芸人による国民的ヒット曲。H Jungle With t「WOW WAR TONIGHT」 | よねともが気ままに思うブログ

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本日はダウンタウン・浜田雅功さんの誕生日で、今年で還暦となりました。やはり、この曲を取り上げないわけにはいきません。ということで本日2本目はH Jungle With t「WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント」(1995年リリース) です。




元々この曲を作るキッカケとなったのが、ダウンタウンが司会を務めていた音楽番組「HEY!HEY!HEY!」(フジテレビ系) に当時小室哲哉さんプロデュース「恋しさと せつなさと 心強さと」で大ヒットしていた篠原涼子さんと小室さんがゲスト出演した際、この当時小室さんプロデュースの曲が篠原さんやtrfなど、数多く生まれていたことに着目していた浜田さんが「僕にも売れる曲を書いてくださいよ」と小室さんに直談判したことが始まりでした。その後に正式に浜田さんサイドが小室さんサイドにオファーを出したところ小室さんが引き受けてこの曲の制作がスタートしました。小室さんは当時既にglobeの制作を始めており、春にはデビューする予定だったのを、H Jungle With tのプロジェクトを優先した為、夏にデビューがずれ込むことになったそうです。

浜田さんと小室さんによるユニットということもあり、制作にあたってコンセプトを2人で考えたそうで、「何年か後になって見直しても恥ずかしくないものは作らない」「衣装はラフな格好で」「愛は歌わない」などを決めていき、作曲は小室さんがダウンタウンが出ていたビデオから浜田さんの喋るテンポや性質を加味して、当時イギリスで発祥した新たな音楽ジャンル「ジャングル」に着目して、それを根幹にして作曲・編曲されました。

歌詞は小室さんから見た当時の浜田さんの印象などを元に、「まだおっさんと言われるような齢ではない(リリース当時浜田さんは31歳) 、若者だけど頼れる兄貴分」「男性からは「こうなりたい」、女性からは「ぶっきらぼうだけど優しい憧れの上司」」、「ファッションリーダー」というインスピレーションから着想し、さらに当時東京での仕事が増えてきた浜田さんが「寝る暇もない浜田のことを思って書き出したが、浜松町で働くサラリーマンを見ているうちに応援歌になった」「『30代の働き盛りの男性がふと立ち止まった瞬間』を切り取った」「日々の慌ただしい生活感とそこからの解放感」「どんな時代背景でも、誰の心境にも寄り添って『何かを起こしたい』という気持ちを奮い立たせる普遍的な歌にしたかった」というコンセプトの元、小室さんが作詞しました。また、小室さんが尊敬する吉田拓郎さんの「旅の宿」のシチュエーションも持ち出しており、拓郎さんの世界観を好む当時の世代と、今の音楽を聴く若者が共に刺さるような世界観を心掛けたそうです。

たまにはこうして肩を並べて飲んで
ほんの少しだけ立ち止まってみたいよ

なかなか休暇が取れない浜田さんのことを思った歌詞。1995年のリリースから、2023年の還暦に至る現在まで、お笑いの第一線に立ち続ける浜田さんですが、たまには少し休みたいと思ったりもすると思います。そんな時にはちょっとでも肩を並べて飲んで談笑したいな、とそんな気持ちになっている浜田さんを想像すると、何か微笑ましい気分になります。

純情を絵に描いた様な さんざんむなしい夜も
笑って話せる今夜はいいね

ここまでのキャリアには勿論、失敗なども付きものだったかもしれません。でも今は飲んで談笑している楽しいひととき。笑い話にして盛り上げています。それは失敗して一人虚しく過ごす夜よりも、楽しい夜となっています。

温泉でも行こうなんていつも話してる
落ち着いたら仲間で行こうなんて

拓郎さんの「旅の宿」の影響を受けた部分となっています。仕事が一段落したら、気心の知れた仲間達と温泉でリフレッシュしたいと、いつも話しているようです。この話も、先程と同じ飲んで談笑しているところと同じなのだと思います。この「仲間」は、プライベートで共にする仲間なのか、はたまた今田耕司さんや東野幸治さん、ほんこんさん、板尾創路さんらの「ダウンタウンファミリー」なのか。色んな想像が膨らみます。

