コロナ禍以降、健康志向の高まりと共に食事に気をつけたり、運動を始めたりする方が増えている印象があります。
当然、人間の体は食べたもので作られているのですが、飲食と共に大切なもの、それは呼吸であることを人は忘れがちです。
深呼吸が体に良いということは誰もが疑う余地はなく、ラジオ体操にも取り入れられています。
その中でも塩谷信男博士の正心調息法という呼吸法は長生きの秘訣としてご本人も生前に体現されておられました。
塩谷博士は、手を当てるだけで病気を治してしまうという不思議な力をお持ちだったようで、東大医学部卒業後は、その手当て療法で多くの患者さんを救われたそうです。当初は周りから怪訝に思われるということで内緒でされていたそうです。
そんな塩谷博士は、若い頃は病弱で20歳まで生きられないのではと言われていたそうですが、中学生の頃に二木式腹式呼吸に出会い命を救われたそうです。その後は自分なりの呼吸法を研究し、正心調息法というより深い深呼吸法を確立し、その有効性を証明するために100歳まで生きてみせると宣言され、その後105歳まで生きられたそうです。
そのやり方は、お腹いっぱいに息を吸い込み、ゆっくり時間をかけて吐ききるという極めて深い深呼吸です。
この呼吸法でなぜ長生きできるのか?それについて今回は自分なりに考察してみたいと思います。
私が開いているスウェディッシュマッサージ講座の授業でも、まず初めにやってもらうことは、基本姿勢を作り深呼吸をすることです。
それはなぜかというと、まず生徒(セラピスト)の緊張を和らげることが目的なのですが、医学的には緊張で収縮した末端の血管を開くことで手を温める効果もあるからです。
更には私が開発した施術法が腹式呼吸による有酸素運動なので、その準備として深呼吸から入るというわけです。
では、なぜ深呼吸をすることで気持ちが落ち着き、手が温まるのでしょうか?ポイントを整理してみます。
1. 呼吸と心拍数の関係(呼吸性不整脈)
人間は 息を吸うときに心拍数が上がり、吐くときに下がる というリズムを持っています。
これは 呼吸性不整脈(Respiratory Sinus Arrhythmia, RSA) と呼ばれる現象です。
自律神経の働きによるもので、
吸気 → 交感神経優位 → 心拍数上昇
呼気 → 副交感神経(迷走神経)優位 → 心拍数低下
という反応が起こります。
つまり、吐くときに心拍が落ち着くというわけです。
2. 深呼吸とリラックス効果
深呼吸で「ゆっくり長く吐く」ことを意識すると、副交感神経の働きが強まり、リラックスや鎮静効果が得られます。
ですから塩谷博士の正心調息法のように吐く時間を長くすることで心拍数は下がり、副交感神経の働きが優位になるため、心が落ち着くというわけです。
また、体の冷えと深呼吸の関連についてもポイントをまとめてみます。
1. 心拍数と体温の関係
「心拍数が下がる=副交感神経優位」になると、血管が拡張しやすくなります。
血管が拡張すると、血流が末端(手足)まで届きやすくなり、冷えが和らぎます。
「心拍数低下 → 血流改善 → 末梢の温度が上がる」
つまり、深呼吸をすることで、体を温める効果にもつながると言えます。
体温が上がれば免疫細胞のリンパ球などの活性が上がるので、これは長生きの秘訣になるとも言えますよね。
そして日々深呼吸を取り入れることで、ストレスフリーの人生を送ることができれば、それも長寿健康の秘訣となるでしょう。
最後に加藤式長生き&冷え改善「深呼吸+手足ケア」ワークを紹介しますね。
🧘♀️ 深呼吸 × 手足ケア 冷え改善ワーク
🔹 ステップ1:姿勢を整える
椅子に腰かけたり、横になった状態でもいいですし、入浴時に湯舟の中で行うのもいいでしょう。
とにかく肩や腕をリラックスさせた姿勢をまず作ります。
👉 血流が末端まで届きやすい体勢をつくる
🔹 ステップ2:呼吸法(4-8呼吸法)
鼻から 4秒かけて吸う(お腹いっぱいにふくらむくらい)
吸いきったところで1度息を止め、鼻から 8秒かけてゆっくり吐ききります。(力を抜いて風船から空気が抜けていくように)
息を吸いながら「血液が手足の先まで流れて温かくなる」とイメージします。
👉 これを 5回(約1分)
🔹 ステップ3:手のケア
上記の呼吸法と同時に行います。
鼻から 4秒かけて息を吸います。
8秒かけてゆっくり息を吐くと同時に手をギューと強めに握っていきます。
息を吐ききったら手の力を抜いて4秒かけてまた息を吸います。
息を吸いながら指先まで血流が流れていくのをイメージします。
深呼吸とあわせて5セット行います。
👉 血流が良くなり、手がじんわり温かくなってきます。
🔹 ステップ4:足のケア
上記の呼吸法と同時に行います。
鼻から 4秒かけて息を吸います。
8秒かけてゆっくり息を吐くと同時に足の指をギューと強めに握っていきます。
息を吐ききったら指の力を抜いて4秒かけてまた息を吸います。
息を吸いながらつま先まで血流が流れていくのをイメージします。
深呼吸とあわせて5セット行います。
👉 血流が良くなり、つま先がじんわり温かくなってきます。
🔹 ステップ5:手足同時ケア
上記の呼吸法と同時に手のケア、足のケアも同時に行います。
鼻から 4秒かけて息を吸います。
8秒かけてゆっくり息を吐くと同時に手と足の指をギューと強めに握っていきます。
息を吐ききったら手足の指の力を抜いて4秒かけてまた息を吸います。
息を吸いながら末端まで血流が流れていくのをイメージします。
深呼吸とあわせて5セット行います。
👉 血流が良くなり、手足がじんわり温かくなってきます。
🔹 ステップ6:仕上げ呼吸
最後に最初に行なった呼吸法 4秒吸って → 8秒で吐くを5回
「体全体に血流を流している」とイメージしながら行います。
👉 全体で 約5分 のワークです。
👉 終了後に手足がじんわり温かくなります。
これを夜寝る前などにやると入眠もスムーズになるし、冷えも和らぎます。
健康法のひとつとして是非取り入れていただけたらと思います。