若き日の愛と夢。山根康広「Good-bye Love Road」 | よねともが気ままに思うブログ

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本日は山根康広「Good-bye Love Road」(1993年リリース、シングル「Get Along Together」カップリング) です。




まずは山根康広さんについて。山根さんは1966年生まれの現在56歳のシンガー・ソングライターです。山根さんは中学生の頃に聴いたアメリカ・イギリスの洋楽を聴いて大きな影響を受け、それが後に音楽の道を歩むキッカケとなっていきます。大学卒業後は友人とバンドを結成し、フロントマンとして活動するも、1991年に解散してしまいます。この当時の音楽活動はあくまで趣味の延長線上に近いもので、平日は会社員として従事し、週末に仲間と集まってバンド活動をする、というものでした。

バンド解散後はソロでの活動を始め、地道にデモテープを作るなど、デビューへの本格的な足掛かりを掴もうとしますが、中々恵まれません。山根さん自身はバンド・スタイルで活動を希望していましたが、なかなか意に沿うようなレコード会社に出会えず、苦労することになったそうです。しかし、1992年にかつてバンドを組んでいた友人がアレンジを手掛けたデモテープが、レコード会社の目に留まり、1993年に「Get Along Together」でデビューすることになりました。当時26歳と少し遅咲きのデビューでしたが、このデビューシングルがいきなりの大ヒットとなり、直ぐにスターダムにのしあがることになります。

「Get Along Together」は私も大好きな曲ですが、本日取り上げたいのは、そのカップリング曲「Good-bye Love Road」です。

「Get Along Together」でデビューしたものの、実は山根さん、デビューシングルにはこの「Good-bye Love Road」を推していたそうで、それほどこの曲を気に入っているようです。実際、山根さんのベスト・アルバムにこの「Good-bye Love Road」はほぼ必ず選曲され、さらにライブでの演奏も多く、ファンにおいても「名曲」と名高い曲として知られています。

歌詞は過去の彼女(君)との愛を綴ったラブソングです。

Main street showroomに並ぶ 二人憧れの 赤いCoupe
映画のOne sceneを夢見たくて 手に入れた


いわゆる「赤いクーペ」。車の名前では無く、元々は形態を表すもので、このように1列または2列シートにドアが2枚のものを「クーペ」という。

僕と君の夢は、当時から憧れだった「赤いクーペ」。非常に先鋭的なデザインで、スボーツカータイプもあるなど、現在においても人気の形態です。小室等さんの曲になるほどこの「赤いクーペ」は人気があり、共通の憧れの車に乗るのが夢だったようです。映画のワンシーンにも出てきたのが鮮烈的だったようで、僕は君のために思い切って購入したようです。

午前0時 彼女(きみ)を乗せて $1,000,000(百万ドル)の夜景へと続く
High wayを飛ばした 1974

深夜に赤いクーペを高速を飛ばして向かった先は、夜景の綺麗な場所でした。山根さんは大阪出身ですので、この「$1,000,000の夜景」を指すのは、兵庫・神戸市の六甲山地の中央に聳える山「摩耶山」の掬星台の展望台から眺める夜景となります。


現在の摩耶山掬星台展望台からの夜景。

Car radioから流れてくる Elton John number ボリューム上げる
肩抱き寄せて 彼女(きみ)に唄う Melody(愛)は夜空に溶けていった

夜景の見える丘へ向かう道中に僕がかけていたのはラジオ。そこにはイギリスのミュージシャン、エルトン・ジョンの曲が掛かっていました。その歌を口ずさみ唄う僕。そしてうっとりしなが聴く君。とてもロマンチックな光景です。

風に吹かれながら夢見て 誰に流されることなく思うがままに
彼女(きみ)は 仲間が僕の夢を 笑っていたときでも 一人素敵だと
言ったことが嬉しくて 眠れずに迎えた あの朝を忘れない

僕の夢は恐らく音楽でやっていくこと。それを仲間に言うも「叶うことない」「出来るわけない」と否定されて笑われたのでしょう。(この辺りのエピソードは、以前投稿したサザンオールスターズ「せつない胸に風が吹いてた」と同じような状況だと思います)  しかし、君だけはその夢を応援してくれて「素敵」とまで言ってくれました。君の言葉が嬉しくて眠れなかったと綴っていますが、ここでサビの最初の歌詞に結び付きます。君から素敵だと言われたことが自信に繋がった僕。その自戒だったり、座右の銘のような意味合いで「誰に流されることなく 思うがままに」という言葉に繋がってくるのだと思います。

サウンドは表題曲がピアノ弾き語り+αといった感じならば、この曲はバンド・サウンドになっています。しかし、アコースティック・ギターのイントロから始まり、キャッチーなピアノのセカンド・イントロが入るなど、山根さんの主流とも言えるロックとは一線を画した、バラードとなっています。メジャー・デビュー後は基本的に山根さんが作詞・作曲・編曲全て行いますが、この曲は大阪時代の知己、キーボーディストで作・編曲家の谷本成久さんが山根さんと共にアレンジを行っています。シンプルだけどキャッチーなサウンド。この曲の核とも言えます。(余談ですが、谷本さんは大阪を中心に活動しており、CM作曲家としても知られています。俳優の財津一郎さんが出演されていることでお馴染みの「タケモトピアノ」の作曲は、変名ですが谷本さんによるものです)

知られざる愛と夢を歌った名曲。広く知られて欲しい曲の1曲です。