岩波書店「漱石文学作品集」全16冊を開けた! | とんとん・にっき

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朝日新聞朝刊で、夏目漱石「こころ」100年ぶり連載、が好評を博していたようです。それも9月25日の「先生の遺書(110)」で終わり、26日には「反響編」が掲載され、「こころ」をもっと知るために、ということで、3冊の本が紹介されていました。


・「心の力」(姜尚中著、集英社新書、778円)

・「漱石「こころ」の言葉」(矢島裕紀彦編、文春新書、788円)

・「夏目漱石「こころ」をどう読むか」(石原千秋編、河出書房新社、1836円)


それはそれとして、「こころ」が大ブレークした後の10月1日からは、夏目漱石の「三四郎」が連載されるようです。実は僕は、新聞小説が好きではなく、朝日新聞に「こころ」が連載されている間、一度も読んだことはありませんでした。もったいないとは思いながら、なぜか今まで一度も新聞小説は読んだことがありません。もちろん全部ではなく、漱石の本は好きなものを好きな時に好きなだけ、文庫本で読みました。


なんかの必要があって漱石の「三四郎」を、一番最近に読んだのかと思っていたら、どうもそうではなく、2005年年末に水村美苗の「続明暗」を読んでから、夏目漱石の「明暗」を読み直したようです。したがって、漱石を読んだのは2005年年暮を最後に、10年近く読んでいないということがわかりました。


最近では東京藝術大学大学美術館で「夏目漱石の美術世界展」がありました。展覧会の主旨は、伊藤若冲、渡辺崋山、ターナー、ミレイ、青木繁、黒田清輝、横山大観といった古今東西の画家たちの作品を、漱石の眼を通して見直してみる、ということでした。そのときに、ターナーの絵と「坊ちゃん」のなかの会話が取り上げられて話題になったりもしました。そこで「漱石文学作品集」について、以下のように書きました。


実は、時間ができたらゆっくりと“晴耕雨読”でと思って、岩波書店版の「漱石文学作品集(全16冊)」(1990年11月19日第1刷発行)を購入してあるのですが、箱入りで届いたときに一度だけしか開けたことがなく、押し入れの奥深くに入ったままです。いま、その付録としての大野淳一編集の「漱石文学地図」(A0版:1990年11月19日第1刷発行)を広げて見ているところです。これがなかなかの優れもの、漱石ファン必携です。明治44年5月「実用東京全図」の上に漱石関連の場所をプロットしてあり、周りには本になった漱石の著作が囲んでいます。そうそう、岩波書店の旧社屋正面入口の社名は夏目漱石の筆によるもので、岩波のロゴとして今でも使われているので、目にした方も多いでしょう。


「歳を取って暇ができたらゆっくり読むか」と思って買っていた「漱石文学作品集」です。24年前に購入したものが、押入れの奥深くに眠っていました。漱石の本はだいたい文庫本で読んでいたので、この全集はまったく開くことなく、手を付けることはありませんでした。ただし、付録の「漱石文学地図」はときどき開いて見てはいましたが…。


実は、岩波書店の「漱石礼賛―姜尚中と読む「夏目漱石」―」という4回続きのセミナーに、当選して参加することになりました。岩波書店から漱石「こころ」が刊行されて100年を記念する連続セミナーです。講師は、姜尚中(聖学院大学学長)です。それに備えて、セミナーに関連する文庫本を購入しようと岩波ブックセンターに行ったら、なんと講義の当日からしか販売しないという。買いに行ったのは9月7日、セミナーの第1回目は9月12日、5日前のことです。当日じゃ意味ないですよね。


送られてきたセミナー聴講券には「岩波ブックセンター信山社に、関連書販売コーナーがあります」とわざわざ書いてあるにもかかわらず、です。しかたなしに押入れの奥から「漱石文学作品集」の入っている箱を出した、というわけです。


が、しかし、実は事情があって、「漱石礼賛―姜尚中と読む「夏目漱石」―」に出席することができなくなりました。したがって、せっかく押入れの奥から出した岩波書店「漱石文学作品集」全16冊は、読まれることなく、押入れにしまいこまれることになりました。24年前に購入した、きれいなままです。いつになったらゆっくり読むことができることやら…。


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「漱石礼賛―姜尚中と読む「夏目漱石」―」

セミナー聴講券

日時:9/12・9/19・10/17・10/24(すべて金曜日)

場所:岩波アネックスビル3階セミナールーム

第1回(9/12)

幻想と超俗―「漾虚集」「夢十夜」「草枕」を読む

第2回(9/19)

 ユーモアと「逸民」の夢―「吾輩は猫である」を読む

第3回(10/17)

 「末人」と「迷子」―「三四郎」「それから」「門」を読む

第4回(10/24)

 「父母未生以前」と「魂の相続」―「こころ」を読む

テキスト 各回で扱う本をお持ちください。

なお、岩波アネックスビル1階・岩波ブックセンター信山社に、関連書販売コーナーがあります。


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