本日はもう1本。2本目はWink「淋しい熱帯魚」(1989年リリース) です。
Winkは鈴木早智子さん(ジャケット写真左) と相田翔子さん(写真右) の2人組によるアイドルデュオで、昭和末期から平成前半にかけて活躍しました。1988年に「Sugar Baby Love」でデビューし、この年の年末にリリースされた「愛が止まらない 〜Turn it into love〜」(オーストラリアの女性シンガー、カイリー・ミノーグ (Kyile Ann Minogue) の大ヒットナンバーのカバー) がドラマ主題歌に起用されたことが後押しとなり初のオリコン1位を獲得するなどの大ヒットとなり、当時アイドル歌手がなかなか台頭しなかった時期ということもあり、一気にスターダムにのし上がることとなりました。この曲の披露時には既に緊張から来る顔の表情筋の固まりから来る「無表情」による歌唱とダンスが、他のアイドルとは異なる魅力を出すことに成功し、異彩を放っていました。2人共当時まだ10代ながら、既に完成されたスタイルは多くのファンを獲得しました。続くシングル「涙をみせないで 〜Boys Don't Cry〜」もカバー曲ながらやはり大ヒットすることとなります。しかしながらここまでヒットしたのはカバー曲ばかりで、次はオリジナル曲でのヒット臨まれていました。そしてリリースされたシングルが「淋しい熱帯魚」でした。
この曲はWink自身が出演した松下電器・パナソニック「ヘッドフォンスタジオ S-TYPE」のCMソングとして書き下ろされました。
作詞は「愛が止まらない」で日本語詞を付けた作詞家の及川眠子さんによるものです。
「Stop 星屑で髪を飾り」
「Non-stop 優しい瞳を待つわ プールサイド」
夏のプールサイドで、想い人を待つ女性。星屑とありますが、キラキラ光る無数の飾りで髪を飾っているようで、想い人と逢うのに相当気合が入っているようです。「優しい瞳」は想い人のことでしょうか。
「ZUKI-ZUKI 切なくふるえる胸」
「幻でもいい 逢いたいのに」
しかしなかなか想い人が現れません。逢えるかどうか徐々に不安になっていく女性。胸がズキズキと痛んでいきます。夏の幻でもいいから逢いたい!と切ない状況が伝わってきます。
「Heart on wave Heart on wave」
(心が波のように揺れる…)
「あなたは来ない」
揺れ動く私の心は、プールで流れる波のように荒れていました。いつまでも来ないあなた、女性の心の痛みが現れています。
「私の思慕(おも)いを ジョークにしないで」
向こう(想い人)はこの想いは「本当に〜?」と茶化すような感じでいるのでしょうが、女性は本当にあなたに心が行っているからこそ、「ジョークにしないで!!」と本気で伝えています。
「Lonely ユラユラ Swimmin'」
「ユラユラ Dreamin'」
「愛が揺れる」
ジョークにされ、自分の心を足蹴にされたような気持ちになった女性。プールで揺れる波のように、自分の想い人に対する想いが揺れてしまいます。
作曲は尾関昌也さん、アレンジは船山基紀さんによるもので、前2作のユーロビートサウンドをベースにしつつも、明るいユーロビートというよりも、少し影のあるダンス・ミュージックというような曲に仕上がっています。イントロのシンセサイザーの刻み方、ベースの太いサウンドはノリやすいサウンドとなっており、名アレンジャー・船山さんの名仕事ぶりが窺えます。
この曲でもオリコン1位を獲得し、1989年の賞レースを総なめにし、日本レコード大賞を受賞し、その年のNHK紅白歌合戦にも初出場を果たすなど、Winkにとって最高の1年となりました。サビの振り付けは誰もが知ってるこの曲。無表情の歌姫デュオがスターになった1曲です。