明ける空、暖かい風。ORIGINAL LOVE「朝日のあたる道」 | よねともが気ままに思うブログ

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本日はORIGINAL LOVE「朝日のあたる道 as time goes by」(1994年リリース) です。




1990年代には「渋谷系」と呼ばれたミュージシャンの曲が多くヒットしました。60,70年代のソウル・ロックや80年代のPOPSなどの音楽を下地とし、若者の流行発信源でもある渋谷から流行りだしたジャンルを指します。(諸説あります) 小沢健二さん、ピチカート・ファイヴなどが例として挙げられますが、その代表格の一つが田島貴男さんをフロントマンとした「ORIGINAL LOVE」した。


ORIGINAL LOVEの田島貴男さん。

1991年に「DEEP FRENCH KISS」でメジャーデビューすると、そのハイセンスな楽曲たちが評価され、一躍トップバンドとなります。当初はバンドから始まりましたが、1995年にバンドメンバーの脱退を機に田島さんのソロプロジェクトとなります。代表曲に「サンシャイン ロマンス」「接吻 Kiss」「プライマル」などがあります。また、田島さん自身はORIGINAL LOVEがインディーズで活動している時に、小西康陽さんから声を掛けられたことがきっかけで、「ピチカート・ファイヴ」にも加入。1988年〜1990年の間ボーカルを担当し、後任の野宮真貴さんが加入するまで、ソウルをベースとした歌唱と作曲を担いました。

1993年にリリースされたシングル「接吻 Kiss」がドラマの主題歌となり、ヒットしたことでORIGINAL LOVEの名が一躍知られることとなります。しかし、ドラムの宮田繁男さんとギターの村山孝志さんが同時に離籍(脱退) したことでバンド活動に支障が出てしまいます。そんな中でバンドに加入したばかりのベーシスト・小松秀行さんからの紹介で、ドラマー・佐野康夫さんが正式なメンバーでは無いものの、ORIGINAL LOVEのレコーディングとライブに参加するようになり、田島さん・木原龍太郎さん(キーボード)・小松さん・佐野さんの4人編成でリスタートを切ります。特に田島さんは佐野さんと小松さんの2人が入ったことが大きかったと話しており、このことがキッカケでアルバムの曲作りのアイディアがたくさん出てきたそうです。こうして出来上がったのがORIGINAL LOVEの名盤アルバム『風の歌を聴け』でした。その先行シングルとしてリリースされたのが、この「朝日のあたる道」でした。

この曲は、宮沢りえさんが出演した資生堂ヘアエッセンスシャンプーのCMソングとして書き下ろされました。



この曲はCMタイアップの話が先にあった為、15秒分のサビのみを先に書いた上で、曲全体を書いたといいます。作詞は田島さんが手掛けており、「思ったとおりのラヴ・ソングっていうのが書けたんじゃないか」と自己評価をするほど気に入っています。しかし、この詞こそがかなり頭を悩ませたそうで、〆切が決まっているにも関わらず歌詞が書けず、それでも頑張って書いてもスタッフにダメ出しされ、最後には熱を出して倒れてしまい、点滴を打ちながらレコーディングをして歌詞を書いたという逸話が残っています。この曲の歌詞には、ロマンティックながらも切なさを感じます。

暖かく 風が流れ出す
どことなく澄ます君と 新しい車で海へ向かった

場面は君とのドライブデート。季節は夏です。夏の暖かな空気を顔に受け、オープンカーでドライブしている僕と君。どことなく澄ましているのは、君が緊張しているからでしょう。目的地は夏にピッタリの海です。

前に夢見てたことかもしれない 奇跡のよう

君とドライブデートなんて、まるで夢見てるような、奇跡の出来事です。いつかドライブに誘うんだと夢見ていたことが叶うなんて…!驚きと緊張を隠せません。

ふと想う 過ぎた年月を
しばらくぶりに君と 長く話し込み 夜が明けてく

時間が経ったことを感じてふと切なく感じますが、君と長く話しているうちに「夜が明けてく」のもまたロマンティックです。年月が経とうと、想いは変わらず。

あの頃の想い 瞳の輝き 今もそのまま同じ

前から想いを寄せていた、しかも一途に想っていた相手だからこそ、想いも、君の瞳の輝きも、あの頃のまま変わらないよと君に言うのです。

いつの日よりも 今の君が一番いとおしい
My Sweet Heart

これほどまでに真正面に「今の君が一番いとおしい」と言う曲はなかなかありません。田島さんが「ポップスに真正面から取り組む」と話すほどド直球な告白。でもそれは、僕がそれだけ君のことを本気で愛している証拠とも言えます。

永く いつの日もずっと 今の君をこのまま
愛したい My Sweet Heart

「永く」と付けばもはや「永遠の愛」を誓ったも同然。多幸感溢れる雰囲気であることは間違いありません。

元々、ピチカート・ファイヴに在籍していた時代からソウルミュージックが好きな田島さんは、ピチカート時代の曲からソウルを下地とした曲を作っていましたが、この曲はその集大成とも言うべき曲とも言えます。終始鳴り続けるブラスサウンド。ブルージーな小松さんのベース、ジャズのノリも含まれた、爽快なノリのハイハットを叩く佐野さんのドラム、エレガントさを漂わす木原さんのキーボード、そして色気全開の歌唱、前面に出ないけど、気持ちよいカッティング・ギターを弾く田島さん。これらのアレンジはとてつもなく完成されたソウル・ミュージックでもあり、ロックもあり、ポップでもある、そんな曲です。

私の中では1994年発表の曲の中で一番好きな曲です。まさに「永く いつの日もずっと」愛される曲でしょう。

※自身のInstagramの投稿を再掲。2024.3.3大幅編集。