プッツン女優のデュエット。藤谷美和子・大内義昭「愛が生まれた日」 | よねともが気ままに思うブログ

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本日は藤谷美和子・大内義昭「愛が生まれた日」(1994年リリース) です。





若い方は藤谷美和子さんと大内義昭さんを知らない方も多いと思いますので、両者に触れていきたいと思います。


左が大内義昭さん、右が藤谷美和子さん。

まずは藤谷美和子さん。1975年に芸能界デビューをしており、10代の頃からテレビドラマやCMなどで多く活躍するようになります。一躍注目を集めるのは中村雅俊さん主演の日本テレビ系ドラマ「ゆうひが丘の総理大臣」での生徒役でした。由美かおるさんや名古屋章さん、小松政夫さん、京塚昌子さんといった名優達に揉まれながらも、生徒役を演じきった姿は多くの視聴者を虜にしました。(ちなみに同じ生徒役で、本名の島村聖名子(みなこ) の名義で、後にダウンタウン・浜田雅功さんの妻となる女優の小川菜摘さんも出演されていました) その後も「あさひが丘の大統領」(日本テレビ系)、「池中玄太80キロ」(日本テレビ系) といった作品に出演して徐々に知名度を得るようになります。1984年には映画に2本主演として出演し、日本アカデミー賞で優秀主演女優賞を受賞する快挙と、NHK朝の連続テレビ小説「心はいつもラムネ色」のヒロインに抜擢されるなど、スターダムにのしあがることになります。その後も映画に数多く出演しては多くの賞を受賞するなど、美貌を兼ね備えた演技派女優として名を馳せることになります。

その一方で、元祖プッツン女優と呼ばれるほど、奇怪な発言や奇行がバラエティ番組出演時に目立っていました。

  • テレビ朝日系料理バラエティ番組「愛のエプロン」に出演した際に、VIP食材(この食材を使用しないといけない) に「イチゴ」が出たにも関わらず「カレーを作るの?」と発言。そして肝心の料理については「イチゴのタルト」を作ったが、「ピンクにしたかった」という理由で生クリームに紅しょうがを混ぜてしまい、イチゴにポッキーを2本突き刺して、鬼のようなものを作るという暴挙。そしてこのデコレーションについて、審査員の一人だった和泉節子さん(和泉元彌さんの母) を指して「お母様をイメージしたんです」と放言した。
  • 読売テレビの情報番組「なるとも!」に出演。司会者から「大阪の犯罪で一番多いのはなんでしょうか?」と聞かれて、「シュークリーム」と回答。
  • フジテレビ系バラエティ「明石家マンション物語」にて、30年飼っているインコにタラバガニを食べさせていることを暴露される。また、コーナー中にも関わらず装飾の花をいじり、「今ここで生け花をしてるの」と話して明石家さんまさんに叩かれる。
  • フジテレビ系バラエティ「めちゃ×2イケてるッ!!」の人気コーナー、「フジTV警察24時」に筧利夫さんと出演。筧さんのお株を奪うほどボケまくり、クリップを持って「そんでもってクリップ」という意味不明な発言。
  • 2005年に、舞台演出などを手掛ける岡村俊一氏と結婚。その結婚理由について「だって結婚しないと離婚できないでしょ?」と発言
  • 2003年に皇居の坂下門に突如タクシーで乗り付け、警察官に開門を要求。開けようとしない警察官に対して「紀宮さま(現在は結婚して黒田清子さん) は私の妹。お会いしてお手紙を渡したいのです」と発し警察官を困らせ、挙句の果てに1時間にもわたってタクシーに籠城する。

以上はほんの一部で、他にも幾つかあるのですが、この「皇居侵入騒動」が原因で、表舞台に姿を表すことが無くなり、現在は芸能界で見ることが無くなってしまいました。

そして大内義昭さん。1980年代には音楽活動を開始しており、作曲家・歌手として活動しました。1984年に「du-plex(デュー・ブレックス)」のメンバー「大内一記」としてレコードデビューもしており、作詞・作曲を行い、アレンジには笹路正徳さんや土屋昌巳さんといった一流のミュージシャンが参加していましたが、ヒットに至りませんでした。しかし、作曲家として小比類巻かほるさんのシングル「Hold On Me」や「City Hunter ~愛よ消えないで~」の作曲を手掛けてヒットし、一躍人気作曲家として、多くのミュージシャンに曲を提供します。その後は出身地の福岡県に在住し、校歌の作詞・作曲を担当したり、ラジオ番組のパーソナリティーを務めるなど、地元に根付いた活動を行っていましたが、2015年に食道癌で逝去しています。

そんな2人がデュエットしたのが、この「愛が生まれた日」でした。この曲は藤谷さん自身が主演した日本テレビ系ドラマ「そのうち結婚する君へ」の挿入歌で、藤谷さんにとって歌手デビューとなった曲です。


「そのうち結婚する君へ」のワンシーン。

この曲は元々、藤谷さんのデュエット相手として選ばれていたのは、ロックバンド「Justy-Nasty」のボーカリスト・藤崎賢一さんだったそうですが、藤崎さんが拒否したことで、大内さんにスポットライトが当たったそうです。大内さんも当初は乗り気では無く、「こんな歌謡曲みたいなのが売れるわけない」と思っていたのですが、藤谷さんに会えるという理由で引き受けたそうです。

作詞はドラマの企画も手掛けた作詞家の秋元康さんによるものです。

恋人よ 今受け止めて あふれる想い あなたの両手で

「2人の愛が生まれた瞬間」をテーマにしたのが、この曲です。女性は男性に対して想いをぶつけており、この愛を受け止めてと男性に話しています。

恋人よ 今 瞳(め)を閉じて 高鳴る胸が 2人の言葉

そのあふれる想いを受け止めた男性は、女性に対して「瞳を閉じて」と囁きます。これから起こることに、2人してドキドキしていることがわかります。

キャンドルの炎に 揺れてるプロフィール
世界で一番 素敵な
夜を見つめてる

2人して想いをぶつけて迎えた最初の夜。キャンドルの炎に灯された部屋に2人。「揺れてるプロフィール」は、何のことかよくわからなかったのですが、恐らく、未来を見据えた女性が、既に「例えばプロフィールに書くなら「ここから2人の愛は始まった」と記すんじゃないか」と思って、心が躍っている様を描いたものじゃないか、と思いました。まだ初々しい2人だからこそ考えることなんじゃないかな、と思います。

愛が生まれた日 この瞬間(とき)に 真実はひとつだけ

この2人の愛が始まったこの時から、お互いを大切に思い、そして共に永遠を誓うような状態になっていました。女性は

あなたとならば 生きていける

と言い、男性も

君とだったら 生きていける

と返しています。それくらい燃え上がった2人の愛のパワー、恐るべし。最後も

...めぐり逢えた

と締めています。

作曲は大内さん・・・と思いきや、作曲家の羽場仁志さんによるもの。上記の経緯があるので、大内さんが手掛けたものではありません。アレンジは萩田光雄さんによるもので、8ビートのポップスに仕上がっていますが、歌詞の内容や時代の経過に伴って、現在は歌謡曲・ムード歌謡の一曲としてジャンル分けされることもあります。しかし、この時代を感じるアレンジが、より良いデュエットソングになっていることもまた事実です。

挿入歌ながら、主題歌よりも売上が高く、最終的にはミリオンセラーとなり、賞レースで新人賞を獲得したり、NHK紅白歌合戦にも出場しました。「元祖プッツン女優」の歌手デビュー曲は、今も愛される歌謡曲となっています。