金原ひとみの「ハジケテマザレ」を読んだ! | とんとん・にっき

金原ひとみの「ハジケテマザレ」を読んだ!

 

金原ひとみの「ハジケテマザレ」(講談社:2023年10月3日第1刷発行)を読みました。

 

バイト仲間のYouTuber彼氏を襲撃、先輩に誘われて初めてのクラブで爆踊り、激辛フェスで後輩のプロポーズをプロデュース……

「普通は尊いし、普通は貴重だし、普通はむしろ普通じゃありません」

 

コロナで派遣切りに遭った「私」は食い繋ぐためにイタリアンレストラン「フェスティヴィタ」に辿り着く。ベテランのマナルイコンビ、超コミニュカティブバーリーピーポーのヤクモ、大概の欠点ならチャラになるくらいかわいいメイちゃん、カレーとDJに目覚めたフランス人のブリュノ、ちょってうさんくさい岡本くん・・・バイト仲間との愉快で切実な日々を描いた作品集。

 

ウルトラノーマルな人生を祝福する、

最高のバイト小説!

 

ブリュノは、激辛フェスに出すためのアラビアータを試作していた時、思いつきでカレー粉を投入。あまりの美味しさに驚いたブリュノはその後次から次へとあらゆる料理にさりげなくカレー粉を入れるようになり、だったらカレー作ればいいのにというマナルイさんたちのアドバイスによりカレー研究を開始。手始めにフェスティヴィタ三丁目店元店長がレシピを書いているnoteを全て購入してレシピを実践、時を同じくして店で賄いカレーを始め、そのカレーが従業員たちの間で話題沸騰。フロアスタッフの依恒くんが初めての音楽フェスに出演した際、コネでフェス飯に出店しカレーを販売したらフェス常連店を蹴散らし、新参者なのに三十店舗中売り上げ五位を記録。SNS上でも「イタリアンレストランが前代未聞の前衛カレーで賛否両論を巻き起こす!」と話題になったため、フェスティヴィタでもランチメニューに入れてみようを言うルイコさんのゴリ押しにより「きまぐれかれー」として登場させて以来、圧倒的注文数一位のまま走り続けているのだ。最初はチキンコルマやブラウンマサラなど、皆からかろうじて名前を知っているカレーを作っていたものの、次第にカレー難易度が上昇、ここしばらくはサムンダリ ジャルパリ、フィッシュヘッドカレー、ミントとマトンのビリヤニ、など名前だけでは味が全く想像できないカレーを作るようになってきた。

 

金原ひとみ:

1983年東京都生まれ。2003年に「蛇にピアス」で第27回すばる文学賞を受賞し、デビュー。翌年同作で第130回芥川龍之介賞を受賞。2010年「TEIP TRAP」で第27回織田作之助賞、2012年「マザーズ」で第22回Bunkamuraドゥマゴ文学賞、2020年「アタラクシア」で第5回渡辺淳一文学賞、2021年「アンソーシャルディスタンス」で第57回谷崎潤一郎賞、2022年「ミーツ・ザ・ワールド」で第35回柴田錬三郎賞を受賞。ほかの著書に「AMEBIC」「オートフィクション」「fishy」「パリの砂漠、東京の蜃気楼」「デクリネゾン」「腹を空かせた勇者ども」など。

 

過去の関連記事:

金原ひとみの「腹を空かせた勇者ども」を読んだ!

金原ひとみの「パリの砂漠、東京の蜃気楼」を読んだ!

金原ひとみの「デクリネゾン」を読んだ!

金原ひとみの「fishy」を読んだ!

金原ひとみの「アタラクシア」を読んだ!

金原ひとみの「ミーツ・ザ・ワールド」を読んだ!

金原ひとみの「アンソーシャル ディスタンス」を読んだ!

やっぱり書くか「蛇にピアス」

蜷川幸雄監督の「蛇にピアス」を観た