本文は5月11日の日経新聞の要約及びそれに関するコメントです
要旨
厚生省は、武漢肺炎(新型コロナウイルス)感染の有無を簡易診断できる「抗原検査」を週40万件目指す。そして、まず、国内初となる富士レビオの検査キットを薬事承認する方針だ。同社は、週20万検査分を国内生産、需要に応じ、生産を拡大するという。また、抗原検査キットについては、国内企業のデンカも開発を進めているという。
抗原検査とPCR検査の違いを表1に示す。
抗原検査で陽性であれば感染と診断し、陰性であっても疑われ症状がある際は精度の高いPCR検査と組み合わせるといったようなPCR検査の前段階の検査としての運用を検討しているという。
今後、キットの開発が進めば、インフルエンザのように街中の病院等で医師の判断で感染の有無が判断できるようになる。
コメント
・富士レビオは抗原検査キットを4月27日に独立行政法人医療品医療機器総合機構(PDMA)に製造販売承認を申請したという。厚生省が13日に認可する予定であり、異例の速さだ。富士レビオのみでは厚生省の目指す週40万件には半分しか届かず、デンカの製品開発が待たれる状況だ。
・PCR検査キットは、キャノンメディカルや島津製作所が1時間で結果が分かる検査キットを既に販売している。また、熟練の技師が不要な自動検査キットも富士フィルムが開発している。これらの国内メーカの尽力により、PCR検査は当初よりもより手軽にかつ迅速になっている。
・日本は他国に比べ、圧倒的にCT機器が多い。このため、PCR検査の前段階として、CTを使いコロナかどうかの判定ができていた。しかし、これは肺炎の症状が出ないと使いない方法であった。今回の抗原検査では肺炎の症状が出る前の段階で診断でき、CTより早期にPCR検査の前段階の判定ができるようになる。