新無効論と旧無効論の比較


「新無効論」をよく理解してもらうために従来の無効論「旧無効論」との違いで理解してもらうことが簡潔だと考えますのでそこを説明したいと思います。まず、憲法無効論と聞くと最初直感的に疑問に思うのが次の点でしょう。


●日本国憲法の無効宣言を国会が決議すべきだと主張しているところがアホじゃないの?
●現在の国会は日本国憲法に基づいて設立されている国家機関なわけだから国会が日本国憲法の無効を宣言するなら自分自身の存立根拠を否定することになるでしょう。アホじゃないの?
●国会議員が自己否定の議決をやるはずがないし無効な国会の無効宣言がなんで有効になるのよ。いい加減にせえよ。 バカ!


つまり「だれがどんな資格で無効宣言(無効確認)できるんだよ」ということですよね。
これに関しては2種類ある「新」「旧」無効論の論理の違いによってこの疑問に対する答え方が大きく違ってきます。

■旧無効論による説明
実際に無効確認決議をするまでは「有効の推定をうける」からだいじょうぶと説明されます。
─── 「有効の推定」の意味とは ───
事実関係及び法律論として無効な憲法でも形式的な外観を整えていったん公布されると、それが真に有効なものかどうかを問わず一応「有効」のものと「推定」されることになります。それが「公定力」です。 これを公的な無効確認行為により現実に人心を帰一するまでは、あたかも有効であるかのようにまかりとおることも事実です。事実上の拘束力をもつということです。この拘束力は仮定的なものであって、究極的な「確定力」を意味するものではないけれども、とにかく一応の拘束力を有するものです。憲法の効力の有無を冷厳に究明することは、学問の任務であるけれども、この学問的判断によって、直ちに一国の憲法の効力の有無得喪が決定されるのではなく、それには公の認定を必要とします。この公の認定が行われるまでは「日本国憲法」は一応有効の推定を受けるものとされます。このことは「本来の有効」とは区別されます。

http://tendensha.co.jp/syakai/syakai280.html
http://www.soshisha.com/book_search/detail/1_4794211724.html
小山常実氏の著書では、 このことも含めて「無効確認」の意味を説明しています。
<「日本国憲法」無効確認とは、様々な意味をもつ。

何よりも一つ目の意味は、「日本国憲法」が憲法として無効な存在であり続けたことの確認である。

二つ目の意味は、有効だと推定されていることの確認である。

三つ目の意味は無効確認の効力は将来に向けてのみ発生するのであり過去に遡ることはないということである。実際、無効確認の効力を過去に遡らせようと主張する「日本国憲法」無効論者は、誰一人存在しない。にもかかわらず、世の中の憲法学者は、「日本国憲法」無効論をとれば、戦後五十九年間「日本国憲法」に基づき日本国が行ったことは全て無効であったことにされてしまうから、無効論をとるわけにはいかない、と述べたりする。

四つ目の意味は、「日本国憲法」の無効確認は必然的に明治憲法の復原をもたらすということである。>
との内容が記述してあります。
従って旧無効論によれば「日本国憲法」が決議成就までは有効の推定を受けるのだから、現在の国会も議決の権限があります。そして無効確認の効果は将来にむけてのみです。心配なら「将来へ向けてのみ効力を生ずる」ことも含めて議決すればいいのです。また、実際に行う議決内容も、単なる無効事実の確認行為です。これは実質、究極的には無効な議決機関であろうとも新たな法律環境を創設する形成的なものでもないからです。いわば自白です。法的な事実を後追いで追いかけ確認するだけのことです。万一、議決しなくとも、法的事実としては有効の推定をうけるも無効状態が永続するだけの話です。無効確認行為のできる始期はあっても終期はありません。憲法改正しても終期は到来しません。


■新無効論による説明

こちらの方が理解するのが簡単です。「日本国憲法」は帝国憲法13条にもとづき合意された講和条約群のひとつで帝国憲法を暫定的に制限や停止をする講和条約です。講和条約であろうと現在の国会は結局、帝国憲法に則った合憲の講和条約に適法な機関であり有効な議決機関です。有効な議決機関が先行する法的事実を後追いで確認する議決を行えないはずがありません。ただし、この講和条約「日本国憲法」の効力について付言すれば帝国憲法13条の講和大権よりも上位価値である国家の同一性に関わる部分について「日本国憲法」が規定する内容を含んでいてもその内容は無効です。たとえば「国民主権」などです。この文言の解釈にあたっては帝国憲法の理念に反しない解釈がとれる限度で有効とされます。13条にも締結権限に限界があるからです。このことをあっさり言うと<「日本国憲法」は講和条約の限度で有効である>ということです。この限度内においては「日本国憲法」は帝国憲法の下位規範(講和条約)として有効で、かつ、憲法としては絶対無効です。先行している下記の事実を帝国憲法に合憲な現国会で確認するだけのことです。
1,「日本国憲法」は憲法ではなく講和条約であること。(憲法として無効、講和条約として有効と確認宣言する)
2,帝国憲法が厳存していること。
これをやったからといって、ほかに何も起こりません。社会混乱もおこりようがありません。無効宣言(無効確認)とはなんとアッサリした手続でしょうか?憲法論にあわせて事実をつくる(=無効にする)のではなく事実を確認するだけです。このように新無効論の場合は旧無効論のように「実際に公的に無効確認されるまでは有効の推定を受ける」などという説明は不要なのです。
尚、ここからが、最重要な点です。政治的に優れている点があるのです。新風など帝国憲法復元改正論の方法論などと違う点です。この論理の優れている点は、旧来の無効論なら無効確認前に「日本国憲法」に変わる憲法案だとか帝国憲法改正案を事前に準備することが必須条件となりそうに思い込まれがちであるが、そういう固定観念にしばられないのです。今日明日、いきなり無効確認議決(上記1,2)をしても法的安定は失われないとされる点です。帝国憲法改正案を具体化まえに、たとえば今すぐにでも無効確認をやれば現行法秩序になんらの変動もあたえないままに、改憲論の対象は帝国憲法しかないというように基本路線が固定されてしまうのです。我々は帝国憲法体制内に身を置いているのだということが公認されるのです。異教徒による国家理念ではなく正統な国家の理念に自動復帰できるのです。ゆえに、この無効確認過半数決議さえ勝ち取れば戦後ホシュ派は別としても伝統保守派は勝利です。だれが考えても異様な戦争犯罪である「日本国憲法」を合法扱いしてきた左翼マルクス憲法学が転覆して次の改憲論に口が出せなくなります。ゆえに、現段階でやるべきは要は国民が法的に「日本国憲法」の憲法としての無効なること(憲法ではないこと)を周知徹底理解することが先決なのです。


