ユーミンブーム再来の火付け役。松任谷由実「守ってあげたい」 | よねともが気ままに思うブログ

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2024年になりました。新たな年を迎えて気持ちを新たにして過ごそうとした最中に、石川県の方で甚大な地震が発生し、惨状を報道で見てただただ呆然とするばかりです。その翌日には東京・羽田空港で衝突・炎上という重大インシデントが起きて、今の世の中が大きな不安に包まれているような気がしてなりません。


被災された方の無事を祈るとともに、亡くなられた方の御冥福をお祈りいたします。そしてこれ以上の大きな被害が無いことを祈っております。


私も新年一発目の記事を何にするか、どうするか考えましたが、色々と考えてこの曲を選曲するに至りました。音楽の力は無限だと思っております。心に寄り添える手段の一つだとも思います。


新年最初、本日は松任谷由実「守ってあげたい」(1981年リリース) です。





1972年のデビューから「荒井由実」として音楽活動をしており、「あの日にかえりたい」「卒業写真」「やさしさに包まれたなら」「ルージュの伝言」などの名作やヒットを出し、アルバム『ひこうき雲』『MISSLIM』『COBALT HOUR』は由実さんの名が知られるようになるにつれて徐々に売上を伸ばしていきました。ミュージシャンもアレンジを一手に担っていた松任谷正隆さんを始めとして、林立夫さん、細野晴臣さん、鈴木茂さん、吉田美奈子さん、山下達郎さんなど、現在の日本のミュージック・シーンを支えるミュージシャンが参加していました。

1976年に正隆さんと結婚したことを機に、歌手活動を辞めるつもりでしたが、現在の「松任谷由実」として歌手活動を継続します。しかし、松任谷名義での最初のシングル「ハルジョオン・ヒメジョオン」とアルバム『紅雀』は売上・評価共に低く、暗いシックな作風になったことが災いして売れなかったと正隆さんは評価しています。その後も『流線形'80』(1978年リリース) や『OLIVE』(1979年リリース) などのアルバムは荒井時代に比べて低調な売上となりますが、一定の水準はクリアしていた他、「埠頭を渡る風」「ロッヂで待つクリスマス」「真冬のサーファー」「青いエアメイル」「DESTINY」などの質の高い作品は継続して発表しており、次第に復調傾向となっていきます。そして1981年に満を持してリリースしたのがこの「守ってあげたい」でした。

この曲は薬師丸ひろ子さん主演の映画「ねらわれた学園」の主題歌として書き下ろされました。


「ねらわれた学園」のワンシーン。

主演を務めた薬師丸さんは当時「角川三人娘」と呼ばれたうちの一人で、アイドル的人気を博していた女優さんでした。薬師丸さんを見出し、この映画の製作総指揮を務めた角川春樹さんからも高い評価を受けていました。また、大林宣彦氏が監督を務めるなど、この上なく豪華な顔ぶれで製作・公開されました。由実さんは春樹さんからの依頼でこの曲を書き下ろしたそうです。

由実さんが書いた歌詞はアメリカのフォーク・ロックバンド「ラヴィン・スプーンフル」(The Lovin' Spoonful) が1965年にリリースした曲「うれしいあの娘」(You Didn't Have to Be So Nice) を参考にし、由実さんはブラジルの歌手であるアストラッド・ジルベルト (Astrud Gilberto) がカヴァーしたバージョンを基にして作ったといいます。映画の内容に沿ってはいますが、全ての人に寄り添えるような優しいポップス・バラードとなっています。

You don't have to worry, worry 守ってあげたい
   (あなたが心配することはないからね)
あなたを苦しめる全てのことから

自分の周りには、人知れず悩んでいたり苦しんでいることがあるかもしれません。でもそんなあなたのことを守ってあげたいと心に決めるのです。だからこそ「心配することはないからね」と優しく励ましていました。ちなみにこの歌詞は元々は先述の「うれしいあの娘」の原題「You didn't have to be so nice」から始まるつもりでしたが、字余りになってしまうために、現在の歌詞になったそうです。

初めて言葉を 交わした日の
その瞳を忘れないで

初めて出逢った日から日数が経ってから、言葉を交わすようになった2人。何処か私に対して見つめる瞳がやけに印象的だったようで、その瞳を忘れないで輝き続けて欲しいと強く思っているようです。

いいかげんだった 私のこと
包むように 輝いてた

性格がいい加減な私をいつも支えてくれており、徐々になくてはならない存在になっていたのです。

遠い夏 息をころしトンボを採った
もう一度 あんな気持で 夢をつかまえてね

遠い夏の日のこと。トンボを採るのに必死になっていたあなたの表情。あの輝きを今も見せて欲しい、そしてトンボを採るのに必死だったあの時と同じ気持ちで、自分の夢を掴んで欲しいと願っていました。

So, you don't have to worry, worry 守ってあげたい
あなたを苦しめる全てのことから
'Cause I love you 'Cause I love you

夢を掴むことに必死だけど、その途中で挫けることも当然あります。壁にぶつかることもあります。そのときには私を頼ってほしいのです。挫折するような心も、夢を阻む壁も私があなたから守ってあげるから。何故なら私は、あなたのことが好きだからこそ、こういう強い想いになるのでした。

先述したように優し位ポップス・バラードで作られており、キーボードとアコースティック・ギターのアルペジオが印象的なサウンドとなっており、暖かみを感じるアレンジとなっています。それでいて正隆さんのアレンジの特徴であるコーラスが散りばめられており、洋楽的な部分も感じ取れます。キーボードは正隆さんが、ドラムは島村英二さん、ベースは高水健司さん、エレクトリック・ギターは松原正樹さん、アコースティック・ギターは瀬戸龍介さん、パーカッションは斉藤ノヴさんによる名演となっています。

この「守ってあげたい」は大ヒットとなり、第二次ユーミンブームが訪れるキッカケとなります。優しいポップス・バラードはユーミンの代表曲となりました。今の世の中に必要な暖かさかもしれません。