アイドルからミュージシャンへ。KinKi Kids「好きになってく 愛してく」 | よねともが気ままに思うブログ

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本日はKinKi Kids「好きになってく 愛してく」(2000年リリース) です。




元々、王道アイドルデュオとして期待されていたことから、CDデビュー前から日本武道館でのコンサートや、テレビドラマの主演など、かなり所属事務所が力を入れていたかを窺うことが出来ます。デビューシングルとなる「硝子の少年」も「オリコン1位+ミリオンセラーが最低条件」と突き付けられることから、相当期待されていたことは、想像に固くありません。

そんなデビュー前に、テレビレギュラーが始まりました。その中の1つが、フジテレビ系「LOVE LOVE あいしてる」という音楽番組でした。


先日(7/21)に放送された「吉田拓郎卒業SP」のもの。
左から堂本剛さん、堂本光一さん、吉田拓郎さん、篠原ともえさん。

「LOVE LOVE あいしてる」は土曜深夜に放送された、KinKi Kidsと吉田拓郎さんによる音楽番組で、毎週ゲストを招いて、「LOVE LOVEなもの」をテーマにしたトークを行ったり、ゲストが選曲した曲を、生演奏をバックに歌ったりするなど、当時としては異色の音楽番組でした。また、デビュー前のKinKi Kidsと、以前から「テレビ出演拒否」をしていたシンガー・ソングライターの拓郎さんがタッグを組むという、これまた異色な組み合わせが話題となりました。これにより、「テレビ出演拒否」を表明していた拓郎さんが、番組出演時に見せた、時折情けない「おじさんキャラ」のような姿は往年のファンからはガッカリされたこともありましたが、若い世代には受け、新たなファン層を開拓するキッカケとなりました。拓郎さんは、KinKi Kidsと組むことに当初は抵抗があったそうですが、KinKi Kidsの2人が真剣に番組に取り組む姿勢を目の当たりにしたことで、KinKi Kidsへの感謝や番組に出たことへの謝意を後に語っています。

番組のテーマ曲は長らく拓郎さんが作曲した「全部だきしめて」が歌われていましたが、番組3年目の1999年に拓郎さん発案で、
  • 堂本剛さんが作詞
  • 堂本光一さんが作曲
という組み合わせで、新たな番組テーマ曲作りが行われることになりました。

番組開始時から拓郎さんや、レギュラーの1人だったTHE ALFEEの坂崎幸之助さんから、ギターを教わり、徐々に上達していったKinKi Kidsでしたが、ギターを覚えた次のステップがこの「テーマ曲作り」でした。1999年5月にスタートし、拓郎さんが曲作りを教えるなどしていきましたが、剛さんの詞は早い段階で出来たにも関わらず、光一さんの曲がなかなか出来ず、初の作曲はかなり苦戦した模様でした。その後、神奈川・箱根町への作曲合宿まで行い、果てはその合宿の道中にて、拓郎さんと親交のあるフォークシンガー・小室等さんがアドバイスするまでになりました。そして、2000年に完成したのがこの「好きになってく 愛してく」でした。

剛さんの歌詞は、拓郎さんのアドバイスでポジティブさを全面に出したものとなりました。「LOVE LOVE あいしてる」のテーマが「愛」ということもあり、「支え合うこと」「愛しあう・好きになること」が詞の内容になっています。

許し合えれば 話合えれば  必ずやさしくなれるのサ
そんな強さを おしえてくれたのは 君だ 君だ いつも君だった

「君」が「僕」に教えてくれたのは、意見がぶつかり、衝突しそうなときこそ、話し合うこと。そして、人を許し合うこと、それこそが強さであること。これは単純に「愛」といっても、「戦争による武力衝突」だとか、「人種差別」など、もっと広義な「愛」を説いているようにも聞こえます。

こわくはないのサ それでいいのサ 誰もが泣いたり笑ったり

泣くことは何も怖いことではありません。恐れないことも大切です。

胸がいたいネ 心がつらいネ
今も今日も 生きているからネ
今も今日も 生きているからネ

生きている証。泣くことや笑うことも勿論そうですが、何か辛いことで胸を痛めたり、心が辛く苦しかったり。でもそれは今を生きているんだから、それでいいじゃない、というポジティブなメッセージに聞こえます。

僕らは人を好きになってく 君も笑顔も涙も
僕らは人を好きになってく 今日を明日を唄いながら

僕らは人を愛しはじめる 強く切なく傷つき
僕らは人を愛しはじめる 今日も明日も唄いながら

サビの有名な歌詞ですが、人を好きになる、愛することは、勿論良いこともありますが、それだけではなく、君が悲しんだり傷ついたりしたときも、支えていかなくてはなりません。その覚悟を唄ったものだと思います。

光一さんの曲は、初めての作曲とは思えない程、完成度の高いアコースティック・サウンドにロックやポップスが入り組んだ作品に仕上がっています。編曲は、「LOVE LOVE あいしてる」に多く出演したキーボーディストでアレンジャーの武部聡志さんによるものです。アコースティック・ギターとエレクトリックギターはギタリストの鳥山雄司さん (鳥山さんも「LOVE LOVE あいしてる」に多く出演) 、キーボードとベースは武部さん、プログラミングは大竹徹夫さんが担当しています。また、コーラスには若子内悦郎さん、高尾直樹さんが担当している他、拓郎さんもコーラスで参加しています。

アイドルデュオから、本格的なミュージシャンへ。「LOVE LOVE あいしてる」から学んだことは、その後の活動に大いに貢献しました。この曲はその第一歩なのです。