リスクをとる
「リスクをとる」というのは、理解されにくい。これが結論である。理由は分かっている。この「リスク」の捉え方の違いだろう。「risk」の意味を知るのに大学入試対策で使っていあ英語の単語集をひらくまでもない。「危険」ということだろう。「危ないこと」だと感じるのだろう。
学生時代から英語は苦手だが、「take a risk」という言葉を習った。リスクをとるという意味だが、それには、「何かを得るために…」ということを無視されがちである。さらには、リスクをとらないことで、大きな損失を生じることがある。
理屈っぽいので、わかりやすい例を挙げるなら、飛行機は墜落のリスクがある。飛行機に乗らなければそのリスク(危険)はない。しかし、そのリスクをとらなければ、遠くへ行くのに多くの時間や労力を要するリスク(危険)を負うことになる。
毎日のように車の運転をする。交通事故というリスクをとっている意識は、どこか忘れていることがある。リスクを気にしすぎていては、運転なんて怖くてしていられなくなる。人間は、時に都合よくリスクを知りつつも、「仕方ない」といった言葉で誤魔化している。
株式投資において「リスクが高い」というときのリスクは、もちろん株価下落の危険ということを指すこともあるがそうではない。株価の変動が大きいことをリスクが高いという。予測が難しいことを指すともいえる。つまり不確実性が高いとも考えられる。
医療現場において、「リスクをとる」ということを続けている。繰り返すが、危険なことをしているということでもある。しかし、個人的にはそうは思っていない。不確実性を受け入れ、治療効果という利益をとろうと考える。「take a risk」である。「リスクが高い」と私がいうのは危険性が高いという意味ではない。「不確実性が高い」という意味である。しかし、その言葉はおそらく「危険性が高い」と伝わっているリスクがあることは知っている。(つづく)