ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団
指揮:チョン・ミュンフン
ピアノ:藤田真央
ヴェルディ:歌劇「運命の力」序曲
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 Op. 18
<ソリスト・アンコ-ル>
シェーンベルク:6つの小さなピアノ曲 Op. 19-6
チャイコフスキー:交響曲第6番 Op. 74 「悲愴」
<アンコ-ル>
マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より 間奏曲
ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」より 序曲
チョン・ミュンフンがミラノのスカラ座フィル管弦楽団を率いての来日公演。
シャイーを継いで、27年スカラ座の歌劇場音楽監督になることが決まった。ドレスデンのシュターツカペレも首席客演指揮者になっている。東洋人として欧州のトップクラスの歌劇場やオーケストラのポスト、まさに偉業だ。
ミュンフンは2019年ミラノで「椿姫」を聴いた。ピットが見える席だったが、全曲暗譜で度肝を抜かれた。
この日も協奏曲含め暗譜。
淡々と振る。大向こう受けはしない、はったりもない、虚飾から最もかけ離れた音楽家の一人。さすがジュリーニの弟子。
派手でなくても実力があればきちんと評価される。実力主義の比率が高い音楽界と日本の会社との違い。
ヴェルディの「運命の力」、オーケストラの響きが深い。3階の後ろの席でもしっかり響く。金管のパワーもすごい。弦のボウイングはゆったり、たっぷりと弾いている印象。
藤田真央が独奏で、ラフマニノフ2番。
音は格別に大きくないがオケには負けていない。2楽章の弱音は相変わらずの美音で、3楽章は鍵盤を叩きつけるような強奏は、まだ3回目だが初めて聴いた。
同業の演奏家(オケ)がアンコールの際にピアノの方を食い入るように見つめているのは、最大の賛辞だろう。
後半の悲愴がとりわけ素晴らしかった。深々とした呼吸。49分ほど。おそらく14型の通常配置。
1、4楽章がゆったりとしたテンポで、2、3楽章は早めで対になっていた。
艶消しの深く暗い弦。目を瞑って聴けばイタリアのオケだとは感じない。
ミュンフンはゆったりと脱力して振るが、音やテンポ、休符の間、特に4楽章最後に向かう重く引きずる低弦の暗さと深さは巨匠然としてきた。これからますますの円熟に期待。
アンコールは2曲、カヴァレリア・ルスティカーナのカンタービレでようやくイタリアを感じた。もう一曲のウイリアム・テルは途中からで、お祭り用という感じ。

