無印良品、ジェノサイド問題への加担継続表明する一方、カゴメは同問題からの脱却を表明 | ボルタのブログ

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本文は、4月15日の日経新聞の要旨及びそれに関するコメントです

要旨

 中国による一連のウイグル人弾圧行為であるジェノサイド問題が世界中で注目され、人権を重視する投資家の視線は厳しくなっている。その最中、無印良品を運営する良品計画は14日、中国がウイグル人を強制させて生産させた新疆綿を用いた衣料品の販売を続ける方針を示した。一方で、良品計画の松崎社長は会見で人権問題に関する質問に答えず、会社側は人権を重視した調達を実施していると説明したプレスリリースの範囲の回答にとどめ、ジェノサイド問題から目を背けている。

 同社は独立した監査機関に調査を依頼し、新彊綿に重大な問題点はなかったと述べた。そして、取引している新彊綿が法令に違反した場合取引を停止すると言及した

 

コメント

・欧米諸国は3月22日にジェノサイド問題で中国に制裁を科している。欧米では、ジェノサイド問題は、かの悪名高き天安門事件と同等の扱いを受けている。

・ウイグル綿等のウイグ人を強制労働させて出来た製品をこれまで使用するも、ジェノサイド問題が浮き彫りになると使用中止を次々と公表する企業が現れた。ナイキやH&M等の海外アパレルはその筆頭だ。しかし、これらの企業に対し、中国政府は国民に不買運動を行うように働きかけ、企業や国民もそれに呼応した。さらには、テレビ番組でも該当企業製品にはモザイクをかける等の処置すら行い始めた。(Fig.1)

Fig.1 モザイクをかけられた中国番組の様子

 

・ウイグル製品の使用停止の公表は、これまでの中国市場開拓の破棄を意味するようなものとなり始めた。そして、ユニクロを運営するファーストリテイリングは、柳井社長自らノーコメントと玉虫色の回答で受け流そうとしている。ユニクロは、無印良品と同様にジェノサイド問題を知りつつ加担していた企業に数えられている。

・柳井社長はジェノサイド問題に関し、政治の話はしないと公の場で言及した。しかし、同氏はこれまで散々様々な場で政権批判という政治的発言を繰り返し、さらには野党支持を表明する等の政治的行為も行っていた。

・無印良品は中国の市場開拓に莫大な資金を投入するとともに、中国のパクリ企業と法的な闘争を行うなど中国市場に奮闘してきたため、中国市場を捨てたくないので新彊綿の使用を継続することを発表した可能性が大きい。

・そのように、これまで育てた中国市場を捨てたくないと人権問題に触れまいとする国内企業が多い中でカゴメはウイグルで生産されたトマトの使用を完全に中止することを公表した。これには、確かに中国本土の売上高はグループ全体の0.4%程度と、ユニクロや無印良品に比べ中国市場への依存度が小さいこともあり、中国市場を切り捨てる判断が出来たのだろう。さっそく中国のSNS上ではカゴメを不買しようという運動が起こり始めている。

・さらに、カゴメの山口聡社長は14日、「ウイグルのトマトは調達面で安定性に弱い部分があった。人権問題も含め、調達をやめる決断に至った」と明確にジェノサイド問題に向き合っている。ここまで人権問題に向き合う姿勢は無印良品やユニクロの社長には見られなかった。

・中国は深刻な経済難に陥っており、中国市場にはうま味はかつてほどない。これを機に日本企業はカゴメのようにジェノサイド問題と真摯に向き合い、企業の社会的責任を果たすことも重要なのではないだろうか。