指揮:ジョナサン・ノット
ソプラノ:カタリナ・コンラディ
メゾソプラノ:アンナ・ルチア・リヒター
エヴァンゲリスト(テノール):ヴェルナー・ギューラ
イエス(バリトン):ミヒャエル・ナジ
テノール:櫻田亮
バリトン:萩原潤
バス:加藤宏隆
合唱:東響コーラス
合唱指揮:三澤洋史
児童合唱:東京少年少女合唱隊
児童合唱指揮:長谷川久恵
J.S.バッハ:マタイ受難曲 BWV244
宗教曲はずっと苦手にしてきた分野で、キリスト教徒でないとわかりにくいストーリーに加えて、言葉のハンディもあり、どこまで理解できるのかという気は今でもします。
今回はこの4月にマタイを聴いた時のバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の秀逸なプログラムを会場に持参しました。作曲時の背景や曲の解説、そして何より全曲の対訳がついていたので、言語とストーリーを追いながら曲の流れが理解できました。
ものすごく簡単に言うと、最後の晩餐(ユダの裏切り) → 裁判 → 十字架刑 → 死と埋葬というイエスの受難の物語を音楽で表現した作品ということですね。
7月のブリテン「戦争レクイエム」に続いて凝った配置、この日は2つのオーケストラを舞台真ん中を境に左右対称人数に分けた配置でした。真ん中のチェロの隣に座ったヴィオラ・ダ・ガンバのみ1名でした。管楽器はフルート・オーボエ(オーボエ・ダモーレ含む)・ファゴットのみでクラリネットと金管はなし、打楽器もなし。
弦はおそらく12型ではないかと思います。↓
よってオケ自体は小編成でしたが、独唱・合唱・オルガンが加わった響きは巨大なものでした。300年近く前にこんな完成度の高い曲が出来上がっていたなんて信じられません。
ノット監督の指揮棒なしは、今までで記憶にありません。
とにかく繰り返し(音も歌詞も)の多い曲です。この日のノット監督は柔らかく力みなく抑制的に振っていました。6曲目のメゾソプラノにはフルートが、8曲目(確か)のソプラノにはオーボエが、それぞれ美しい音で寄り添います。ビブラートなしなので古楽器奏法かと思いきや常に角の取れた暖かさが感じられました。テンポも古楽器系の演奏よりゆったりめの前半75分、後半100分。27曲目のイエスが捕えられたところや、63曲目のイエスの復活の部分などはいつものような大きな振りで劇的な表現をしていましたが、古典派以降でしばしば見られる目立った仕掛けやテンポの伸び縮みはなく、おとなしい?表現でした。曲によって、なんと表現の幅が広いことでしょうか。
エヴァンゲリスト(語り役)は意図的かわかりませんが、やや抑えめの印象だったことを除いては、今回も歌手陣が揃って素晴らしい出来でした。
特に女声2人の、カタリナ・コンラディ(ソプラノ)とアンナ・ルチア・リヒター(メゾソプラノ)。リヒターは10年ほど前(ハイティンク/ロンドン響とのマーラー4番)に聴いた時の記憶が今でも印象に残っていて楽しみにしていました。メゾに変更したようですが、今回も高音が素晴らしかったです。
男声ではイエス役バリトンのミヒャエル・ナジ、役柄もあってか劇的な表現が秀逸でした。日本人歌手の櫻田さん、萩原さん、加藤さんもそれぞれのパートでしっかりと存在感を示しました。ノット監督の声楽曲で歌手が外れたことはありません。
そして今回も東響コーラスが圧巻。どうやったらこの曲を暗譜して、ドイツ語のきれいな発音ができるのか。凄すぎます。
最後の曲(確か)では、ソプラノとアルトが座りながら歌っていました。最後まで暖かさを感じながら終了。
とはいえ聴き終わっていつになく(心地良くはありますが)疲れを感じました。普段は音だけを聴いて音が美しいとか響きがどうのこうのと言っているのと違って、重いテーマとストーリーで言葉の語りが非常に多いので、普段のコンサートとは感じる脳の部分が違っていたのかもしれません。
ノット&東響のコンビも実質今年の大晦日まで。残り少なくなった中で、また素敵な記憶が加わりました。
次回は11月、いよいよマーラーの9番。
蛇足ですがこのブログで最後はマーラーの9番をと望んでいたら、本当に実現しました。
https://ameblo.jp/tonagain/entry-12860668920.html?frm=theme
もちろん、プログラム決定への何の影響力もないと思いますがw
12年間のサイクルの完結編。
関わってきた方々の全ての想いが集まって、凄いことになりそうな予感がします。



