飛躍の勝負曲。オフコース「Yes-No」 | よねともが気ままに思うブログ

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本日はオフコース「Yes-No」(1980年リリース) です。





オフコースといえば、日本を代表するシンガー・ソングライターである小田和正さんが所属していたバンドとして知られていますが、元々は小田さんと鈴木康博さんによるコンビで組んだフォーク色の強いユニットでした。(デビュー最初期は3人組でしたが、1年ほどで脱退) 一世を風靡する1979年頃までの間の10年弱ほどはなかなか売れず、涙を呑んだ時代もありました。小田さんと鈴木さんは共にスコアが書くことのできるミュージシャンで、作詞・作曲のみならず、自らストリングスなどのアレンジも出来るなど、その才能はミュージシャン界隈で高く評価されていました。1973年からはバンド・サウンドに本格的に取り組みようになり、ドラムの演奏をアリスのドラマー・矢沢透さんに委ねた作品もありました。しばらくはゲスト・ミュージシャンがレコーディング・ライブに参加していましたが、1976年にドラムに大間ジローさん、ベースに清水仁さん、ギターに松尾一彦さんがそれぞれ固定メンバーとしてレコーディングやライブに参加するようになり、1979年に3人が正式にオフコースのメンバーとして加わり、バンド「オフコース」として歩みを進めることとなります。

この1979年初頭にはシングル「愛を止めないで」がスマッシュ・ヒットすることとなり、一躍オフコースの名を世間に知らしめることとなります。現在でも小田さんのライブで披露されることも多い、代表作とも言える作品となります。さらにこの年にリリースされたオリジナル・アルバム『Three and Two』は「新生オフコース」を大々的にしたジャケットは勿論のこと、小田さんと鈴木さん2人のセルフ・プロデュースになったことで、音作りにも変化が起きました。バンド・サウンドを意識するようになった上、自分たちが求められている作風を自ら提示し、さらに質の高い作品を提供できるようになっていました。このアルバムでは最高位2位となり、高い評価を受けました。オフコース人気を決定的にしたのは12月にリリースされた「さよなら」でした。こちらもシングル最高位が2位となり、現在でも愛されるバラードとしてオフコースのみならず、小田さんの作品として代表作となっています。

迎えた1980年、勝負の一曲としてリリースされたのが、この「Yes-No」でした。

「さよなら」でオフコースは人気を集めました。しかしながら「さよなら」と「Yes-No」の間には「生まれ来る子供たちのために」という、『Three and Two』からのシングル・カット作がありました。小田さんの強い希望でシングル・カットしましたが、売れ行きは捗ることはなく、次の新曲に期待されることとなりました。この「Yes-No」では小田さんも並々ならぬ信念をもって作ったことが窺え、この曲のレコーディングには1ヶ月半もの時間を要して作られています。

歌詞は「愛を止めないで」の歌詞がオフコースらしくないという指摘があったことを踏まえて、小田さんが「これならどうだ!」と思って「らしさ」を含んだ上で、当時の歌詞の中でも一線を超えるように書いたことを認めています。歌詞の大部分は疑問形で、女性に尋ねるような形で進んでいきます。

今なんていったの?
他のこと考えて 君のことぼんやり見ていた

君に質問することから始まるこの歌詞。他のことは曲中では明言されて無いですが、この後の展開を考えると「この後、君のことをどう誘おうか」と考えている可能性が高いです。君のことを全く考えていないというのは、ぼんやり君のことを見るくらいなので、その線は薄いでしょう。

好きな人はいるの?
こたえたくないなら きこえないふりをすればいい

言われたことに対する答えを返さないまま、僕は君に「好きな人はいるの?」と率直に聞いています。答えるのが嫌なら「僕みたいに」聞こえないふりをすればいいさ、といいます。

君を抱いていいの
好きになってもいいの

これも実は疑問形なのですが、何も答えない君に対して大胆な事をいいます。ここが「一線を超える」部分で、「抱きしめたい」という希望的な意味合いではなく、己の欲求に忠実な質問をぶつけているのです。それだけ君が魅力的なのでしょうが、当時からすれば度肝を抜かれる歌詞だと思います。

君を抱いていいの
心は今 何処にあるの

大胆な質問をされた君の心の胸の内は果たして何処にあるのか。秘かに君が想う人のことなのか、はたまた僕なのか。気になるところです。

8ビートのポップス、ロックで展開されています。小田さんが奏でるシンセサイザーは、「さよなら」とはまた違う雰囲気を出しています。大間さんのドラムはフィルの手数こそ少ないですが、正確に刻むタイトな演奏をさしています。また、曲中のカウベルも大間さんによるものです。清水さんのベースも派手なフレーズこそ無いですが、イントロ・間奏・アウトロのフレーズは数あるオフコースの作品の中でも名フレーズだと思います。鈴木さんと松尾さんはエレクトリック・ギターを弾いています。

この曲で見事ヒットを掴み取り、オフコースの人気は安定したものとなります。まさに飛躍の勝負曲となりました。