怪談サークル とうもろこしの会 -277ページ目

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赤坂見附の駅で、巨体の集団に追いかけられる。
本当に何が起きたのか、自分でもよく分からない。
かいつまんで話すと
構内を永田町に向かって歩いていると
全員100kgをゆうに超えている男女7,8人の集団が
興奮した様子でなにかを叫びながら
背後から猛スピードで走ってきたのだ。
ナショナルジオグラフィックで見た、アメリカバイソンの群れを思い出した。
恐怖にかられて小走りで逃げる僕。
しかし向かう先が同じなのか、
ずっと僕の後を附いてくるオール100kgオーバーの集団。
当たり前の話だが、
地下鉄の構内には柱があったり分岐があったりするので
自然と道が幾つかに分かれるようになっている。
そこを右に左に避けてやりすごそうと考える。

そして、ここからが本当に怖いところなのだが
僕がどんなに迂回したり、わざわざ壁際の狭い通路を通ったりしても
あいつらは、急いで!乗り遅れる!などと叫びながら
ずっとずっと、僕の後ろをぴったり正確に附いてくるのだ。
ご存知のとおり、赤坂見附駅から構内で繋がる永田町まで歩こうとすると、けっこうな距離がある。
その数百メートルをずっと、避けても避けても追いかけてくるのだ。
意味がわからないが、すごいプレッシャーだ。
僕も、最後の方には本当に「え!?え!?」と声に出して
先頭の女(こいつがずっと叫び続けていた)に対して
どういうつもりだよ!?といった表情で睨みつけながら
振り返り振り返り、全速力で逃げていた。
ついに南北線の永田町駅ホームに辿りつき
自分の乗る電車が目に入った時には
逃げ切った!と安堵したものだ。
だが次の瞬間
「もういいっ!私だけ乗るからねっ!」
背後からそんな叫び声が聞こえたかと思うと
先頭を走っていた女がラストの猛スパートをかけて
歩調のゆるんだ僕の背中に思いっきり衝突してきた。
僕は数メートル先の自販機までつんのめってしまったが
女は全くひるむことなく電車に乗り込んで行った。
バスケットボールのゴール下でいう、圧力の差というやつだろうか。
そして扉がしまり、走り去っていく電車。
「おいちょっとー」「一人で行っちゃったよー」などと呟きながら
ばらばらと階段を降りてくる、とり残された数名の100kg超男女。

これは本当にあった話で、本当に怖かったのだ。

いったい、あいつらは何者だったんだろう。


11/15


イベントをやったのだが、機材が重くて難渋する。
本や書類やらの資料の他に
20インチくらいのモニターとそれを支える足
Tシャツ5枚とノートパソコンという。
久しぶりにバックパックを押入れから出してしまった。
さらにマイクスタンドまで杖のように持っていたので
これからトレッキングですか的な風貌である。
ちょうどnivusさんが滝行の帰りで完全にアルピニストだったので
二人並んでみると、まったくもって怪談イベントぽくない。

それとイマニ副会長がまた不参加なので
我々の不仲説などが浮上してはマズいと思い
オープニングトークでキチンと説明しておいた。
「元々そんな友達とかじゃないので、仲が悪くなることはありません。他人と不仲になることなんてないですよね?そういうことです。誤解しないで下さいね」
身内にむけての冗談ノリで言ったのだが
意外に初めてのお客さんが多いことに、イベント後に気付く。
我々二人を個人的に知らないこともあり、かなりドン引きさせてしまったようだ。
オープニングトークとしてはこれ以下はないというほどに最低である。
でも、間違ったことは言ってなくない?


11/14


新しいネット動画サイトで、美味しんぼのアニメを発見し、また見始めてしまう。
時間が無為につぶされていく悪魔の番組だ。
なんとか逃れなくてはいけないと思い、
代わりに美味しんぼのマンガを読んで対応する。
ここ数年の巻は面白くないと思っていたが
老人の会話のようにユルユルのテンポが
意外と水木しげるっぽくて癖になるかもしれない
とも思うようになってきた。