でも 全然暇にならずに 時代が追いかけてくる
走ることから逃げたくなってる

でも浜田さんは忙しい身。このときもダウンタウンとしてのレギュラーを多数抱え、ドラマにも出演してという多忙なスケジュールでした。そして時代はダウンタウンを求められていたこともあり、否が応でもダウンタウンを求められます。そんな忙しい身から投げ出して、逃げたくなっていました。

優しさに触ることよりふりまくことで
ずっとずっと今までやってきた

これはよく言われる浜田さんの優しい人柄が垣間見れる歌詞となっています。優しさを他人に向けることで、敵を作らずに仲間を増やし、そして慕われるようになってきました。相方がネタを考える中、自分は対外関係を築くことで、最強のコンビ・ダウンタウンとして芸能界を渡ってきました。

それでも損したなんて 思ってないから今夜も
なんとか自分で自分を守れ

自分では優しさに触れることよりも、優しさをふりまくことを損とは考えていませんでした。損と思うとやるせなくなるから、そして自分のことよりも他人の幸せを応援するほうが性に合っているというのもあるんでしょう。

Hey, hey, hey. 時には起こせよムーヴメント

時には自分で何かを起こすことも大事だと声を挙げます。「Hey, hey, hey.」は、まさしく「HEY!HEY!HEY!」を入れた小室さんなりの言葉遊びです。

がっかりさせない 期待に応えて 素敵で楽しい いつもの俺ら(おいら)を捨てるよ

素の自分を捨てて、みんなの為なら期待に応えて「がっかりさせない」「素敵で楽しい」場作りをすると、高らかに宣言します。これは浜田さんの思う番組作りの心掛けと重なるのでしょうか。

自分で動き出さなきゃ 何も起こらない夜に
何かを叫んで自分を壊せ!

これは自分で動き出す、変えようとすることの大切さを叫んでいます。動き出さなきゃ当然何も起こりません。せめてもの、何かを叫んで、自分を鼓舞しない限り、それまでの自分から変わることはありません。だからこそ「叫んで今までの自分を壊して新しい自分になるぞ!」と言っています。

ジャングルビートのポップスですが、序盤はレゲエとなっています。アレンジは小室さんと、「小室哲哉の一番弟子」と言われたアレンジャーでマニピュレーターの久保こーじさんによるもの。そしてこの曲では(というよりH Jungle With tの活動においては) 小室さんはキーボードでは無く、エレクトリック・ギターを弾いており、自らリズムギターを弾いています。また、小室さんはハーモニーも歌っています。

浜田さんのボーカル・レコーディングは、わずか4
テイク、1時間半ほどで終了したそうです。浜田さんはレコーディング2週間前に完成版を貰って聴き込み、レコーディング時には全ての歌詞と譜割りが頭に入っていたそうです。また、ボーカルのレコーディングは小室さんの個人スタジオで行われましたが、何の変哲もないリビングでレコーディングされました。さらに、マイクを持って歌ったため、浜田さんは「家でカラオケをしてる感覚だと思ってレコーディング出来た」と話しています。コーラスは「プロのコーラス隊ではない方が親しみやすさが持てていい」という理由で、trfのDJ KOOさんが、東京・六本木のクラブで踊っていた客に声をかけて、その場で小室さんのスタジオに連れていき、クラブのテンションで歌ってもらったそうです。

そして、間奏とアウトロに、浜田さんの相方・松本人志さんが参加していることでも有名です。松本さんは間奏で「B·U·S·A·I·K·U H·A·M·A·D·A」(ブサイク浜田) と掛け声を出し、アウトロでは小室さんがダウンタウンのレギュラー番組の収録スタジオまで行って、テープレコーダーを持って松本さんに「好きに喋って下さい」とお願いされて喋った、浜田さんとの出会いを収録されています。また、同じ間奏のラップは、globeのマーク・パンサーによるものでした。ターンテーブルはDJ KOOさんによるものです。

この曲は小室さんが「100万枚はいくと思う」と話した通り、オリコン週間チャートで7週連続1位を獲得し、200万枚を越すダブルミリオンセラーを記録、お笑い芸人のCD売上としては歴代1位となるなど、国民的ヒット曲となりました。小室さんのプロデュースも然ることながら、浜田さんの魂の歌唱が、この曲を国民的ヒット曲にした理由の一つだと思います。