デンマークをブックマーク ~母性愛からこの国を想う~ | ちょっと蛇足的な、ココロ模様。

ちょっと蛇足的な、ココロ模様。

人からたまに変わってる、と言われます。
だって変わらなきゃ、何も始まらないじゃない?

by ちょっとナナメ上を行く吟遊詩人 小林宏行                    

海外移住。

究極のライフスタイルや自己実現なんて建前を並べたら、
その先にこの言葉が選択肢にある。

とくに女性が憧れる言葉で
私にはまだピンとこない部分。
もちろん海外で暮らしたい好奇心は以前からあったが、
永住したいという意識は皆無。

つまり、リアリティな情報収集力と思い切り。
女性の方が押し出しの良さに長けている。
実際に私の周りでワーキングホリディ経験者や
移住者は圧倒的に女性が多い。


ゴールデンウィークという
俗世間から乖離された時間が長いことも後押し。

私はふと考えてみた。

今回の東北大震災や国策のあり方、
税金の使い道、政治の癒着問題など、
物理的な地殻改造や抜本的な人間改革が起こらない限り、
この国の大きな改善は望めそうにない。

やっぱり、日本を出よう。

普段の生活のなかでホッとゆとりができた時、
この国の現状と将来不安に直面。
衝動的な現実逃避にかられる人も少なくないと想う。

海外移住、考えるべきか?
北欧諸国がいいのかな?

福祉が充実、住みやすい国という受け売りの先入観はあるものの
具体的にはどうなのか?という現実。

例えば、デンマーク。

消費税率25%。日本では考えられない数字。
それでも国民意識調査では世界一幸せな国という結果が出ている。
(2006年 英国レスター大学 分析社会心理学者エードリアン・ホワイト教授による
世界に暮らす約8万人を対象とした「幸福度」調査ランキングより)



北欧の一国家を語るのに、未経験の私があれこれ述べるよりも、
文末紹介の書物のレビューを抜粋した方がストレート。


$吟遊詩人tomtomの蛇足的なココロ模様

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「なぜ、デンマーク人は幸福な国をつくることに成功したのか
どうして、日本では人が大切にされるシステムをつくれないのか」
ケンジステファンスズキ (著)


読んでみて、まず、日本の全公務員が読むべきだと感じました。
驚いたことにデンマークは 世界最高レベルの社会保障制度が整っていて、
食料もエネルギーも自国でまかない、かつ民主主義がもっとも進んでいる国だそうです。

例えば
・病院の入院、治療費は無料
・小学校から大学までの教育費も無料
・大学入試もなし
・高等学校三年間の全ての科目の平均点数で大学と学部が決まる
・職業学校や大学に通学する18歳以上の国民には国庫から「奨学支援金」が支給

そして、国民は福祉制度を支えるため 高額な税金を納付
当たり前といえば当たり前ですが
この素晴らしい社会保障制度は
制度を乱用しないという国民同士、国民と国家の信頼関係、
税金が国民全体のために使われているという合意が大前提となっています。
(血税を湯水のように垂れ流し続ける日本とは大違いです。)

同じ地球上にここまで対照的な国が存在しているとは!
食料自給率も300%以上、エネルギー自給率は156%超、財政は黒字。

かたや、日本は900兆円の赤字を抱える借金大国です。
加えて年間の自殺者が毎年3万人以上、無縁死、孤独死される方々も3万人以上で
美しい国どころか恐ろしい国になりつつあります。

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「世界一幸福な国デンマークの暮らし方」
千葉忠夫(著)


・デンマークでは女性の社会進出率が80%。

・障害のある子供を自宅で育てたい親のために、
仕事を辞めて給料の80%を保証する制度がある。

・消費税は25%で世界一高い。
 (統計では85%の国民はこの税率に満足)

・学校では中間・期末試験はない。
 中学を卒業する時に行われる国家統一試験のみ。

・公平に扱うため、この試験の答案は別の学校に送られて他の教師が採点する。

・学校の1クラスの定員は28人程度。
 国選教科書はなく、教師が自由に教科書を選べる。

・小学校の6年間はクラス替えもなく、同じ先生が担任となる。

・中学3年時には、週5時間、特定の職種の人が学校に来て仕事の話をする。
 仕事の現場への見学もある。

・会社では昇進という概念がほとんどない。
 (課長が辞めても課長補佐が昇進するのではなく、社内や一般から募集)

・どんな病気でも手術でも入院でも、医療費は無料。
 (歯科治療は18歳までは無料。美容整形は有料)

・過失による軽犯罪を犯した人で、社会復帰の意識がある人には
 「オープンプリズン」という制度がある。
(普段のように大学や仕事に通えるが、夜は定刻に刑務所に戻る義務がある)

・国会議員選挙の投票率は常に90%もあり、地方選挙でも75%以上ある。

・社会保障が整っているがゆえに、離婚してもちゃんと生活ができるので離婚率も高い。

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なんとも目からウロコだらけの政策ばかりですが、
誰でも最初は「隣の芝生は青く見える」と思うもの。

特に女性は子育て環境や老後の経済不安を
よりシビアに、より現実的に捉える傾向があるため、
人生設計に関しては男性より先見性に長けていると感じる。
それが行動に直結しているのか、日本に見切りをつけて
海外に高飛びする女性は多い。

じわじわと進む晩婚化。
我が国に嫌気を差した女性たちが人生のパートナー選びを
「男性選び」から皮肉にも「国選び」へ
シフトしているような気がしてないらない。

そして今、この日本が大きな局面に晒されている以上、
女性だけでなく、国民全体がそう感じていることも否定できない。


前述したデンマーク。

この国は出産した女性へ強く主張している。

あなたの子供はあなたの子供ではない
( Dit barn er dit barn er ikke )

子供は両親だけの所有物ではなく
国の将来を担う「国家の財産」
教育や社会福祉にはお金を惜しまない
ということ。

得てしてこの高圧的とも思える言葉が
幸福大国としての大きな原動力となっている。

最初に宣言し、政策で実行する。

「あいのり」“世界一幸福な国”デンマーク
(前述内容が大変わかりやすく伝わる動画。併行して視聴を勧めます)


それでは我が国はどうなのか?

と訊かれても、

質問することの意義自体がピンと来ないのが
現状ではないでしょうか?

あえて答えるとすれば、三大義務?

納税の義務 教育の義務 勤労の義務

そんなおぼろげな回答しかできないのが
我が国の国民意識の現実である。
つまり、メンタリティ。
軸があいまいなのだ。


まず変えなければならないこと。


日本は本当に国民のことを愛していますか?

残念ながら、三大義務では感じられません。

相手に強要したり、政治家の自己満足なら理解できますが。


そして、繰り返しますが

あなたの子供はあなたの子供ではない

この言葉の裏に大きな愛情があります

本当に愛するということは、

相手の成長を促すこと
そして、責任をもって守り続けること


それがデンマークの政策です。

確かに税率は高いですが、そこに裏づけされた
大きな愛があるから非常にわかりやすい国なのです。

女性が抱く母性愛に通じるものがあります。


あなたはこんな日本を脱出したくなりましたか?

それとも何とかして、この国を愛し続けますか?

変えてゆきますか?


どちらにしても、デンマークという国が
今の私たちにとって大切な教科書になることには
変わりはありません。




今回の執筆のキッカケとなった動画です。(90分)
お時間のある方はどうぞ♪

2011.4.25 日本記者クラブ(Japan National Press Club)にて
著者と語る 千葉忠夫(日欧文化交流学院 学院長)
『格差と貧困のないデンマーク』



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