ロマンティックなメイク・ラヴ。桑田佳祐「可愛いミーナ」 | よねともが気ままに思うブログ

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本日は桑田佳祐「可愛いミーナ」(2002年リリース、シングル「東京」カップリング) です。




2001年にソロ活動を再開させた桑田さんは、コカ・コーラとのタイアップを展開させます。第1弾は、当初サザンオールスターズとして制作を進めていたソロ再開作「波乗りジョニー」でした。それまでサザンとソロでは音楽性を分けてきていましたが、「波乗りジョニー」はサザンとの差別化を無視したサウンドで、前年のサザン「TSUNAMI」の勢いそのまま、またコカ・コーラのCMソングとして大量にオン・エアされたこともあり、ソロ初のミリオンセラーとなります。続く第2弾の「白い恋人達」はサザンでもあまりないウィンターソングで、尚且つ桑田さんがピアノを弾き語りするという話題性もあり、「波乗りジョニー」を越える売上で連続ミリオンセラーとなり、2作とも曲の完成度の高さも相まって、現在では桑田佳祐の代表作となっています。そして2002年になりコカ・コーラタイアップ第3弾となったのがこの「可愛いミーナ」です。

「波乗りジョニー」「白い恋人達」は共に桑田さんがCMに出演していましたが、「可愛いミーナ」では桑田さんは出演せず、当時まだ若手だった女優の香里奈さんが出演していました。

「波乗りジョニー」から続くポップ路線は、「白い恋人達」を経てこの「可愛いミーナ」に辿り着きます。同時に2002年はポップ路線に見切りを付けて、サザンではあまり無かったハードロック路線を展開するようになります。「可愛いミーナ」はシングルA面候補でしたが、制作中のアルバム『ROCK AND ROLL HERO』との繋がりをもたせるため、敢えてノンタイアップの「東京」をシングルA面にし、「可愛いミーナ」はカップリングとなりました。

「可愛いミーナ」は「波乗りジョニー」と同様に元々はサザンオールスターズの曲として制作が始まりましたが、「TSUNAMI」の大ヒットの影響で「茅ヶ崎ライブ」や「HOTEL PACIFIC」の制作を優先させたため、一時的にストップし、ソロ活動再開後にCMソングとして本格的に制作を再開させました。CM用にサビしか最初は制作されていませんでしたが、CD化に伴いサビから内容を膨らませてフルコーラスで作られました。

ポップなキーボードやサビのシンセのバンジョーは原由子さんと桑田さんによる演奏となっています。ドラムは松田弘さんが演奏するなど、サザンで作られていた名残があります。ノスタルジックなガット・ギターと、60年代ロックのエレクトリック・ギターはいずれも小倉博和さんによるプレイ。何処か懐かしく、何処か新しいポップな仕上がりになっています。

歌詞は男が女性(これがタイトルの「ミーナ」)にお熱になるものの、別れを迎えてその愛した足跡を振り返るとともに、また生まれ変わっても同じ女性を愛したい、と想う内容。サビの

ロマンティックが終わる時 独りぼっちの夜が来る

は、所謂「メイク・ラヴ」が終わる男性の虚しさを切実に写した様子。桑田さんによるこうした表現は「LOVE AFFAIR ~秘密のデート~」でも出てきますが、好きな表現の一つです。また、促音("っ"を使ったつまる言い方)を有効的に使用し、尚且つ韻を踏んでいます。(前述の歌詞もその一つです。) 歌詞には"Johnny Guitar"(ジャニー・ギター、アメリカのブルース・ギタリスト)や"モップ・トップ"(マッシュルームカットのこと、ザ・ビートルズが行い、モップのように見えたことから付いた名称) など、桑田さんが聴いて育った60年代の用語が散見されます。

現在も、綾瀬はるかさん主演のユニクロ「LifeWear」のCMソングに起用されるなど、桑田佳祐の名曲として名高い作品となっています。私も桑田佳祐ソロ作のなかでもかなり好きな曲の一つとなっています。



2022.8.12 追記。

「コーラ」3部作がブログにて出揃いました。宜しければこちらもどうぞ。