ワコール希望退職、募集150人に対して200人以上応募 | とんきちのブログ

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ランジェリー、ファンデーション業界の女王ワコールの苦戦が続いている。

 

男性からすると着用することのない(趣味でつけることはあるが)ブラジャー、これって結構高い。

量販店でも3000円くらいする。

ワコールの量販店ブランドのウィングで4、5000円。

百貨店やショップなどのワコールでは7000円以上の商品も多い。

 

構造もかなり複雑だ。

大きく分けてストラップとカップとなるが、ワイヤーブラでは、カップはワイヤー、カップ基布、パッド、レースなどで構成されている。

女性コンシューマーはレースを重要視する。これが結構なお値段する。私からしたら、高いのも安いのもどっちもよく似たようなもんやんと思うが違うらしい。

 

当然、布を裁断して縫製するだけの工程の肌着よりも工賃が高くなるわけだ。それも熟練した縫製工場でないと難しい。

 

そんな感じで、他社とは品質の差をつけ、カウンセリングなどの店頭営業で業界の女王の座に君臨し続けてきたのだが、転機はユニクロの女性インナー分野への参入、台頭だろう。

 

十数年前にユニクロが発売開始したカップ付きインナー。

構造はブラジャーとは大きく異なり、主に布と成型のパッドで出来ているから、当然ブラジャーと比較して生産コストは安い。

着心地が良くなければ売れなかっただろうが、ブラジャーの締めつけ感、付け跡、背中のラインがひびく、はみ肉、高価などの短所を解消してしまった。

逆に持ち上げ効果や乳房の形を維持、補正する効果は薄れるが、先の短所の解消のメリットの方が上回り、一気にブレイクししまむらや量販店などにも普及した。

 

ここで大きくブラジャーの着用比率が低下した。

 

また、ワコールの顧客層の高齢化も影響している。

バブルの頃は男女若年層で可処分所得が多く、ランジェリーファンデーションにお金をかける人も多かったし、ワコールやトリンプなどのトップメーカーと量販店メーカーはクオリティ、ファッション性にも大きな差があった。

だから、社会人になったらワコール着けたいという憧れもあったのだろう。

 

しかし、そういう時代に主要な顧客となっていた人たちも今や50代以上だ。当然購入人数も少なくなっているし、継続ユーザーでも購入頻度は減っている。

今の20代、30代が新たな顧客層になっていればいいのだが、ユーザー人口ピラミッドで表すと、風船型というようなエントリー層が少なく中高年層が膨らんでいるよろしくない形になっている感じだ。

(具体的な数字を知っている訳ではないので、私の主観として読んでください。)

 

何故若年層が顧客に取り込めていないか?

 

一つは若年層の就労環境、昔はスーパーのレジ、会社の事務員等、正社員としての就職先が多かった。

しかし、それらはパートに置き換えられたり、機械化で省力化されたりと、正社員としての就職先が狭まったことがあげられる。

マクロで見ると、ランファンに掛けられる総額が減少してしまっている。

 

また若年層がランファンのハイブランドに対する価値観も変わってきているのもある。

自分達のカジュアルなファーストファッションと華やかなレース付きのブラジャーではチグハグな感じになってしまう。

そういうのを着けるのはスーツやかっちりした着こなしの時だけというような感じで、所有枚数も多くはならない。

 

長々と書いたが、希望退職の募集に対して、応募者が大きく上回った理由は、応募者達がこの先も厳しいなと思っているからだと思う。

一過性の業績不振なら、頑張って立て直そうという意欲も湧いてくるのだろうが、先述のような状況を社員は肌で感じているのだろう。

 

この窮地を打破するには、若年層ユーザーの開拓が最優先課題だ。

それには、価格を下げるのか、イメージ戦略でいくのか、画期的な新商品を開発するのか、やり方は色々あると思うが、これなくしては未来がない。