エレクトロニカ+ピンポン。SUPERCAR「YUMEGIWA LAST BOY」 | よねともが気ままに思うブログ

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本日はSUPERCAR「YUMEGIWA LAST BOY」(2001年リリース) です。




SUPERCAR(スーパーカー) は、中村弘二さん(ボーカル・ギター・キーボード)、いしわたり淳治さん(ギター)、フルカワミキさん(ベース)、田沢公大さん(ドラム) の4人で青森・八戸市で結成されたオルタナティブ・ロックを得意とするロックバンドです。


「SUPERCAR」

元々は八戸市内の楽器店にフルカワさんがバンドメンバー募集の貼り紙を貼ったことが全ての始まりで、その貼り紙をいしわたりさんが見つけ、連絡を取りますが、連絡が返って来なかったこともあり、いしわたりさんが幼馴染みだった中村さんと、中学の部活仲間だった田沢さんを誘ってバンドを作り、いしわたりさんがフルカワさんを誘う形で「SUPERCAR」を結成します。1997年にシングル「cream soda」をリリースしデビューを果たすことになります。この当時はビジュアル系のロックバンドが多く台頭すると同時に、くるりや後に「100s(ひゃくしき)」を結成する中村一義さんがデビューするようになり、オルタナティブ・ロックの新世代が生まれるようになるなど、「1997年デビューのオルタナティブ・ロックバンド」として注目されるようになります。1998年に高等専門学校に通っていたいしわたりさんが卒業すると同時にアルバム『スリーアウトチェンジ』をリリースすると、1st.アルバムながらロングヒットを飛ばすなど、高く評価されました。作詞はいしわたりさん、作曲は中村さんが手掛けていました。また、この当時は青森に住んでおり、レコーディングとプロモーションの時のみ東京へ通い、ホテルで過ごしていたそうです。

1999年にメンバー全員が東京へ上京し、本格的に東京で腰を据えて音楽活動を行い始めます。そんな中で転機を迎えるのが2000年のアルバム『Futurama』で、アメリカ・ニューヨークに渡ってレコーディングを行い、さらに初めてエレクトロニカを取り入れるなど、それまでのバンドサウンドを変えることになります。フルカワさんと田沢さんのリズム隊も打ち込みになるなど、よりデジタルで近未来感溢れるサウンドになっていきます。そして2001年、SUPERCARのエレクトロニカサウンドを確立させるのがこの「YUMEGIWA LAST BOY」でした。

この曲は窪塚洋介さん主演の映画「ピンポン」の主題歌に起用されました。


映画「ピンポン」のワンシーン。

「ピンポン」といえば、この映画を思い出す方も多いのではないでしょうか。元々は松本大洋氏が書いた漫画「ピンポン」が原作で、神奈川・藤沢市を舞台とした、卓球部を舞台とした青春群像劇となります。当時、窪塚さんは人気の絶頂期で、多くの映画やテレビドラマに出演し、人気を集めていました。そんな窪塚さんが主人公のビジュアルに近付けるために「おかっぱ頭」になったことや、共演のARATAさん(現・井浦新さん) との共演、そして卓球の試合シーンはフルCGで作られるなど、話題に事欠かさない映画でもありました。

そんな映画の主題歌となったのがこの曲ですが、いしわたりさんによる歌詞が実に抽象的で単語の羅列に近いものとなっており、当時のJ-POPではかなりチャレンジした歌詞になったのではないかと思います。

具体的には曲の構成も含めて記載すると、

イントロAメロ間奏Aメロ間奏
Aメロサビアウトロ

となっており、Aメロの歌詞は、

夢際のラストボーイ  永遠なる無限
夢際のラストボーイ 触れていたい夢幻
      (または「揺れていたい夢幻」)

のみとなっています。何を指すものなのかははっきりとは解りませんが、恐らく映画の主人公と仲間たち、ライバルが高校生であることから、「ラストボーイ」=「高校3年生」ということではないか、と考えられます。今のこの部活の楽しみをずっと触れていたい、揺れるぐらいの喜びを表現したい、という意味合いなのではないかと思います。

サビは、

崇いサポートの礼に
崇い未来への礼に
自然と愛への礼に
固い誓いへの礼に

の4単語のみ。「高い」ではなく「崇い」と表現しているのは、相手への礼儀を表現するには「高い」ではシンプル過ぎるからなのではないかと思われます。相手への礼儀は勿論、今の環境と支えてくれた両親(「自然と愛」) と、ここまで育ててくれた恩師(「崇い未来」) への崇高なる礼儀を忘れてはなりません。そういった思いがこの歌詞に表れているように思います。

共同編曲・プロデュースには、電気グルーヴのキーボーディストだった砂原良徳さんが参加しており、電気グルーヴの特徴的だったテクノ・エレクトロニカを前面に押し出した作品となっています。勿論、リズム隊は打ち込みで、基本的にはギターとコンピューターで構成された曲となっています。最早バンドサウンドでは無いのですが、SUPERCARによる独自のエレクトロニカサウンドを確立したといっても過言ではありません。

エレクトロニカとピンポン。ロックバンドの新たな一面を確立させた、日本のポップスの新たな指標となる曲だと思います。