デビル&エンジェル ~見たくなかった光景~ | ちょっと蛇足的な、ココロ模様。

ちょっと蛇足的な、ココロ模様。

人からたまに変わってる、と言われます。
だって変わらなきゃ、何も始まらないじゃない?

by ちょっとナナメ上を行く吟遊詩人 小林宏行                    


私は最近、神社に迷い込むことが多い。

というより、自ら吸い込まれてゆくのだ。

吟遊詩人tomtomの蛇足的なココロ模様

実は昨日も吸い込まれたばかり。

天形星神社

(てんぎょうせい)と読む。

名前だけでもミステリアス。

吟遊詩人tomtomの蛇足的なココロ模様


何の変哲もない参道。

その先で見たもの。


吟遊詩人tomtomの蛇足的なココロ模様


その光景に絶句した。

震災からもう50日近く経つ。

私の住む町では落ち着きを取り戻し、
その傷跡も残っていないだろう。
被災地よりはるか離れたこの場所で
こんなことは起こるはずがないと思っていた。

考えたくなかった。

しかし、醜い現実がそこにはあった。

倒壊した灯篭がまだ生々しい。
その汚れなき石の表情がこちらに伝わてきた。
まるで今、起きたかのような錯覚に陥る。

その光景は一瞬にして、
私のその時間を一気に50日間も巻き戻してしまった。


吟遊詩人tomtomの蛇足的なココロ模様


束の間の安堵感を求めにやってきた場所。

いわゆる、神社の参拝帰り。
清涼感に満たされて荘厳な気持ちでくぐるはずの鳥居。

今回は完全に悪魔に息の根を止められた。

普段の生活はでは視界に入らない密かな場所。
その傷跡を風化させることなく静かな佇まいを残し、
鎮座して待つ者はふいに訪れる者を容赦なく抹殺する。


まだ油断するな。

きっと我々に諭しているに違いない。


私は深い悲しみを引きずりながらも
なんとも重苦しい気持ちで後にした。


気を引き締めて。


吟遊詩人tomtomの蛇足的なココロ模様


どうしても引っかかる。

まだ知ったばかりだった。
平安時代、斬首された平将門の首が京都から東京まで飛んでいったという伝説。
そして、その首を祀るといわれる東京都千代田区にある首塚の存在。


そしてこの日、もうひとつの出来事。
米国がパキスタンに潜伏していたオサマ・ビンラディンを殺害したというニュース。
一緒にいた家族も犠牲になったという。


そして、今回のこの光景である。


安堵と思えたこの地で醜い現実に晒され、
過去の逸話と世界の裏側を何かで結んだかのような
にわかに信じがたい出来事。


吟遊詩人tomtomの蛇足的なココロ模様


唯一の心の救い。

その場所で一輪の華が咲いていたこと。

本当にたった一凛だけ。


あなたは癒しの天使?

それとも嘆きの天使?


この私に何かを問いかけようとしているの?





私はその地を後にして、当てもなく歩いた。

天形星神社



カトリック豊四季教会


その距離、南へわずか100メートル。

気がつくと、教会に迷い込んだ。

いや、きっと天使が導いてくれたんだ。

吟遊詩人tomtomの蛇足的なココロ模様

吟遊詩人tomtomの蛇足的なココロ模様

今日は曇り空なんだけど…、


吟遊詩人tomtomの蛇足的なココロ模様


なんだか、光が差し込んでいるようにも見える。

吟遊詩人tomtomの蛇足的なココロ模様


やっぱり、確かにその日は曇り空だったよね?


癒しの天使はどこかに必ずいる。


吟遊詩人tomtomの蛇足的なココロ模様



最後に…。

天形星神社について。

奇しくも、今回訪れたこの地は調べてみたら
なんと平将門に縁のある地であることがわかった。

東葛病院 会報サイト「東葛の健康」内
(下部)コラム ぶらり・とうかつ より


流山市のやや南、柏市に接するあたり、
長崎の地に天形星(てんぎょうせい)という
変わった名前の神社がある。

祭神は「素の嗚尊(すさのおのみこと)」とあり、
神様としてはポピュラーな部に属する。
天照大神の弟で「やまたのおろち」を退治したという神話は
昔の教科書に載っていたような気がする。

寛文2年(1662年)の創建と古記にあるが、
このあたりの地域開発の歴史をみるともっと遡るかも知れない。
室町期にはすでに長崎、野々下の地名が見えている。

1900坪の境内には道祖神の石像物や
杉、カヤ、桜、銀杏等の保存林がある。
興味はその奇妙な社名である。

市の博物館の学芸員に聞いても分からない。
一つの説はこうである。今から千年以上前、
中央政府の腐敗に憤激した平将門の乱が起こった。

茨城県岩井(今の板東市)生まれの将門は
関東はおろか信州まで戦いを進め、暴れまくった。
その将門(土地の人はショウモンサマと呼ぶ)が
信仰する星を祭ったのがこの神社の発祥だと。
この説には確たる根拠はない。
が、今に残る将門の奇怪な一生、
京都で斬首されその首が宙を飛んで東京のどまん中、
丸の内に落ち(現在そこに首塚がある)、
死後は妖怪となった(浄瑠璃にある)。

この奇怪さが天と星という幻想と結びつくのだ。
勿論反体制に徹した将門が朝廷の守護神である
天照一族を祭るはずが無い。
元々は今のご神体ではなかった。


どんな逸話があったにせよ、
今回の光景は偶然では済まされない。

それはこの歴史的事実が如実に物語っている。
天使と悪魔 悪魔と天使