人生の喜びにはいろいろありますね。
それこそ、前回のブログに書いたような「自分の目標を達成すること」のように、自分でめざしたものに近づくことなどその最たるものかもしれません。
そんな王道の喜びとは別に、美しい紅葉にふと感動したり、道ばたの草花に感動したり、素晴らしい物語を読んだり、音楽を聴いたりして受ける喜びもあります。
ふとした喜びという意味で、ここ数日、素晴らしい出来事がありました。
まず韓国のクラシック音楽ファンから、感動的なメールをいただきました。
わたしのホームぺージにあるポリーニの記事に同感してくださったというのです。マーラーとベートーヴェンのページへの共感も書いてくださいました。
同じ音楽を聴いて、同じように感じることは、精神の構造が似通っていることの一つの証です。そんな人からメールを頂けることは、人生の喜びです。
少し余談になりますが、かつて韓国に行ったとき、ソウル大学の教授の方々を含む知識階級のみなさんとお会いする機会がありました。わたしの講演に来て頂き、その後、みなさんと会食したのです。
そこで気が付いたのは、みなさんが一応にクラシック音楽に精通しているということでした。
わたしを招待してくださり、ご自宅に泊めてくださった方の家には、わたしの家とほぼ同じ枚数のクラシックCDが並んでいました。当時のわたしはアルバン・ベルク四重奏団のベートーヴェンにとらえられている時だったのですが、彼の家にはアルバン・ベルク四重奏団のCDが、ヨーロッパ盤やアメリカ盤を含めて百枚以上も並び、素晴らしいコレクションを成していました。
有名な「冬のソナタ」には、グレン・グールドをもじった台詞がでてきます。クラシックを聴き込んでいる人でないと、わからないジョークです。
韓国からの嬉しいメールに続いて、アメリカからも嬉しいメールを受け取りました。
わたしの親戚、グレン角皆はアメリカのワシントン大学で教授をしています。彼の授業を受けた日本人留学生が、わたしにメールを送ってくれたのです。
「グレン教授と角皆さんの話をしました」と…。
何かの拍子でヴァンクーバー・オリンピックの話になり、グレンがわたしのことを話したらしいのです。
「優秀なスキーヤーでオリンピックコーチだった」と。
グレンのおじいさんこそ、わたしがもっとも尊敬しているマーク角皆です。
マークのお父さんがアメリカに渡り、マークはアメリカで生まれました。マークはアメリカ国籍になりますが、日本で教育を受けています。日本語も話せました。しかし、彼の子どもたち以降、日本語を話せる親戚はいなくなり、マークの孫にあたるグレンは生粋のアメリカ人と言ってもいいでしょう。
わたしが初めてグレンに会ったとき、彼はまだ小学校低学年でした。
一見、女の子のような顔をした美少年で、一緒に水上スキーをしたり、英語の本を読んでもらったりした記憶があります。
わたしのアメリカの親戚は、医者になったり、医者と結婚した人が多いのですが、グレンは社会学者になり、著書も多いようです。
そんなグレンが、もう最後に会ってから何十年も経っているにもかかわらず、日本からの留学生にわたしの話をしてくれたというのです。それが、とても嬉しかったです。
またグレンと直接会いたいですね。
グレンだけでなく、アメリカの親戚たちと、ゆっくりパーティなど開きたいものです。
アメリカの親戚たちには、男の子が少ないようで、角皆という名前も消えそうです。消える前に、誰がわたしの親戚に当たるのか、しっかり確認しておきたいです。やはり親族というのは、特別ですから。
そんなちょっと珍しい喜びを感じたここ数日間でした。
わたしの家の庭にある小さな幸せの写真を貼っておきます。