「石原莞爾と満州帝国」を読んだ! | とんとん・にっき

「石原莞爾と満州帝国」を読んだ!

とんとん・にっき-man2


「石原莞爾と満州帝国 夢と野望の『大帝国』の実像」(人物往来社:2010年2月7日第1刷発行)を読みました。編者は『歴史読本』編集部とある通り、『歴史読本』特集「石原莞爾と満州帝国」(2009年9月号)を再編集したものです。佐野眞一の「阿片王 満州の夜と霧」に続いて読んだ本です。僕にしてはめずらしく人から借りた本で、その辺の事情は、羽田澄子の「遙かなるふるさと 旅順・大連」の項に書きましたが、やや強引に手渡された2冊のうちの1冊です。


本のカバーには「“満州帝国”の実像と建国の立役者・石原莞爾の知られざる人生」として、以下のようにあります。


満州帝国の興亡および石原莞爾・甘粕正彦の思想と行動を高度成長という視座から読み解く松本健一と佐野眞一の対談、石原莞爾の人生の軌跡を明らかにする「石原莞爾の生涯」、わずか5ヶ月で満州全土を占領した戦闘を追跡する「ドキュメント満州事変」、“文化創造・謎の機関・満蒙の日本女性”という視点から満州国に迫った「満州の実像」、満州国に夢を賭けた人びとの波乱の半生を描いた「満州をめぐる群像」、満州のさまざまな疑問に答える「満州と日本の歴史」等々を掲載。


目次を見ると、以下のようです。

第1章 特集対談 満州帝国の二人の帝王―石原莞爾・甘粕正彦の思想と行動 松本健一vs佐野眞一

第2章 石原莞爾の生涯 阿部博行

第3章 「満州と日本の歴史」を知る一問一答 小林英夫

第4章 ドキュメント満州事変 戸部良一

第5章 「夢と野望の大帝国」満州の実情 清水孝・五十嵐憲・池田浩士

第6章 満州をめぐる群像

第7章 最新研究 満州帝国


執筆者は総勢18名、わずか100年ほど前のこととはいえ、「満州帝国」については、僕はほとんどなにも知りませんでした。僕が知りたかったことが次々と書いてあり、人から借りた本とはいえ、登場人物がけっこう人間味が溢れていて、面白い本でした。ジャッキー・チェン総指揮の「1911」は、1911年10月10日の辛亥革命を描いたものです。歴史の見直し、再評価が始まっています。


一つ一つ取り上げればきりがありませんが、この本の中で一つと限れば、第7章最新研究満州帝国の項、増田弘が書いた「石橋湛山の“満州放棄論”」が最も印象に残っています。日米開戦を危ぶみ満州に託された理想に真実を突きつけた、当時雑誌「東京経済新報」に掲載された「支那と提携して太平洋会議に臨むべし」という、満州を否認した石橋湛山の論文です。


関連記事:

佐野眞一の「阿片王 満州の夜と霧」を読んだ!
羽田澄子の「遙かなるふるさと 旅順・大連」を観た!