第2049回 定期公演 Cプログラム
指揮 : シャルル・デュトワ
合唱 : 二期会合唱団*
― ラヴェル生誕150年 ―
ラヴェル/亡き王女のためのパヴァーヌ
ラヴェル/組曲「クープランの墓」
ラヴェル/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」 (全曲)*
デュトワのオール・ラヴェルプログラム。
確か1991年のN響への2回目の客演の時もラヴェルプロで後半は同じダフニスとクロエの全曲だったように記憶しています。当時今よりもドイツ系の重厚な音だったN響が、デュトワによって軽やかなに響いたことを今でも思い出します。
前半は小編成で、亡き王女のためのパヴァーヌとクープランの墓。
ホルンの客演は先週と同じ方。パヴァーヌ冒頭の弱音も芯があってしっかりしていて、しかも美しい。
クープランではオーボエソロの甘い歌い回しが絶品で、最終曲では一転して闊達なリズム。
ただ、先週より舞台に近い席で小編成の弦なのに、霞のかかったように聴こえて透明感が少ないのが気になりました。珍しく奮発して2階真ん中の前列なのに。
後半のダフニスとクロエ、56分、第二組曲部分は16分ほど。
この曲はフルートと打楽器が大活躍。暖かさとクリアさの共存する随所のソロはもちろんのこと、4管の木管(オーボエ・イングリッシュホルンのみ3)でアルト・フルート、ピッコロの音の幅広さ、ラヴェルのオーケストレーションは精緻極まりないですね。
しかし後半に入っても、やはり弦(高音)が霞んで聴こえてしまいます。ラヴェルというよりドビュッシーのもわっとした弦の響きに近い。(あくまで感覚的な、根拠のない話)耳が遠くなったのか、S席に耳が慣れてないのか…。
さすがのデュトワでも、年々少しずつ遅く、重くなってきているのを感じます。
第三部、第二組曲の部分に入ってから、オーケストラの色彩が急に輝かしくなりました。オーケストレーションなのか、盛り上げ方なのか。
デュトワの特色は繊細な透明感と、クライマックスでの熱量、迫力の双方を併せ持つところだと思うのですが、この日は後者は健在でした。
特にバッカナールでのタンバリン、リズムと音色の強弱の多彩なこと。ビジュアル的にも、上から下に降ろしながら音を落としていくところや、手首のしなりと遠心力(?)を利かせて遠くに飛ばすリズムも素敵で、カスタネット、トライアングル、シンバル、小太鼓などとも合わせてリズム感で興奮を呼び起こします。前半でウインドマシーンまで登場するのは、この曲とアルプス交響曲ぐらいでしょうか。
そして全曲版で楽しみなのが合唱、100人くらいいたのではないでしょうか。今回は二期会、2週連続で合唱の素晴らしさを堪能。歌詞はないけど音に深みが出ますね。
89歳には見えない元気なデュトワではありますが、もしかしたらラヴェルを聴けるのは最後になるかもしれないと思うと、今まで聴いてきたモントリオール響、N響などとのラヴェルが走馬灯のように蘇ってきました。
デュトワの十八番でしたが、個人的には先週のホルストに軍配をあげたいです。
8年ぶりの定期公演登場、1年後もこれまでのN響との共演を振り返るかのように幻想交響曲を取り上げます。ベートーヴェンの交響曲は別の指揮者に譲って、デュトワらしいレパートリーを披露してもらいたいのですが。
