十 横谷光一作
「多宝塔出現の図」見宝塔品第十一 石川銀次朗作
「千載給仕の図」提婆達多品第一二 加府藤正一作
「龍女成佛の図」堤婆達多品第一二 山本一芳作
「病即消滅の図」薬王菩薩本事品第二十三 今関光次作
「常不軽菩薩受難の図」常不軽菩薩品第二十 小林直光作
「法華経功徳の図」薬王菩薩本事品第二十二 小林直光作
「法師守護の図」陀羅尼品第二十六 加藤寅之助作
「帝釈天題経寺」ホームページ
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