ロックとポップ・バラードの融合。織田哲郎「いつの日か、きっと」 | よねともが気ままに思うブログ

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本日は織田哲郎「いつの日か、きっと」(1993年リリース、アルバム『T』収録) です。




1992年は「いつまでも変わらぬ愛を」と「君の瞳にRainbow」がヒットした、大きな1年となりましたが、1993年はそれを超える1年となりました。何と言ってもビーイングブームがピークとなり、所属ミュージシャンが出す曲の殆どがヒットするという、日本歌謡界の大きなトピックを創り上げることになります。これは、小室哲哉さんの一連の曲がヒットする「小室ブーム」が起きるまで続くことになりますが、そのヒットした曲の大半を作曲してきたのが、栗林誠一郎さんと織田さんになります。特にZARDの曲が顕著で、この1993年に限るだけでも代表曲「負けないで」「揺れる想い」と、「きっと忘れない」は織田さんが作曲し、「君がいない」「もう少し あと少し…」は栗林さんが作曲されたものです。織田さんはこの1993年だけでも多くのヒット曲を量産し、大黒摩季さんの「チョット」、DEEN「このまま君だけを奪い去りたい」「翼を広げて」、WANDS「愛を語るより口づけをかわそう」、ZYYG「君が欲しくてたまらない」、T-BOLAN「すれ違いの純情」、Wink「咲き誇れ愛しさよ」といったヒット曲を世に放ちました。また、テレサ・テンさんが生前最後にレコーディングされた「あなたと共に生きてゆく」もこの年でした。織田さんはこの1993年のメガヒット量産、そして前年の1992年にリリースされていた中山美穂&WANDS「世界中の誰よりきっと」がロングヒットを続けていたこともあり、この年にオリコン年間チャート作曲家部門にて史上初の年間売上1000万枚達成という日本新記録を樹立するという、日本歌謡界に残る記録を残すことになります。(ただし、この2年後の1995年には小室さんにあっさりと抜かれてしまいます) 

そんな年、織田さんは提供曲においては作曲のみに専念し、アレンジは明石昌夫さんや葉山たけしさんといったアレンジャーにお任せすることになり、それまでの1988年頃の忙しさとは落ち着いて仕事を行います。その間に織田さんは新作アルバム、そしてセルフ・カヴァーアルバムの制作で1ヶ月、アメリカに渡って海外レコーディングを行いました。前作『ENDLESS DREAM』では、レコーディングが基本的には織田さんの打ち込みを軸とした多重録音となっていましたが、コンピューター・ミュージックでの制作に行き詰まりを感じるようになったことから、アメリカで現地のミュージシャンと共にレコーディングを行う形になりました。こうして作られたアルバムは、『T』と名付けられてリリースされました。その中の一曲として制作されたのが、この「いつの日か、きっと」です。

イントロのエレクトリック・ピアノ、シンセサイザーのキャッチーなメロディー、そしてポップに彩られたアレンジはやはり織田さんの天才ぶりを見せつけられます。「いつまでも変わらぬ愛を」と同様のポップ・バラードの路線になるのですが、Aメロが終わるとロックなエレクトリック・ギターと8ビートのベースがかき流され、一気にロックなサウンドに様変わりします。元々の織田さんはロックンロール寄りの嗜好ということもあり、ポップ・バラードにロックンロールを融合させたサウンドになっています。しかし、それが無理に融合させた感じも無く、自然に作られた感じになっているのは、織田さんのアレンジ力の高さから為せる技であると思います。

歌詞は「いつまでも変わらぬ愛を」とは打って変わって、失恋した君を励ますものとなっています。

涙が枯れてしまうまで泣けばいいさ 夜はいつか明けてゆくから

君が別れを告げられたその時。悲しくて、切なくて。涙が出ていますが、そういうときは泣いたほうがいい、落ち着くまで泣いたほうがいいと君に話し掛けています。落ち着く頃には、別れを告げられた嫌な夜は過ぎ去っていくからね、と言ってます。

遠い日の記憶をたどれば  いつも君を見つめてた 誰かがいたはず

振り返ると、何かあったときに助けてくれていたり、見守っていてくれていた友人が居ました。

おしつぶされそうでも 解り合えなくても
ずっと悪いことばかり じゃないはずさ

人はどこかでぶつかることもありますし、嫌なことばかりで気が滅入ることもよくあります。でも、それはあくまで一時のことです。良いことは必ずあります。

いつの日かきっと 愛のその意味を 抱きしめて心から許しあえる

今は解らなくてもいい、でもいつの日かはきっと、どこかで愛の意味が解る日が訪れます。そのときには、どこかで許しあえる時が来るでしょう。

Wow wow Someday
いまはただそっと想い胸に沈めて
もう一度 もう一度 信じてごらん
いつの日か、きっと

解り合えることはいつかきます。何かぶつけたいこともあります。でも今はそっと胸に秘めておいて、相手を信じてあげることが大切だと話しています。

ポップ・バラードとロックンロールの融合が織り成す名曲。やはり織田哲郎の普遍性は侮れません。