指揮/オスモ・ヴァンスカ
曲目
シベリウス:交響曲第1番 ホ短調 op.39
シベリウス:交響曲第4番 イ短調 op.63
ヴァンスカのシベリウスプロはおそらくラハティ響以来。
シベリウスの1番と4番の交響曲、渋いプログラムだ。
1番、36分ほど。出だしのクラリネットの息の長い独奏の音の通ること、一方で小さな音でも存在感がある。
第2ヴァイオリンのさざ波のような音階が透明でクリアに続いて、ホルン、トランペットにティンパニーが加わってから、いきなりオケの分厚い轟音が響き渡った。楽章通じて音量が大きい。ヴァンスカは指揮台上でかなり大振りしているように見えた。
2楽章はこの曲で一番好きな楽章。冒頭、弦のくぐもったメランコリックなメロディーには、懐かしさと切なさを感じる。2管編成の木管四重奏が素晴らしい。中間部の繰り返しのメロディーは弦の厚みが増して、またも轟音に。最後は寄せては返すように静かに楽章を閉じる。
3楽章は聴いたことのない速めのテンポで畳み掛け、ここでも音圧は大きい。
フィナーレは解放感に溢れ、ヴァイオリンをはじめとして朗々と歌うメロディーも厚みがある。今まで聴いてきたこの曲のイメージとは違い荒っぽさすら感じたが、初期のロマンチックで激情的な表現としてはありなのかもしれない。
後半の4番の方が良かった。
実演でも2度目か3度目くらい。約40分。
前半とはオーケストレーションも響きの重心も明らかに違う。編成は同じ16型と思われ、ハープがいなくなったくらいだが、1番の外に向かって響く厚みのある音とは正反対で、内に向かって音を届けようとしている感覚。
わずか10年の差でこんなに作風が変わるのかと思うほど違う。
冒頭から重々しく暗い弦、コントラバスも迫力のあるずっしりした響きだが、1番と比べるとより削ぎ落とされた音が聴こえる。
チェロパートの合奏に、ソロチェロが暗く断片的なメロディーを奏でる。音階や和音が不規則に上下し、ところどころ金管楽器が割り込んで曲想の変化も激しい。
2楽章も短いながらも曲想がコロコロ変わり、最後は突然ティンパニーの弱音で終わる。
ベストは3楽章。フルートソロの突き抜けて澄み渡る音色、中低音弦がメロディーでなく短いモチーフをくぐもった響きで奏で続け、後半は息の長い弦の内省的なモノローグが続く。
フィンランドの白樺の森の中で霧がかかってきて迷い込んでいるイメージが湧いてくる。他の作曲家ではあまり情景が浮かばないのだけど、なぜかシベリウスでは凛とした冷たい空気感の風景が浮かんでくるのが不思議。
フィナーレは冒頭グロッケンシュピールの明るい響きがひときわ目立ち、この曲には似合わない明るさで異彩を放つが、後半は再び弦のモノローグとなって静かに終わる。
素晴らしい演奏でも、曲はやはり難解だった。
ヴァンスカの棒は拍子を正確には刻まず、痙攣しているのではないかと思うほどわかりにくい棒だが、出てくる音を聴いているとやっぱりこの指揮者はシベリウスがいいと思った。
都響との前回の共演は聴き逃したが、あと残っている2番と3番も演奏してチクルスを完遂してほしい。

