本日は松任谷由実「ANNIVERSARY」(1989年リリース、シングルは「〜無限にCALLING YOU」の副題付き) です。
時はバブル全盛期。由実さんの音楽は映画「私をスキーに連れてって」に「恋人がサンタクロース」が使われたことがキッカケで、再び注目を集めることとなります。バブルという時代に、常に最先端で都会的な音楽を提供する由実さんの曲は多くの若者から支持を集めます。また、年に一回はアルバムをリリースしていた由実さんですが、1987年のアルバム『ダイヤモンドダストが消えぬまに』でミリオンセラーを記録すると、翌1988年のアルバム『Delight Slight Light KISS』は先行シングルが無いにも関わらず、オリコン1位を記録し、1ヶ月程でミリオンセラーとなるなど、当時の最速記録を打ち立てます。そして、年間1位を獲得するなど、ユーミンブームとなっていきます。
制作においても変化が生じており、それまで生音での制作を基本としていましたが、松任谷正隆さんがシンクラヴィアに着目し『ダイヤモンドダストが消えぬまに』で導入するようになります。同時期に小室哲哉さんもシンクラヴィアでの制作を行うようになり、日本のデジタル・レコーディングとコンピューター・ミュージックは一つの新時代を迎えます。正隆さんはリズムの中核を担うドラム・ベースをシンクラヴィアによる自動演奏に変えていきました。以降、生音中心からコンピューターによる演奏へと変化していき、由実さんの作風に変化をもたらしていきます。
そんな中で1989年にリリースされたのがこの「ANNIVERSARY」でした。
この曲は1989年4月から1年間に渡って、KDDの企業CMソングとして使われました。
歌詞は結婚を祝うものと捉えられており、二人の門出を祝う曲として、一般的に結婚式などで使われています。
「なぜこんなこと 気づかないでいたの」
「探し続けた 愛がここにあるの」
身近な人物が実は最愛の人で、自分が追い求めた愛が、男性がここにあるという驚きがありました。
「木洩れ日がライスシャワーのように」
「手をつなぐ二人の上に 降り注いでいる」
二人でいる何気ない日常。そんなときも、空が祝福しているかのように、ライスシャワーのように陽が二人を照らしています。
「あなたを信じてる」
「瞳を見上げてる」
「ひとり残されても あなたを思ってる」
夫婦になる二人。いつまでもあなたを信じ、あなたが先に旅立っても、ずっとあなたを思い続けると誓っています。
コンピューターとクリーンなギターが奏でるバラードとなっています。エレクトリック・ギターは松原正樹さんによるもので、ラストのギターソロも松原さんによる名演となっています。キーボードは正隆さんによるもので、他はシンクラヴィアやコンピューターによるものとなっています。
二人の記念日を祝う曲。由実さんのバラードの中でも多幸感溢れる作品となっています。