指揮:ジョナサン・ノット(東京交響楽団 音楽監督)

ソプラノ:森野美咲*

フルート:竹山 愛(東京交響楽団 首席フルート奏者)**

オーボエ:荒木良太(東京交響楽団 首席オーボエ奏者)**


リゲティ:フルート、オーボエと管弦楽のための二重協奏曲**

リゲティ:歌劇『ル・グラン・マカーブル』から「マカーブルの秘密」*

モーツァルト:交響曲 第41番 ハ長調 K.551「ジュピター」


前日のオペラシティでの定期からハイドンと休憩を除いたモーツァルト・マチネー。

最初はリゲティの二重協奏曲。舞台上の編成が不思議な配置になっていました。

フルートとオーボエがソリスト位置にいますが、弦楽器にヴァイオリンがいない!ヴィオラ4、チェロ6、コントラバス4。オーケストラの木管はいつもの通りで、ほぼ3管編成。

ソロ・フルートはアルト、バス、普通のフルート3本を吹き分けます。

バスフルートは太くてしかも一直線ではなく、キーの部分と吹く部分の間が湾曲していて、記憶している限りは初めてみました。

アルトフルートにはファゴットが、オーボエにはバスクラリネットが似たような音階で寄り添います。メロディーはない(ように)聴こえます。なんとも不思議な曲。


続けてもリゲティ、「マカーブルの秘密」。

以前の都響とコパチンスカヤの演奏会は行けず、ハイライト動画を見ただけで驚愕し、今回は一部分だけで10分ほどでしたが、想像を遥かに超えた衝撃でした。


編成も弦楽器は各1人しかいない、管楽器と打楽器合わせて20人弱ぐらいでしょうか。

まず独唱ソプラノの森野さんが、どう表現して良いかわからないレディガガみたいな衣装で登場したところから規格外。そしてなぜか指揮台に登ります。その後ノット監督が登場。指揮台を入れ替わって開始。

子音の多い擬態語や擬音語と高音の絶叫の連続で、歌詞は正直私には意味不明。英語がベースですが、ところどころ「沈黙は金」といった日本語の短いセリフも入ります。

詳しくは下記プログラム10ページを見てください。


https://tokyosymphony.jp/wp-content/themes/tso/assets/img/concerts/program/pdf/pg_2025-09.pdf?ver=20250919


高音の連続に加えて、演技の所作まで、役を演じ切ってすごい。しかしモーツァルトと組み合わせた意図は、ノット監督に訊いてみたい。


休憩なしでオケを再編成して、ジュピターへ。8-8-5-4-3の対抗配置。

リゲティとの対比が際立ち、メロディーとリズムがあるだけでホッとします。クラリネットは無し。

コロナ前にもこのコンビで同曲を聴きました。ノット監督の言葉を借りると「revisit=再訪」ですね。過去のメモを見ると6年前、弦は当時より人数が少ない(前回は12型)。

推進力のあるテンポで進めていきますが、冒頭の動機も一拍目を強く、そこから三拍目にかけて徐々に音量を下げていくところは以前の記憶と変わりません。楽譜が読めないのでわかりませんが、他の演奏では自分の記憶にはありません。音の響きはピリオド系、

3楽章、4楽章はところどころ(例えばコーダの前)で間を置いたり、ためを作って硬めのティンパニーを際立たせていたり、ノット監督にルーティーンはありません。4楽章は弦楽のフーガの対位法の疾走感のある受け渡しが視覚面で見れるのも良い。全体的にはテンポ早めでしたが、伸び縮みもあって37分ほどでした。12年の良き関係、瞬間で即興的な変化が起こり、スリリングでした。


終わって思ったのは、仕事で不可避になっているAIは、舞台芸術の代替は絶対にできない。人が機器を通さず生音で奏で、その場で生まれて減衰する音の響きや、2度と同じ音はない。演奏会の価値は今ここだけで起こる瞬間の芸術ということでした。