本日は高橋洋樹「魔訶不思議アドベンチャー!」(1986年リリース) です。
ジャケットからも分かる通りですが、この曲はフジテレビ系アニメ「ドラゴンボール」のオープニングテーマとして書き下ろされました。
もはや日本だけでなく世界的に知られる漫画でありアニメですが、「ドラゴンボール」は1984年に週刊少年ジャンプにて連載が開始された鳥山明さんによる冒険活劇漫画でした。元々は鳥山さんの前作「Dr.スランプ」を連載時に、アイディアが尽きかけていたことから連載を終了させたかったそうですが、人気漫画である故に終わらすこともなかなか出来ず、「連載終了から3ヶ月以内に新しい連載をスタートさせる」ことを条件に連載を終了させ、代わる新連載の作品を鳥山さんがかつて書いていた読み切り漫画のアイディア、そして「西遊記」の要素を取り入れ、「ボールを集める」という点は「南総里見八犬伝」から取られました。当初のプロットは「西遊記」の要素が濃かったそうですが、担当編集者の反応が良くなかったことから二稿、三稿と改稿を重ねるうちに現在のよく知られるストーリーになり、「西遊記」の要素は「孫悟空」といったキャラクター名や、「筋斗雲」といったアイテムなどが名残として残ったものとなりました。
また、「ドラゴンボール」を集めるという大きな目的も、敵役が強くなるにつれて「強さを求めて修行し、強敵と対峙してやっつける」というアクション要素が比重を増し、ボール集めは割愛されることが大半となりました。連載初期は「Dr.スランプ」よりも人気が落ちたこともありましたが、徐々にストーリーが進むにつれて人気が上がり、最終的には「Dr.スランプ」以上の人気を集めました。
現在では単行本は日本国内で1億6000万部以上、全世界で2億6000万部以上の発行部数を記録するなど、日本を代表する漫画・アニメといっても過言ではありません。
そんな「ドラゴンボール」のオープニングテーマとして使われたのがこの「魔訶不思議アドベンチャー!」でした。(「摩訶不思議」ではないので注意)
当然ながらアニメ・漫画に沿った内容で、冒頭から「ドラゴンボール」がしっかり出てきます。まさに「ドラゴンボール」のための曲ですが、これを聴かなければ「ドラゴンボール」は始まりません。この曲は元々コンペディションが行われ、森由里子さんが書いた歌詞が採用となったそうです。森さんはこの曲が作詞家としてのデビュー作となります。
「つかもうぜ! DRAGON BALL」
「世界でいっとー スリルな秘密」
もはやお馴染みの歌詞。掴みとして最高の歌詞で、「ドラゴンボール」の曲であることがわかりますし、ボール集めのスタートであることもわかります。「いっとー」は一番を指したもので、世界で一番スリルな秘密なのが、このボール集めの旅なんでしょう。
「さがそうぜ! DRAGON BALL」
「世界でいっとー ユカイな奇跡」
これもまたお馴染みの歌詞。ボール集めもその道中の出会いもまさに「世界で一番」奇跡的なものかもしれません。
「この世はでっかい宝島」
「そうさ今こそ アドベンチャー!」
広い世界には何があるのかわかりません。今から大冒険の始まりとなるのです。
「胸わくわくの愛が GISSIRI」
「色とりどりの夢が DOSSARI」
「この世のどこかで ひかってる」
まあ、歌詞の通りでここで解釈するまでもありません。ワクワク、そして自分の夢がたくさん詰まった冒険。目的のものは何処かに光っています。
「そいつ見つけにゆこうぜBOY」
「妖怪変化も ぶっとばし」
「雲のマシンで 今日も翔ぶのさ」
「妖怪変化」は初期に登場する「ウーロン」というキャラで、動物・人間など様々な物に変身できるキャラクターです。登場当初は敵で登場しますが、直ぐに悟空とブルマの旅に同行します。「雲のマシン」は「筋斗雲」のことです。
「Let's try try try 魔訶不思議 空を駆けぬけ 山を越え」
「Let's fly fly fly 大冒険 不思議な旅が始まるぜ」
これも解釈するまでもなく、色々なことに挑み、そして翔び回り、ボールを見つけるために世界を旅します。
ブラスサウンドを用いたアップテンポのポップスですが、ブラック・ミュージックの要素が入ったりするなど、アニメソングの枠に囚われない作風になっています。作曲は池毅さん(この曲では「いけたけし」名義) でアレンジは田中公平さんが手掛けています。
この曲の始まりが、世界を股にかけた大冒険の始まり。「ドラゴンボール」を巡る不思議な旅の幕開けです。