夏全開、ここに極まる!TUBE「あー夏休み」 | よねともが気ままに思うブログ

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本日はTUBE「あー夏休み」(1990年リリース) です。





「シーズン・イン・ザ・サン」から始まったTUBEの「夏路線」はその後も「SUMMER DREAM」「BEACH TIME」といった作品を立て続けにヒットし続け、それまで「夏」を代表する山下達郎さんやサザンオールスターズと並び、一躍「夏」を代表するバンドとなっていきました。「Remember Me」ではシングル表題曲で初めて前田亘輝さんが作詞を手掛けるようになり、徐々に提供曲から自作へと切り替えていくようになります。1989年の「SUMMER CITY」では前田さんが作曲も手掛け、同じ年の「Stories」で作詞:前田亘輝さん 作曲:春畑道哉さんという現在に至るまで築かれるコンビで曲が作られるようになります。そして、TUBEの「夏」イメージを確立するのがこの「あー夏休み」となるのです。

この曲はJT(日本たばこ産業)「Sometime LIGHTS」のCMソングに起用されました。

TUBEでは当初、「シーズン・イン・ザ・サン」のような洗練されたシティ・ポップのような作風の曲を作るつもりでシングル制作に入っており、1990年のアルバム『N・A・T・S・U』に収録されている、アルバムと同名の曲をシングルの第1候補にしていました。しかし、当時の音楽プロデューサーがその路線を強く反対し、プロデューサー自らギター弾き語りをして、「このような曲を作れないか?」と提案したとのこと。しかし、メンバーはその提案に納得できず渋々曲を制作することになります。そして前田さんが「Oh! Summer Holiday」というこの曲の原曲となる曲を制作。しかし、それでもプロデューサーが首を縦に振ることはなく、困ったことになります。そこで、タイトルを「あー夏休み」に変えるとプロデューサーの反応が良くなり、それがキッカケで元々書いていた歌詞を破棄し、前田さんはヤケクソになりつつも全て歌詞を書き直しました。その歌詞が現在の「あー夏休み」となります。また、プロモーションにおいてもプロデューサーが「衣装は浴衣でいこう」と指示を出したそうですが、メンバーとの方向性が違うため、TUBEのメンバーは解散を覚悟していたといいます。

そんなヤケクソに書いた前田さんの歌詞は、神奈川・湘南地域で夏を満喫する男性を描いたものでした。

湘南で見た 葦簾(よしず)の君は
誰かれ振り向く切れ込み feel so Good!


「葦簾」

「葦簾(よしず)」とは写真にあるような葦で作ったすだれで、夏場になると各地で見られるすだれです。歌詞の舞台は「湘南」とあるため、ここでは湘南の海に、「海の家」に居る女性を指したものではないか、と推測できます。男性は湘南に遊びに来ており、「葦簾の君」を見て「いいな」と思ったのだと思います。女性の格好はまさしく「セクシーな姿」だったのでしょう。男性なら誰もが振り向く姿なのでしょう。

夏の少女 一度お願いしたいね
I love you 連発する 渚のオオカミboy

男性は女性に対してナンパしているようで、「一度でいいから」「君のことが好きなんだ」と口説いているようです。あからさまに下心を出す男性のスケベさと情けなさが合わさった、秀逸な歌詞です。

防波堤腰掛けて 灼けば鳴く蝉
熱冷めやらぬ二人 飛び込む水の音

口説くことに成功し、ビーチから防波堤へ移動した二人。灼熱の太陽が照りつけ、蝉の音が鳴く時に、熱く燃える二人はそのまま海へ飛び込み、クールダウンします。

Hold me tight 夢とちゃうのかい
こんな出逢いは

男性は未だに女性と一緒に過ごすこの瞬間が「夢じゃないのか」と半分戸惑いもありながら、楽しく過ごしています。出逢いが「ナンパ」だけにこんな上手くいっていいのか?と思っています。

夏の数だけ恋したけど

男性はそれまでも夏場の湘南の海で、今回のようにナンパをしてきたのでしょう。しかしそれまでは失敗していたのです。今回は珍しい成功例なんでしょう。

It's all right 抱いたっていいんじゃない
焦げた素肌を

ここまで来ればあともう一押し。男性は女性と一夜を過ごしたいと思っています。日焼けした女性の肌に触れたいという思いが出ていますね。

あー夏休み
チョイト泳ぎ疲れ 胸に cool baby

飛び込んだ海で泳ぎ疲れた男性。さっきまで熱かった自分は、一気にクールダウンが出来たようです。

作曲は前田さんと春畑さんの共作によるもので、自作へと切り替えてからは春畑さんが作曲を一手に担っていましたが、TUBE作品でも珍しい共作となっています。ポップスとラテンを融合させた、熱いハートを一気に下げる、清涼感あるJ-POPとなっています。とはいえ前田さんの歌唱は熱さMAX。「あー夏休み」の高音はなかなか出ないですが、ピッチがバッチリでさすがの歌唱力となっています。

「夏休み」のこの時期に聴きたい開放的な一曲。「日本の夏、TUBEの夏」を体現したポップスです。