2種類の曲が融合して出来た傑作。B'z「Calling」 | よねともが気ままに思うブログ

よねともが気ままに思うブログ

よねともが思うことを綴るブログです。
好きな音楽をただ紹介しています。

本日はB'z「Calling」(1997年リリース) です。





1年前に投稿した「FIREBALL」の記事でも触れていますが、B'zは13作連続ミリオンセラーという快挙を成し遂げていますが、やりたい音楽を突き詰めた「FIREBALL」でその記録は途絶えてしまいました。それでもオリコン1位、75万枚以上売り上げており、本来の音楽性であるハードロックに振り切った作風は高く評価されており、メンバーも「記録はいつか止まるし、誰かが破るもの。それより今は"守らない"という気持ちの方が強い」と発言するなど、記録への固執は全く無く、むしろ自由に音楽が出来る喜びを表しています。


そんな「FIREBALL」の制作と同時期に、新たなアルバムの制作にB'zは取り組むこととなります。このアルバムの制作と同時に松本孝弘さんは女性シンガーである七緒香さんのアルバムをプロデュースすることになりますが、この時に共同でアレンジを担当した作曲家・アレンジャーでベーシストの徳永暁人さんの手腕を松本さんが高く評価したことで、B'zのアルバム制作に誘います。徳永さんはアルバムで「FIREBALL」以外の全ての曲のアレンジと、大半の曲のベースを担当しており、その後間を空けて2007年まで長期に渡って明石昌夫さんの後任の共同アレンジャーとして活躍するきっかけとなります。そんなアルバム『SURVIVE』の先行シングルとしてリリースされたのが、この「Calling」でした。


この曲は安達祐実さん主演のテレビ朝日系ドラマ「ガラスの仮面」の主題歌として起用されました。



「ガラスの仮面」のワンシーン。安達祐実さんは北島マヤ、野際陽子さんは月影千草を演じている。

この曲は1996年12月から制作を始めましたが、かなり制作が難航した結果、シングルリリースギリギリまで制作に費やすなど、B'z史上一番制作に時間が掛かった曲だと言われるほどでした。元々は1996年にアメリカへ語学留学をしていた松本さんが、滞在中に友人の結婚式の為に、友人が書いた詞に松本さんがメロディを付けた曲がこの「Calling」の原曲だったそうです。これをB'zの曲に転用することとなり、松本さんが稲葉浩志さんに曲を渡したそうです。稲葉さんはこのメロディを聴いて歌詞を書く際に、松本さんと久々に会ったことで刺激を受けて、この歌詞を書いたそうです。

この曲の特徴は異なる2種類の曲を融合して出来たということです。初めと終盤はハードなロック調のパート、中盤のメインとなる部分がピアノメインのバラードとなっています。制作当初はこのバラードのみが作られており、リリース前にライブで未発表曲としてこの曲が演奏された時もこのバラードのみだけで披露されていました。ハードなパートは制作途中ではバラードの合間に挟んでいたこともあったそうですが、最終的に現在の完成形でリミックスされました。

始まりはハードなギターが掻き鳴らされるロックから始まります。

この声が聞こえるかい
wow wow wow wow

相手への叫びを全面に出しています。呼び掛けていてもなかなか相手が応えてくれず。「wow」は悲痛な叫びに聴こえます。

今なら聞こえるかい
どうか苦しまないで

間を置いて再び相手に聞きます。今なら俺の声が聞こえるかいと。それでも相手は応えてくれません。どうやら自分だけで色々と抱えて苦しんでいる様子で、相手の声が届かない状態にまで追い詰められていました。そして俺はそんな相手に対して苦しまないで、と声を上げます。

悲痛な叫びがギターと共鳴したところで、雰囲気がガラッと変わり、ピアノの音が入ります。

あっという間 時間は積もり
何も見えなくなりそう

ここからは相手の目線になっています。無我夢中で駆け抜けた時間はあっという間。時間だけが積もりに積もっただけで、どう駆け抜けたかが覚えていない状態に。視界が阻まれそうになってきている、まさにあぶない状態に。

街の色も 変わりつづける中で
なんだか今もいっしょにいる

時間が経つ中で、街の風景は変わり続けていました。それだけがわかる状態でしたが、君 (ハードなパートでの俺) だけは自分となんだかんだで一緒にやってきていました。

何かが心をつないでいる いつでも気にしている

見えない何かで自分と君は共鳴し合っているようだと思い始めていました。

強い磁石に 引っぱられているように
気がつけば 無邪気に笑いあう

視界が見えないような、自分を見失いつつあるなかでも、君と居る時は他愛もない話で2人で笑い合っていました。心が共鳴している証拠かもしれません。

ひとつひとつと 窓に灯ともる

自分を見失い、周りが見えなくなっていた自分が、君との交流を通して、どんどん心に余裕がポンポンと、暗い夜のなか、窓に灯がともるような感じで、暖かさを取り戻していくのでした。

きみがいるなら戻ってこよう
いつでもこの場所に

場面は冒頭、君が自分を呼び掛けるところに。やっと心を取り戻してきた自分は君の呼びかけに気付くのです。ハッとする自分。どれだけ心を失くしそうになっても、君が待っていてくれているじゃないか。苦しい時は君のもとへ行こう、そう思うようになるのです。

けがれなき想いが ぼくらを呼んでいる
I can hear the calling
   (呼んでいるのが聞こえるよ!!)


そして君が待つ場所へ。そして幸せを呼ぶ声が自分たちを呼んでいるのです。そこへ向かっていくのでした。


最初に制作されたピアノメインのバラードパートは、松本さんとアレンジャーの池田大介さんの2人でアレンジされており、ピアノとストリングスをメインに、途中からバンド・サウンドが交わる形となります。ピアノはDIMENSIONのキーボーディストだった小野塚晃さんによる名演。そしてドラムは青山純さん、ベースは明石さんによる演奏でレコーディングされています。そして序盤と終盤のハードなパートでは稲葉さんと徳永さんがアレンジに加わり、最終的に4人がアレンジに関わっています。このハードなパートはドラムが山木秀夫さん、ベースが徳永さんによる演奏に代わっています。


この曲で14作目のミリオンセラーに。ハードなロックとメロウなバラードの2種類が融合した、B'zきっての傑作を是非。




やはりYouTubeにはフルバージョンは無い…のですが、唯一、2021年にスタジオライブによるフル・バージョンがありました。そこまでオリジナルアレンジとは差異がありません。(多少はあります) ドラムは玉田豊夢さん、ベースは種子田健さん、ギターは大賀好修さん、キーボードは山本健太さんによるものです。