どちらのバージョンが好きですか?「夜をぶっとばせ」 | よねともが気ままに思うブログ

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本日は「夜をぶっとばせ -Let's spend the night together-」です。


この曲は異なるバンドで2バージョン存在します。今回はどちらのバージョンが好みか、という今までには無かった形で書いていきたいと思います。


まずはピチカート・ファイヴ「夜をぶっとばせ -Let's spend the night together-」(1989年リリース、アルバム『女王陛下のピチカート・ファイヴ』収録) です。




バンド・ORIGINAL LOVEのフロントマン・田島貴男さんは、ORIGINAL LOVEをインディーズで活動していた時に、小西康陽さんに声をかけられ、1988年~1990年の2年間をORIGINAL LOVEとの掛け持ちでピチカート・ファイヴの2代目ボーカリストとしても活動します。田島さんはボーカリストのみならず、当時から抜きん出ていた作曲能力を存分に発揮し、メンバーの小西さん・高浪慶太郎さんと共に作曲も担当しました。1988年の『Bellissima!』、1989年の『女王陛下のピチカート・ファイヴ』、そして1990年の『月面軟着陸』の3枚に参加しました。しかし、セールスがあまり良くなく、特に『Bellissima!』に至っては音楽評論家からかなりこき下ろされるなど評判も悪く、メンバーも落胆してしまいます。

そんな中で1989年にリリースされた『女王陛下のピチカート・ファイヴ』は、架空のサウンドトラックという設定の下、メンバー3人が曲を持ち寄って制作されました。このアルバムでは、後にピチカートの3代目ボーカリストとなる野宮真貴さんも参加しています。

「夜をぶっとばせ -Let's spend the night together-」は、元々ORIGINAL LOVEのインディーズ時代にライブで演奏されていたものを、このアルバムの制作時に気に入った小西さんが、新たに歌詞を付けてピチカートのレパートリーとして収録されたものです。ホーンアレンジは田島さん自身によるものですが、当時、楽譜の書き方がほぼわからなかった田島さんが小西さんにホーンセクションを入れたいと相談した所、「田島くん自分でアレンジしてみなよ。ドン・セベスキー(アメリカのトロンボーン奏者で編曲家) の本に音域とか書いてあるからさ。大丈夫、田島くんならきっと出来るよ。それじゃあねー」と告げてスタジオを後にしてしまい、翌日のレコーディングまでに譜面を書かなくてはならず、徹夜でスタジオに泊まり込んで譜面を書いたそうです。譜面自体はレコーディング開始1時間前に完成したものの、間違いだらけだったため、結果的にはブラスセクションのミュージシャンの手助けもあり、レコーディングが出来たものだったそうです。しかし、このホーンアレンジの経験から、以降のORIGINAL LOVEでのホーンアレンジやストリングスアレンジなどを田島さん自身で行えるようになったそうです。


※チャプター18、49:51からが「夜をぶっとばせ」です。
ですが、アルバム全体で聴くのもオススメです。

そして次はORIGINAL LOVE「夜をぶっとばせ -Let's spend the night together-」(1991年リリース、アルバム『LOVE! LOVE! & LOVE!』収録) です。



ORIGINAL LOVEでの活動に専念するために1990年にピチカート・ファイヴから脱退した田島さんは、メンバー・チェンジを経て1991年にシングル「DEEP FRENCH KISS」でメジャー・デビューし、その翌月には1st.アルバムとしては異例とも言える2枚組のアルバム『LOVE! LOVE! & LOVE!』をリリースします。インディーズ期が長く、またメンバー・チェンジがあったことから、アルバムはインディーズ時代の再録、セッションから生まれた曲などが収録されましたが、この「夜をぶっとばせ」もセルフ・カバーという形で小西さんの詞をそのままに再録されました。こちらはベスト・アルバムにも収録されるなど、現在ではORIGINAL LOVEの曲としての認知度が高い曲です。基本的にはアレンジに差異はありませんが、ホーンセクションがORIGINAL LOVE版ではメンバーの森宣之さんのサックスのみになっていたり、イントロのハイハットが16ビートになっていたりするなどの違いがあります。




ソウル色のあるピチカート版と、ロック色の強いオリラヴ版、どちらが好みでしょうか?聴き比べて見てください。