本日は櫻坂46「ずっと 春だったらなあ」(2022年リリース、アルバム『As you know?』通常盤収録) です。
(こちらは通常盤です)
参加メンバーは、
- 井上梨名
- 大園玲
- 田村保乃
の3名です。
櫻坂46の2022年は3rd.シングル「流れ弾」の3列目メンバー (BACKSメンバー) による公演「BACKS LIVE!!」の開催から始まりました。4th.シングル「五月雨よ」では、当時最年少だった2期生の山﨑天さんがセンターを務めるなど、欅坂46時代のような「一強センター体制」では無く、人気と実力を兼ね備えたメンバーがセンターに入る仕組みを構築しつつありました。2期生の選抜入りやセンターの抜擢があると、欅坂46時代から支えてきた1期生の卒業が加速するようになります。特に人気メンバーの一角だった渡邉理佐さんと欅坂46時代からキャプテンを務めてきた菅井友香さんの卒業は、Buddies (櫻坂46のファンを指す) に衝撃をもたらしました。
そんな中、大きなトピックとしては夏に櫻坂46としては初のオリジナル・アルバム(欅坂46時代からは5年ぶり通算2作目) のリリースがありました。オリジナル・アルバムとは言っても、アルバム用新曲は共通新曲は2曲で、各形態に+1曲で、基本的にはここまでのシングル作品をまとめ、一部カップリング曲も含めた、半ばベスト盤のようなものでした。しかしながら櫻坂46のここまでの曲を聴ける手軽さゆえ、現在でも愛聴されるアルバムでもあります。
そんなアルバムの通常盤新曲として収録されたのが、この「ずっと 春だったらなあ」でした。
秋元康さんが書いた歌詞は「片想いと春の別れ」をテーマにした切ないものとなっています。
「強がってる感情も 頑張ってる君も」
「わかったよ しょうがないね もう僕たちは違う道」
春・卒業間近。僕はずっと好きな君と話す機会があり、君と話しています。そこで君は大学へ進学する関係で遠いよその街に引っ越すことを明かされました。君のことをわかっている僕は、しょうがないと諦めがついて「もう僕たちは違う道だね」と君に告げます。
「ずっと ずっと 春だったらなあ」
「「ごめんね」」
ふと僕がつい口にした「ずっと ずっと 春だったらなあ」という本音。このままずっと春なら君と別れることも無いのに。そしてそれを聞いた君はボソッと謝るのです。
「ユラ・ユラ・ユラリユラリ」
「ユラ・ユラ・ユラリユラリ ユラ・ユラ」
僕の心が悲しみ・切なさで揺れ動くワンシーンを切り取ったのが、この「ユラ・ユラ…」に表れています。
「聞いたことない 街の名前言われたって」
「どれくらい遠くなのかは知らない」
君から言われた新天地は、僕にはわからないし、どうしてもショックを引きずっていて僕の耳に入らないのです。だから何処へ行こうとも僕にはもう知ったことではないのです。
「「どう思う?」ってそう 君が僕に言った時から」
「舞い散った花びら」
君から「どう思う?」と聞かれたその時から、もう僕の恋は終わったのです。僕に聞いたところでどうなる訳でもありませんからね。
「賛成した方がいい? 反対した方がいい?」
「君の瞳に 手がかりを探しながら」
「僕は黙ってた」
この「どう思う?」という質問に僕は賛成した方がいいのか、反対した方がいいのか。君の未来を考えたら当然賛成だけど、僕は君と離れたくないから反対したい…。その揺れ動く心を描いています。君が僕を見るその瞳をヒントに、どっちなのかを考えて黙り込んでいました。
「幸せを願えば 悲しみが溢れて」
「満開の桜まで 風に吹かれてしまう」
ここからのサビの歌詞が特に胸にきます。君の幸せを願いたい、でもそれだと僕とは離れ離れになってしまって、悲しみでいっぱいになってしまいます。今、満開に咲く桜も、その悲しみの嵐で吹き飛んでしまいそうです。
「輝いてる青春が 永遠じゃないこと」
「わかってたつもりなのに わかってなんかなかったんだね」
青春は短く濃いもの。ずっとその甘酸っぱい日々を送れるわけではありません。ましてや片想いならチャンスは少ないです。自分ではわかっているつもりでしたが、一歩を踏み出せなくて結局想いを告げることなく、離れ離れになることに。僕は青春を何もわかってなどいなかったのです。
そして僕はふと今の一瞬の時間が永遠にあればいいのにと、こう口にするのです。
「ずっと ずっと このままじゃダメか···」
作曲・編曲は作曲家でギタリストの野村陽一郎さんによるもの。秀作だと思うくらい切なさと空元気さが交じった、春にふさわしい曲に仕上がっています。ほぼ打ち込みで作られていますが、ピアノとアコースティック・ギターの暖かみと心にズシンと来る重みが心地よさを演出しています。そして3人の歌唱も素晴らしいものとなっています。
春は出会いもありますが、別れの季節でもあります。片想いから想いを伝えることなく、離れる苦しさ。私にもよくわかります。