愛がつきぬける。財津和夫「Wake Up」 | よねともが気ままに思うブログ

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本日は財津和夫「Wake Up」(1979年リリース) です。




1970年代のニュー・ミュージックを代表するバンド「チューリップ」は、「心の旅」(1973年) のヒットにより、バンドが大きく成長を遂げます。「心の旅」と「銀の指環」(1974年) のヒットは、ギター・キーボード担当の姫野達也さんによるボーカルで、財津さんの渋く高い声とは対照的で、少し甘い中低音の声で、チューリップ人気に一役買いました。「青春の影」(1974年) で財津さんのボーカルに戻し、こちらでもヒットが生まれた事から、チューリップは財津さんと姫野さんの2大ボーカル、そして上田雅利さんのタイトで骨太のドラム、安部俊幸さんのジョージ・ハリスンの影響を色濃く受けたプレイのギター、吉田彰さんのアマチュア期から支えてきたベースと、演奏技術においても素晴らしく、チューリップは一線を走るバンドとなりました。

そんな中で、フロントマンの財津さんは1978年に、チューリップと並行してソロ活動を開始し、財津さんが影響を受けたポール・マッカートニーの1st.ソロ・アルバム『マッカートニー』(McCartney) を意識して、財津さんが全ての楽器演奏に挑戦したソロ・アルバム『宇宙塵』をリリースします。ギター・キーボードのみならず、普段担当しないベース・ドラム・パーカッション・シンセサイザーといった楽器演奏は、財津さんなりに懸命に演奏しており、ちょっとチープな音だったりもしますが、評価されています。しかし、チューリップとは異なり売上は伸びませんでした。

そんなソロ活動で大きく飛躍するキッカケとなったのが、この「Wake Up」でした。

この曲は、財津さん自身が出演したセイコー「Wake Up」キャンペーンのCMソングとして書き下ろされました。



作詞はもちろん財津さんで、歌詞は特に対象が明確に描かれておらず、幅広い年齢層に向けたメッセージ・応援ソングのような趣となっています。1番では「嫁ぐ」とある為、女性が結婚をしていく場面もありラブソングでもあります。広義では「愛」「旅立ち」をテーマにした作品とも言えます。財津さんの歌声とマッチする歌詞です。

Wake Up Wake Up
Wake Up Wake Up
今 愛がつきぬける

「Wake Up」は直訳で「起きろ」「目覚めろ」という意味です。自分の心の中に眠った気持ち、パワーを今起こすんだと後押ししています。

涙を拭いたら ゆきなさい
あなたが生まれた 家をうしろに

いきなり「涙」が出ますが、場面としては生まれ育った家から自立していく場面を想像します。(昨日の竹内まりやさんの「明日の私」みたいですね) ここまで育ててくれた両親が涙ぐむ私に対して、悲しく寂しながらも「行くんだよ」と背中を押しているようです。

白い吐息はずませて通ってた
学び舎への道 今日は嫁ぐ道

この歌詞で、先程の場面は「嫁ぐ娘と送り出す両親」という場面であることがわかります。学生時代は夏の暑さ、冬の寒さに堪えながらも学校に通ってた道でしたが、今日は愛する人へ向かうための道となっています。同じ道でも、自分の成長で違う光景に変わっています。

落とせない荷物は あなたの心
そしてほほえんだ あなたの写真

荷物を運びながら向かいますが、物は落としても、大切なあなたの心は落としてはなりません。手にはまるであなたに向かって微笑みを向けるあなたの写真が。

Wake Up Wake Up
Wake Up Wake Up
今 愛がつきぬける
あの人へ あの人へ

ここで私の心が呼び起こされます。あなたへの愛が大きく、あなたへ向けて愛が突き抜けるように、心があなたでいっぱいになっています。

とても爽やかなポップスとなっており、ピアノとエレクトリック・ギターが主体となっています。作曲はもちろんですが、編曲まで財津さんが手掛けており、非常にシンプルにまとまっています。「Wake Up」も、『宇宙塵』の制作同様に、ギター・キーボードは財津さんによる演奏ですが、ドラムは甲斐バンドのドラマー・松藤英男さんが叩いているそうです。

財津さんのソロ曲として初めてヒットを出し、以降のチューリップ、そしてソロ活動に変化をもたらします。財津和夫にとって、極めて重要な曲であることは間違いありません。