トヨタ系に公取委勧告 時代錯誤の下請けいじめ | 元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

「経済崩落7つのリスク」、
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「日本復活のシナリオ」等の著者による世界経済と国際金融市場のReviewとOutlook

「国家の盛衰を決めるのは、政治経済体制が収奪的か包括的かの差にある」(アシモグルら)

掲題の今朝の毎日社説。

かなり説得的。

ご参考まで。

 

 

   大企業の下請けいじめが、また発覚した。

 

 公正取引委員会がトヨタ自動車の子会社、トヨタカスタマイジング&ディベロップメントの下請け法違反を認定し、再発防止を求める勧告を行った。同法は発注元の大企業が優位な立場を利用して、下請け企業に不合理な取引を強いることを禁じている。

 

 市販車を改造するマニア向け部品などの製造に必要な「金型」を、下請けメーカーに無償で長期間保管させていた。2022年7月以降だけで、保管を強いられた企業は49社に上り、倉庫の賃料などの負担は総額数千万円に達する可能性がある。

 

 いずれも自社のコスト抑制が狙いとみられる。公取委は「不適切な取引慣行が長年続いてきた」と指摘する。

 

 政府は19年に是正を促す指針を策定した。だが、業界最大手のトヨタグループで違反が続いていたことは深刻と言わざるを得ない。

 親会社としてのトヨタの責任は重い。車の量産に必要な「型式指定」の認証を巡っては、ダイハツ工業など系列3社に加え、トヨタ本体の不正も発覚している。グループ全体のガバナンスの立て直しを急がなければならない。

 

 日産自動車も今年3月、製造委託先への支払代金を不当に引き下げたとして、公取委から勧告を受けた。自動車各社は、トヨタや日産を他山の石として、不適切な商慣行がないか再点検すべきだ。

 公取委が23年度に下請け法に基づき、支払い遅延や買いたたきなどで大企業を指導したケースは8000件を上回った。勧告は13件と、前年度からほぼ倍増した。

 

 トヨタをはじめ大企業の業績は好調だが、下請け企業の犠牲の上に成り立っているとすれば、健全とは言えない。弱い立場につけ込んで利益を搾取するような時代錯誤の慣行とは、一日も早く決別すべきだ。