「ばらの騎士」全3幕

作曲:R. シュトラウス

演出:オットー・シェンク

指揮:フィリップ・ジョルダン

陸軍元帥ヴェルテンベルク侯爵夫人(マルシャリン):カミラ・ニールンド

オックス男爵:ピーター・ローズ

オクタヴィアン:サマンサ・ハンキー

ゾフィー:カタリナ・コンラディ


演奏・合唱:

ウィーン国立歌劇場管弦楽団

ウィーン国立歌劇場舞台上オーケストラ

ウィーン国立歌劇場合唱団

コンサートマスター:ライナー・ホーネック、アルベナ・ダナイロヴァ


9年ぶりの来日のウィーン国立歌劇場、日本では初めて観ます。

今年は劇場で見るオペラはまだ2回目。演奏会形式は多いけれど。

演出はオットー・シェンクの伝統的な演出、これぞオペラ。読み替え演出とでしゃばり演出家の読み替え演出が多い最近では珍しい、50年前の懐古調の演出が今でも残っています。

始まってすぐ、弦の芳醇な響きにあっという間にウィーンの舞台に引き込まれました。

ジョルダンは全体のテンポはすっきりと早めながら、歌のクライマックスである2幕冒頭や3幕の最後などはたっぷりと歌わせて、ワーグナーのようなシンフォニックな響きに感じました。


2幕冒頭のオクタヴィアンとゾフィーの重唱、3幕元帥夫人「全てが終わった、この瞬間から」の後、オーケストラのトランペットの音が鳴り響いてから最後までの12分ほど、三重唱はいつ聴いても感動的ですが、とりわけウィーンフィルのふくよかな響きに乗って、舞台上に3人が離れながらの凛とした立ち姿も歌も美しいものでした。


年齢を重ねるのも決して悪くない。


歌手ではカミーラ・ニールントの元帥夫人の気品と威厳ある演技と、オックス男爵のコミカルさとイヤらしさの演技の上手さが双璧でした。

先月のノット東響でマタイを歌ったばかりのコンラディは全く別の姿を見せ、オクタヴィアンのハンキーも好演かと。


幕間のロビーでは、クライバーの名前が聞こえました。ウィーン国立歌劇場の前回のばらの騎士の来日公演は31年前のカルロス・クライバー、伝説の演奏です。私の音楽会通いの人生で一番の後悔は、クライバーを生で聴くチャンスがあったのに行かなかったことです。

値段の高騰は色々言われますが、円安と物価高で、現地に行くだけでも数十万円かかることを考えればやむを得ないのでは。31年ぶりの日本で伝説の演出が見られたことに感謝です。