損保ジャパン東郷青児美術館で「ウフィツィ美術館 自画像コレクション」展を観た! | とんとん・にっき

損保ジャパン東郷青児美術館で「ウフィツィ美術館 自画像コレクション」展を観た!



損保ジャパン東郷青児美術館で「ウフィツィ美術館 自画像コレクション」展を観てきました。フィレンツェのヴェッキオ宮殿からウフィツィ美術館、当時は国や組合の事務所でしたが、を通りぬけて、アルノ川にかかるポンテ・ヴェッキオ(ヴェッキオ橋)を通り、ピッティ宮殿まで、続く長い廊下です。その全長は約1km、この廊下をつくったジョルジョ・ヴァザーリにちなんで「ヴァザーリの回廊」と呼ばれています。ここに画家たちの自画像が集められています。その数1700点にもなるそうです。


ウフィツィ美術館の心臓部でもある「自画像コレクション」が、今回初めて日本へやってきました。約60名の自画像を一堂に展示、知られた画家の名前もたくさん見かけました。ヴァティカンのサン・ピエトロ広場を設計したベルニーニ、100人以上の肖像画を描いたと言われるレンブラント、ヴェネツィアの巨匠チントレットの娘ティントレッタ等々。またニコラ・ファン・ハウブラーケンの「花輪のなかの自画像」は、だまし絵的です。アンニーバレ・カラッチはその題名の通り「イーゼル上の自画像」を描いています。ヨハンネス・グンプの自画像は画家の背中と鏡に映った顔2面が描かれています。


ジェームズ・アンソールやモーリス・ドニの画像も、あるいは、デ・キリコやジャコモ・マンズーも、そして自分から寄贈を申し入れたというマルク・シャガールの自画像もありました。僕はエリザベート・シャプランの「緑の傘を手にした自画像」が気に入りました。画家はまるで少女のようにも見えます。もちろん今回の自画像の中で圧巻なのは、「マリーアントワネットの肖像を描くヴィジュ=ル・ブラン」ということに議論の余地なしです。いや、抜きん出て美しく、素晴らしい!


20世紀になると抽象的な表現が出てきます。タピエスは「AT」というイニシャルだけを描き、ベルエンストラーラは幕の間から鼻だけをのぞかせたものを描いています。「自刻像」という名の彫刻も2点、ヴェントゥリーノ・ヴェントゥーリとマリノ・マリーニの作品がありました。ミケランジェロ・ピストレットの作品は鏡面のステンレスにシルクスクリーンで描かれています。アルヴァッロ・モンニーニの作品は、湾曲した多層合版を使ったカラフルな幾何学的抽象画です。アイヴァン・ル・ロレイン・オルブライトの作品は、執拗なまでに細部を描いた不気味な作品です。


また日本人の作品としては、藤田嗣治の意外に小さな作品でしたが「猫のいる自画像」、その他に草間弥生の「自画像」、横尾忠則の「眠っている私」、そして杉本博司の「歪曲的宙感」が、初めて出されていました。


展覧会の構成は、以下の通りです。

第1章 レオポルド枢機卿とメディチ家の自画像コレクション

第2章 ハプスブルク=ロートリンゲン家の時代

第3章 イタリア王国の時代

第4章 20世紀の巨匠たち

第5章 現代作家たちの自画像と自刻像






ヴェッキオ宮殿からピッティ宮殿へ

フィレンツェには1989年、1990年、2004年の3回、行きました。フィレンツェはルネサンス建築や美術の宝庫です。毎回、ウフィツィ美術館に行きました。下の画像は1990年に行った時のものです。残念ながら、「ヴァザーリの回廊」には行きませんでした。辻邦生の「春の戴冠」を読んで、是が非でもフィレンツェに行きたくなり、いやウフィツィ美術館へ行って、ボッティチェッリの作品を観たいと思ったわけです。「ボッティチェッリの間」にある「ラ・プリマヴェーラ(春)」と「ヴィーナスの誕生」です。最初に観たときはもちろん、体が震えるほど感動しました。



   

「ウフィツィ美術館自画像コレクション」展

巨匠たちの「秘めた素顔」1664-2010
当館では2005年から3回にわたり、魅力あふれるイタリア美術の展覧会を開催してまいりました。今回はルネサンス芸術を生んだ「花の都」フィレンツェから、その核心ともいうべきウフィツィ美術館の所蔵する「自画像コレクション」を日本で初めてご紹介いたします。ヴァティカンのサン・ピエトロ広場を設計したベルニーニ、マリー・アントワネットの肖像画家ル・ブラン、輝くような美女を描いたアングルからシャガール、未来派まで、近代ヨーロッパ最古の美術館ならではの伝統と革新性をあわせもつラインナップで約60名の素顔を一堂に展示。この秋は、華やかな活動のかげに秘められた芸術家たちの思いにふれてみませんか。

ヴァザーリの回廊

観光客でにぎわうフィレンツェの名所、ポンテ・ヴェッキオ。じつは、人々の頭上に静かな回廊が通っており、「自画像コレクション」の展示スペースとなっています。しかし、一般公開されず予約見学制であるため、その存在はあまり知られていません。回廊の設計者は、ウフィツィの建築もてがけた画家・建築家のジョルジュ・ヴァザーリ。注文主である初代トスカーナ大公コジモ1世・デ・メディチは、オーストリアやスペイン、フランスが強大な中央集権国家として台頭した16世紀に、建築や美術に力を入れることによって、諸宮廷にフィレンツェの存在感を高めようとしました。

自画像コレクション

1664年に「自画像コレクション」を創始したトスカーナ大公の弟レオポルド・デ・メディチは、自画像が芸術家のスタイル・芸術館・世界観・自意識などのすべてを内包していると考えました。以後、代々の統治者の努力によって「自画像コレクション」は西洋美術家の総カタログともいうべきコレクションに成長。まさに「美術家の殿堂」として、各国の目をフィレンツェに向けさせる文化戦略の象徴となりました。現在も続けられる収集活動の結果、コレクション総点数は1,700点以上に達しています。それぞれの美術家が自己申告した相貌とじっくり対話していくうちに、芸術の都フィレンツェの歴史と、400年以上にわたる西洋美術の広がりが見えてくる展覧会です。


「損保ジャパン東郷青児美術館」ホームページ

とんとん・にっき-uf15 「ウフィツィ美術館自画像コレクション」展

巨匠たちの「秘めた素顔」1664-2010

ジュニア版ブックレット
編集・発行:損保ジャパン東郷青児美術館

発行日:2010年9月11日

定価:300円











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