単身赴任はやはり・・・。UNICORN「大迷惑」 | よねともが気ままに思うブログ

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本日はもう一本。UNICORN「大迷惑」(1989年リリース) です。




1987年にアルバム『BOOM』でデビューし、ここまで2作のアルバムをリリースしてきたUNICORNでしたが、奥田民生さん曰く「忘れてた」との理由で、デビューから1年半してからという遅い1枚目のシングルとなりました。(『BOOM』と2枚目のアルバム『PANIC ATTACK』リリース時にもシングルリリースの予定がありましたが、リリースする理由付けが出来ずに見送られたという理由もありました)

「大迷惑」そしてアルバム『服部』は『BOOM』『PANIC ATTACK』という2枚のアルバムから、制作方法やそれまでのUNICORNの音楽性をガラリと変えることになりました。それまでは民生さんが殆んどの曲を制作し、ボーカルを取ってきましたが、民生さんが他のメンバーに曲を書くように薦めることになり、結果的に全員が作曲した曲が『服部』に収録されることになり、またボーカルも民生さん以外にもベースのEBIさん、キーボードの阿部義晴さんがボーカルを取った曲が収録されました。

そして『服部』では阿部さんが加入してから本格的に参加したアルバムとなりました。『BOOM』では初代キーボードの向井美音里さんが担当していましたが、ライブなどが体力的に持たないなどの理由で『PANIC ATTACK』制作前に脱退し、代わって既にサポートメンバーとしてコンピューター・プログラマーなどで関与していた阿部さんが正式に加入しました。『PANIC ATTACK』制作時はまだメンバーでは無かった為、制作に口は出せませんでしたが、『服部』からはメンバーとしてサウンド・メイキングにおいて取りまとめ役を担うようになります。ドラムの川西幸一さんも「1枚目、2枚目のアルバムとはキーボードの存在意義を変えたい」と発するなど、阿部さんの加入がいかに大きいかを物語っています。

また、『BOOM』からプロデュース・共同編曲を手掛けてきた笹路正徳さんによる全面プロデュース作となっています。メンバー5人は笹路さんから多くの手解きを受け(阿部さんは元々笹路さんのサポートスタッフで、そこからUNICORNと関わりを持つことになりました) 『服部』では制作に行き詰まった時や、オーケストラアレンジなどで笹路さんのアドバイスを貰ったり、アレンジを行ったりといった形を取っていました。笹路さんによるUNICORNのプロデュースは本作が最後になりますが、次作『ケダモノの嵐』でも制作に関与し、現在でもインタビューなどで笹路さんに言及するなど、UNICORNのメンバーにとって笹路さんの存在がいかに大きいかを示しています。

『服部』の先行シングルとなった「大迷惑」ですが、会社員の「単身赴任」をテーマとした曲となっています。

町のはずれでシュヴィドゥヴァー さりげなく 夢にまで見たマイホーム 青い空
エプロン姿のおねだりワイフ 日なたぼっこはバルコニー Hey it's a beautiful day

会社員が町の外れに建てたばかりのマイホームは、奥さんと2人で過ごしていました。可愛いエプロン姿でキッチンに立つ奥さん、そして日なたぼっこが出来るバルコニー。何もかもが充実した日々でした。

突然 忍び寄る 怪しい係長 悪魔のプレゼント
無理矢理 3年2ヶ月の過酷な一人旅

充実した日々に影を落としたのは、上司からの単身赴任の指示でした。「悪魔のプレゼント」=会社員にとっての「単身赴任」です。しかも3年2ヶ月も!奥さんと暮らすマイホームでの楽しい生活が一気に崩れるのです。

この悲しみをどうすりゃいいの」 
誰が僕を救ってくれるの
僕がロミオ 君がジュリエット
こいつは正に大迷惑

幸せから一気に1人で遠くに行く悲しみをぶつけることも出来ず、そして誰も単身赴任を代わってくれも当然出来ず。ロミオとジュリエットみたいに離れ離れにされ、単身赴任は正に「大迷惑」です。

君をこの手で抱きしめたいの
君の寝顔を見つめてたいの
町の灯 潤んで消える 涙涙の物語

奥さんとずっと一緒に居たいという虚しい気持ちもどうしようもなく、涙が止まらず、町を離れていきます。

最後はずっと単身赴任の本音が出ています。世の会社員は必ず思うでしょう。

帰りたい


本作はロックの中にも物語的な要素があるため、笹路さんによるオーケストラアレンジを導入し、ミュージカル的な雰囲気を出しています。それでもアップ・テンポで骨太なロックを奏でています。元々UNICORNのメンバー全員の演奏技術はかなり高く、川西さんのドラムはハイハット・シンバルが表の拍を刻み、スネアが裏拍を刻むという、難易度の高い演奏をこなしています。手島いさむさんのギター・ソロも素晴らしいものとなっています。

1枚目のシングルながらもヒット作で代表作となっています。本格的に売れるのはこれからです。