Charles Dutoit and SSO Performs Wozzeck (Concert Version)
Time: 2025.10.11 19:30 Saturday
Venue:Jaguar Shanghai Symphony Hall ·Concert Hall
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Charles Dutoit, conductor
Wozzeck: Robin Adams
Marie: Magdalena Anna Hofmann
Captain: Michael Schade
Doctor: Sami Luttinen
Drum-major: Samuel Sakker
Andres: Hugo Kampschreur
Margret: Lotte Verstaen
1st Apprentices: Rueben Mbonambi
2nd Apprentices: Leander Carlier
Idiot: Cui Qirui
Sun Yifan, assistant conductor
Julia Strelchenko, piano/repetiteur
Shanghai Symphony Orchestra
Shanghai Conservatory of Music Chorus
Shanghai Huangpu Youngster's Activity Center Spring Children's Choir
Alban Berg: Wozzeck (Opera in 3 Acts, China premiere, concert version), Op.7
今年の秋から冬にかけては、連休などを利用して日本で聴けないオーケストラや曲目を中華圏で聴く予定。今年いっぱいは中国入国ビザ免除です。
第一弾は来月N響定期に8年ぶりに登場予定のデュトワが上海でベルクの「ヴォツェック」の演奏会形式。
デュトワのこの曲の演奏を聴くのも、この曲を聴くのも初めて。
89歳でヴォツェックを1時間半休憩なく振り続けることもすごいし、年齢を感じさせないキレッキレの演奏でした。
デュトワは足取りは相変わらずしっかりしていましたが、演奏中は椅子に腰掛けていて所々で立ち上がって指揮。座って指揮するのは初めて。それでも上半身、肩の上に腕が軽々と上がる若々しさ。
ドイツ語の歌に中国語の字幕ではストーリーを追うのは苦しく、出てくる音をひたすら追っていました。何度聴いても新ウィーン楽派は馴染めないのは今回も同じでした。
初めてなので他との比較はできませんが、デュトワの音はベルクでも健在。
楽譜の音がすべて見えるかのようで、金管と打楽器が強烈に鳴っていてもクリアで、どのパートも絶対に濁りません。
弦でも中低音もしっかり鳴らしていますが、重くなることはありません。専門的なことは分かりませんが、弓の奏法に魔法が隠れていそうです。新ウィーン楽派の退廃的な響きは聴こえませんでしたが、代わりにドイツものでも弱音部分は透明感のある音に聴こえました。
オーケストラはパワフルでエネルギーを感じるしやや荒削り感はあるもののアンサンブルはしっかりしていて、急激にキャッチアップしているように思います。これで世界的な指揮者を監督に迎えればもっと伸びるのでしょうが、中国本土はそうもいかないようです。楽員も聴衆も見かけ若い人が多く、舞台上も客席も白髪はほとんど見当たりません。
歌手は一人を除いて欧米人を揃えて、舞台上では演技もしながらでした。
主役級の3人(ヴォツェック、キャプテン、マリー)が素晴らしく、特にマリー役のマグダレーナ・アンナ・ホフマンはベルクの強烈なオーケストレーションをものともせず突き抜けた声でこの日のベスト歌手。キャプテン役のミヒャエル・シャーデは声も通るだけでなく演技もコミカル。
合唱は最後に児童合唱団が少しだけ舞台に出てきた以外は、皆ステージ裏からの出演。
この曲が初演されてからちょうど今年で100年。底から不協和音が湧き上がるベルクに対して、前日の東京で聴いたブロムシュテットの天から降臨してくるかのような暖かいシベリウス5番は1914-15年の作曲。
とても同時代の曲とは思えませんでした。



