君といた幻の夏。サザンオールスターズ「あなただけを 〜Summer Heartbreak〜」 | よねともが気ままに思うブログ

よねともが気ままに思うブログ

よねともが思うことを綴るブログです。
好きな音楽をただ紹介しています。

本日はサザンオールスターズ「あなただけを 〜Summer Heartbreak〜」(1995年リリース) です。





1年間、桑田佳祐さんがソロ活動を行い、1995年に再び活動を始めたサザンオールスターズ。1991年から病気療養で休んでいた関口和之さんも復帰し、6人で活動を再開します。その一発目は日本国民の度肝を抜かした衝撃のタイトル「マンピーのG★SPOT」でしたが、リリースから2ヶ月後に、再び新作をリリースします。それがこの「あなただけを 〜Summer Heartbreak〜」でした。


この曲は福山雅治さん主演のフジテレビ系ドラマ「いつかまた逢える」の主題歌として書き下ろされました。



「いつかまた逢える」のワンシーン。

このドラマは、紺野伸一 (福山さん)、荒木勝利 (椎名桔平さん)、中田乾三 (今田耕司さん) の高校時代の同級生トリオを軸として、それぞれの夏の恋模様を描いたドラマでした。紺野はひょんなことから出会ったのが高校時代の後輩で、密かに想いを寄せていた城崎つゆ美 (桜井幸子さん) で、同窓会で再び会うもつゆ美は荒木に想いを寄せていたのです。紺野はつゆ美が荒木に想いを馳せていたことを知ると、つゆ美の恋を応援するようになります。一方の乾三は今中純子 (大塚寧々さん) と同じ同窓会で再会。高校時代とは見違えるほど美人になっていた純子に猛アタックするようになります。


福山さんはこのドラマで初めて主演を務め、シンガー・ソングライターでも当時ヒット作を出していたこともあり、俳優活動においても代表作となるなど、音楽活動と俳優活動の両立が大成功していました。椎名さんは1993年の映画「ヌードの夜」の熱演が話題を呼んでおり、人気急上昇中の中での出演となり、このドラマ以降多くの作品に主要人物で出演するようになります。そしてダウンタウンファミリーと呼ばれるなど、「ダウンタウンのごっつええ感じ」(フジテレビ系) や「生生生生ダウンタウン」(TBS系) でのダウンタウンの参謀的役割で人気を博していたお笑いタレントの今田耕司さんが本格的にドラマ出演をしたドラマとしても知られています。当時大人気だった月曜9時枠 (通称:月9) で放送されたこともあり、平均視聴率は20.7%を記録した大ヒットトレンディドラマでした。


そんなドラマの主題歌として書き下ろされたのがこの曲でした。桑田さんは「夏の失恋」をテーマに歌詞を書いています。


泣かないで 溢れ出す涙を拭いて


冒頭から悲劇的な始まり。既に君は人目を憚らず泣いているようで、俺がその溢れ出す涙を拭っていました。


去(い)かないで あの夏は夢

現在(いま)は想い出に残るひととき


それでも泣き止まぬ君は、俺を置いて海辺から去っていくのです。あの悲恋は現実なのか、それとも幻か。楽しかった夏は夢だったのかもしれません。時間が経って今、俺が過ごす夏は、君と愛し合った記憶を懐かしみながら過ごすだけの毎日となっています。


涙色した貝殻に 熱いため息が出る


ふと聴くと「涙色の貝殻」とはなんなのか?と思います。正直申し上げて私もわかりません。恐らくですが、これは「君」の目線で、楽しく呑気にはしゃぐ俺を見ていてちょっと不安な気持ちになっている状態の君。悲しい気持ちになっていき涙が目に溜まるのです。その時に見た貝殻を指したのが「涙色の貝殻」なのだと思います。貝殻を眺めたあと、俺のことを見てついついため息が出たのでしょう。


恋の行方も知らないで

アイドルみたいに シビレてた


この後に悲恋が起きようとも知らず、俺はこの世の春を謳歌していました。なにせ彼女と一緒に海で遊んでいますからね。彼女=アイドルのような存在で、楽しくないわけありません。


Ah, それはせつないだけの Long Vacation


俺と君で気持ちにすれ違いが生じています。それぞれ今切なく、この後切なくなります。ただただ、2人はせつないだけの夏を過ごしていたのです。


優しさも裏切りも 身体ごと受け止めて

波音に揺れながら Ah, 愛されてた


時は現在に戻り、今君のことを考えると、どんな時の俺も受け止めていた、最高の女性だと気付くのです。波音に揺られながら、「俺は愛されていたんだ」と後悔するのです。


ウォール・オブ・サウンドで作られており、夏の清涼感を感じるポップスになっています。この頃から比較的サポートメンバーを最小限に留めており、リズム・セクションはサザンのメンバーの演奏のみとなっています。この曲のサポートはサックスで山本拓夫さんが、トランペットで荒木敏男さんが参加している程度となっています。原由子さんのサビのカウンターメロディーが効果的で、更にポップさを増しています。


ドラマの大ヒットもあり、この曲でサザン3作目のミリオンセラーとなりました。また桑田さん自身もこの曲を気に入っており、「自分の葬式にはこの曲を掛けて欲しい」とまで発したほど気に入っています。夏の悲しい恋の曲。こういう曲を描かせたら桑田さんの右に出る者は居ないと思います。




こちらは2015年のライブから。実はミリオンセラーの曲は「涙のキッス」「愛の言霊 〜Spritual Message〜」以外は割と演奏率低めなんです。なので珍しいライブテイク。是非。