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このように無効論は「新」「旧」どちらも先行している事実、無効の事実を確認せよと主張する論理だという点では同じです。この点「憲法破棄論」「憲法廃止論」という「日本国憲法」を憲法として有効と認識する手法とはまったく異なる論理です。「無効論」は「破棄」や「廃止」などのように無効に<する>との意味の国会決議を求める主張でなく、先行事実たる無効で<ある>事実に即して、その事実確認を国会決議せよと主張しているのです。再度、しつこく「新」「旧」無効論を比較してまとめてみました。


【旧無効論】
1,現行憲法無効論で「日本国憲法」無効論です。
2,無効確認によっても公法という性格から効果の遡及はないと考えます。
3,実際に無効確認されるまでは有効の推定を受けるのは当然の法理であり法的安定上も問題がないと説きます。
4,しかし片方で無効の事実を主張しながら片方で「確認行為をするまでは有効と推定される」と説明されるのならば有効論との区別が実際上つきにくいし世間への説得力も欠けるものともいえます。
5,又、この論理に実際に賛同する側にたっても無効確認国会決議をする時点までに、その先の見通しがなくては誰もが不安で賛成ができかねます。具体的には差し替え用の帝国憲法改正案(内容)が明示されていなくてはならず、ある程度実現する方向性までも明らかになっていなければそう簡単に無効確認国会決議に賛同が出来ないものともいえます。
6,無効の最大根拠として知れ渡っているのはハーグ条約違反です。

(実はこのハーグ条約違反は新無効論側からは直接無効原因にならないと説明されています。)



【新無効論】
1,現行憲法無効論でありながら憲法有効論者にひけをとらないほどの「日本国憲法」有効論です。その有効の根拠は帝国憲法13条。通常の条約ではなく講和大権に基づく憲法的講和条約。

2,「日本国憲法」を有効とかたづけるのが現在の憲法業者であり「日本国憲法」を無効とかたづけるのが旧無効論です。それにくらべて新無効論は「日本国憲法」というひとつの対象を憲法レベルでは有効か無効か、講和条約レベルではどうか、その他の規範としてはどうかを考察します。その結果「日本国憲法」は憲法としては絶対無効であるが13条にもとづくポツダム宣言受諾から開始された一連講和条約群の中の中間講和条約として成立し独立回復による消滅手続きがなされることなく追認されたまま現在に至っているとする論理です。
3,帝国憲法を復元するまでもなく帝国憲法は「日本国憲法」がみずから存在の根拠とする上位規範であり当然に現存します。帝国憲法に対して「日本国憲法」という帝国憲法に競合乃至制限的な規範が異常な状況において押し込まれた一種の異常状態が継続していると考えられます。この異常状態は憲法改正論議の際には治癒され正常状態にもどされなければなりません。
4,過去から現在までの法秩序の説明に旧無効論のように「無効確認されるまでは有効の推定をうける」などという説明は不要です。新無効論によればもともと「日本国憲法」は帝国憲法の下位規範として当初から有効なままなのですから。そのことは、これから事実確認たる無効確認決議をやったとしても変わりません。無効確認決議前後において法的秩序にまったく変化がないのです。「日本国憲法」が憲法として無効、帝国憲法の下位規範として有効の秩序のままです。したがって憲法改正論の対象は帝国憲法しか出てこないし占領典範たる法律は帝国憲法と並び立っていた皇室の家法たる正統皇室典範と衝突することとなりますから帝国憲法に違反している法律たる占領典範の方を無効廃棄手続きされることとなります。
5,上記説明で理解されると思われますが新無効論においては事前に帝国憲法の改正案を明らかにしてからでなければ無効確認に賛同できないというものではありません。やったからといって現行法秩序にはなんら変動はないのですから。すでに憲法として絶対無効でありながら下位規範(講和条約)として有効である事実状態なのです。(このあたりの論理は現在の改憲論、憲法改正論よりも圧倒的に政治的に有利です、それでいて単なる事実確認の行為によって「日本国憲法」を将来にむけて温存することが確実に不可能となります)
6,旧無効論のいう無効原因ハーグ条約違反を理由とするものを除きほかの無効原因はすべて採用されますが最大で単純明解で致命的な無効の根拠は
帝国憲法75条違反 です。