掲題の今朝の読売社説。
日経同様に、読売もGDPプラスとは
何を根拠に主張しているのだろうか。
前期比での2期ぶりのプラス成長転換は疑わしい。
特に前年同期比でみると、4~6月期の実質GDPは
-0.8%のマイナス成長を記録しているに過ぎない。
日経に対する批判の繰り返しになるが、
4~6月期のGDPギャップは
負の-0.8%と総需要が総供給に足りない。
日本経済は景気が良いのではなく、
物価の趨勢的上昇というインフレに陥っており、
それが個人消費を抑えて、
消費と投資の好循環につながらず、
したがって、持続的な経済成長が生まれない。
したがって、まずもって、
インフレを抑制することが主たる任務である
日銀の金融政策の正常化が鍵になる。
しかし、今夏の日本発ブラックマンデーが示したように、
金利正常化となれば、急激な円高等の副作用が避け難い。
したがって、金利引き上げに際しては、
消費税率の恒久的引き下げが不可欠になる。
いずれにしても、4~6月GDP統計では
国内インフレと負の需給ギャップ継続という
スタグフレーション色が濃厚であることを示唆している。
賃上げ継続で成長力など高められない。
賃上げはインフレ加速との悪循環になりなねず、
欧米では禁じ手である。
同社説にも猛省を促したい。
個人消費の回復は朗報だが、先行きは楽観できない。経済の好循環を実現するには、物価高を上回る賃上げを持続していくことが不可欠だ。
2024年4~6月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比の年率換算で3・1%増だった。プラス成長は2四半期ぶりだ。GDPの過半を占める個人消費が前期比1%増と5四半期ぶりに増加に転じたことが大きい。
自動車販売が大きく伸び、個人消費の上昇分の約半分を占めた。エアコン需要も堅調で、外食や衣服の消費も上向いたという。
内需のもう一つの柱である企業の設備投資も0・9%増と2四半期ぶりのプラスとなった。
日本経済は、物価高で節約志向が強まり、個人消費の弱さが懸念されてきただけに、復調の兆しが見えたのは好材料だと言える。
ただし、消費や設備投資のプラス転換は、ダイハツ工業が、認証不正問題で止めていた車の出荷を再開したという一時的な要因もあり、先行きの警戒は怠れない。
今春闘の賃上げ率は33年ぶりの高い水準で、物価変動の影響を除いた実質賃金は、2年3か月ぶりにプラスに転じた。
内需主導の成長を実現するには、高い賃上げを消費拡大につなげていくことが必要である。
一方、物価の影響を含めた名目GDPでみると、年換算で607兆円と初めて600兆円を突破した。安倍内閣が15年に掲げた目標を9年かけて達成した。
名目GDPが500兆円を超えたのは1992年度だ。30年以上かけて100兆円増やした形だが、その間、経済は停滞し、ドル換算で中国とドイツに抜かれ、世界2位から4位に転落した。
日本が国際的に高い存在感を維持する上で、名目GDPを伸ばしていくことは欠かせない。
また、600兆円に到達したとはいえ、インフレのかさ上げ要因が大きく、賃上げも追いついていないため、豊かさの実感が乏しい課題も政府は直視すべきだ。
GDPは、名目と実質のいずれも増やすことが大切だが、経済の実態をより示すのは、物価の影響を除いた実質GDPである。
実質GDPを伸ばすには、政府の成長戦略の練り直しや企業の生産性向上が求められる。
さらに成長の果実を賃上げに還元し、「成長型経済」へと移行していくには、大手企業がコスト上昇分について、適正な価格転嫁を認め、中小企業の賃上げ余力を高めることが必須になろう。