東京都写真美術館で「人間讃歌 田沼武能」を観た!その2 | とんとん・にっき

東京都写真美術館で「人間讃歌 田沼武能」を観た!その2

「人間讃歌 田沼武能」チラシ

 

 

東京都写真美術館で「人間讃歌 田沼武能」を観てきました。
 
展覧会の構成は、以下の通りです。
第1章 戦後の子どもたち
第2章 人間万歳
第3章 ふるさと武蔵野

ヒューマニスティックなまなざしで70年以上写真を通して人間のドラマを描き続けてきた日本写真界の巨匠、田沼武能の傑作を展示!

 
田沼武能は、東京写真工業専門学校(現・東京工芸大学)卒業後、写真家・木村伊兵衛に師事し、『芸術新潮』の嘱託写真家として芸術家や文化人を撮影、その後はタイム・ライフ社の契約写真家となるなど、フォトジャーナリズムの世界で華々しい活躍を展開しました。1972年からはライフワークとして世界の子供たちを撮影、黒柳徹子ユニセフ親善大使の各国訪問に私費で同行取材を行い、生涯で130を超える国と地域に足を運びました。
田沼は国内外で精力的な取材活動を展開し、自身の作品を発表し続け、その旺盛な好奇心と行動力は生涯衰えることはありませんでした。その一方で、母校・東京工芸大学で後進の指導にあたり、日本写真家協会会長、日本写真著作権協会会長、日本写真保存センター代表など写真界の要職を歴任しながら、わが国の写真文化の普及啓発、写真の著作権保護にも力を注ぐなど、大きな役割を果たしました。本展では未発表最新作「武蔵野」を初公開するとともに、ヒューマニスティックなまなざしで人間のドラマを描き続けてきた田沼の70年を超える写真家としての軌跡を辿ります。
 

田沼 武能(たぬま・たけよし)

1929年、東京・浅草生まれ(2022年6月1日没)。1949年にサン・ニュース・フォトスに入社後木村伊兵衛に師事。1966年、アメリカのタイム・ライフ社と契約。ライフワークとして世界の子供たち、人間のドラマ、武 蔵野や文士・芸術家の肖像を撮り続けた。1995年から2015年まで日本写真家協会会長を務める。同年、東京工芸大学教授に就任(2004年より名誉教授)。1979年モービル児童文学賞、1985年菊池寛賞などを受賞。1990年紫綬褒章、2002年勲三等瑞宝章を受章、2003年文化功労者に表彰され、2019年に写真家初の文化勲章を受章。2020年朝日賞特別賞を受賞。

 

本展の見どころ

1. 逝去後初となる大規模回顧展! 205点の傑作を一挙展示

2. 3章構成で辿る、70年以上にわたる写真家人生の軌跡

3. 「武蔵野」シリーズより、未発表作品を初公開!

TOPICKS 1  逝去後、初となる大規模回顧展!205点の傑作を一挙展示

田沼武能は1929年に東京、浅草の写真館の子として生まれました。2022年6月に93歳で急逝するま で、70年あまり写真家として活躍し、日本写真界に多大なる功績を残しました。本展は、田沼の逝去後初 めて開催する大回顧展です。

TOPICKS 2  3章構成で辿る、70年以上にわたる写真家人生の軌跡

ここでは、以下、第2章人間万歳を載せます。

 

第2章「人間万歳」

 何よりも人間の「生きる姿」に興味を持った田沼は、生涯のライフワークとして世界の子供たちをはじめ、世界の人々の写真を撮影することに注力しました。1975年以降は発展途上国の子供たちにも目を向け、1984年からは黒柳徹子ユニセフ親善大使の緊急援助国訪問に毎年自費で同行取材を行いました。この同行取材は、新型コロナウイルス感染症拡大により海外渡航が制限される前年の2019年まで、35年にわたり継続され、田沼は実に130を超える国々を訪問しました。

第2章では、85点の作品を通して、田沼を魅了してやまなかった世界の子供たち、世界の人々のまな ざしに触れます。

 

「教会から出てきた新郎は花嫁を抱いてキス、
参列者は大喜び」ベラルーシ ゴメリ、1995年

 

「ぼくに弟が生まれた」日本 東京、1986年

 

「教会洗礼式で神父の十字架をいたずらする幼児」
ベラルーシ ゴメリ、1995年

 

「水汲みにきたベトナム難民の子ども」
タイ バンナミャオ難民キャンプ、1979年

 

「子どもロデオ大会に出場する少女」
アメリカ デンバー、1976年

 

「コカの葉を噛むインディオの男」
ペルー ブーノ地方、1978年

 

「板に書かれたコーランで勉強」モーリタニア、1997年

 

「下痢がつづき瘦せ細った子ども」
バングラデシュ ダッカ、1990年

 

「干ばつで干上がった川底を掘って水を汲む」
タンザニア ドドマ郊外、1984年」

 

「農村では家長を中心に大家族がまとまる」
インド ファテブル、1986年

 

「聖地巡礼の祝祭に夜を徹して踊りあかす人びと」
スペイン アンドゥハル、1975年

 

「カーニバルでサンバに酔いしれる踊り手」
ブラジル リオデジャネイロ、1973年

 

「遊んでいた少年がやおら川に口をつけて水を飲む」
スーダン ナーセル、1993年

 

「集落の門の中から様子をうかがあう少女」
オマーン ナズワ郊外、1983年

 

「怖いよ!」ガーナ、1982年

 

「初めて聞いた心臓音にびっくり仰天」
グアマテラ、1991年

 

第1章 戦後の子どもたちはその1に、第3章 ふるさと武蔵野はその3に載せます。

 

「人間讃歌 田沼武能」

編集:関次和子(東京都写真美術館)

発行:公益財団法人東京都歴史文化財団東京都写真美術館

2023年6月2日初版第1刷発行

 

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