掲題の今朝の朝日社説。
比較的説得的だが、
問題なしとしない。
個人消費の弱さには10%消費税率と
インフレ税のダブル・パンチ
(厳密にはそれらの掛け算部分を含めたトリプル・パンチ)
で個人あるいは家計部門の
実質可処分所得が落ち込んでいる影響が大きい。
つまり、物価安定を最優先しなければ、
個人消費の回復は期待できない。
しかし、未だに①インフレ下で名目ゼロ政策金利を続けて
実質金利をマイナス圏に
大きく沈み込ませるような
大胆な金融緩和を継続して、
②機動的な財政政策と称して
一時的でその場限りの財政バラマキを続けて、
③成長戦略と称して
お友達優遇のパーテイー券付きの
恣意的で利権誘導の産業政策を続ける
3本の矢から成るアベノミクスの
3番煎じに過ぎないキシダノミクスと、
その番犬に成り下がるかのように、
物価と通貨の安定を蔑ろにする植田日銀。
つまり、このように、インフレ下にもかかわらず、
アベノミスの三番煎じを続ける限り、
一方で、物価安定と持続的な経済成長は
いつまでも期待できず、
他方で、株式、不動産、為替レート等の
資産バブルの一段の増幅は必至だろう。
バブルはいつかは弾ける。
問題はそのタイミングだけだ。
これらの意味で、同社説は一理あるものの、
遺憾ながら、問題なしとしない。
個人消費の弱さを示す統計データが相次いでいる。景気全体は回復基調とされるが、家計が財布のひもを締めざるをえない状況が続いているのは、軽視できない。日本銀行は金融緩和を縮小する局面に入ったが、今後の政策判断にあたっては、消費の動きを十分に吟味すべきだ。
日銀が今月発表した企業短期経済観測調査では、大企業・非製造業の景況感が4年ぶりに悪化した。小売業の落ち込みが大きく、物価高の下で消費者が節約志向を強めているのが響いたようだ。GDP統計の家計消費支出も、物価の変動を除いた実質で今年1~3月期まで4四半期続けて減っている。
だが、日銀は先月の金融政策決定会合でも、個人消費が「底堅く推移している」との判断を維持した。春闘の結果が賃金に反映されることなどで「実質所得の伸び率の低下がだんだん止まっていって、消費が強めの動きに転じていく」(植田和男総裁)とみているためだ。
とはいえ、予断は禁物だ。確かに今後、名目賃金は一定の伸びを示すとみられるが、物価も電気・ガス代の上昇や円安による輸入品の値上がりが続く可能性がある。植田総裁も「為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある」と認めている。
実質賃金がはっきりと増加に転じ、消費を下支えするようになるには、まだ時間がかかるおそれが否定できない。金融緩和度合いの調整にあたっては、様々な経路での消費への影響を丁寧に分析する必要がある。経済の好循環を実現するには、高収益が続く企業による積極的な賃上げの継続が不可欠であることも、改めて確認すべきだ。
一方、日銀は今月末の会合で、国債買い入れの減額計画を決める。3月に異次元緩和を終了した際に、今後は国債買い入れを「能動的な金融政策の手段としては用いない」と表明しており、先々の予定をあらかじめ示すのは必要な対応だろう。市場参加者の声にも耳を傾け、予期せぬ混乱を招かないように計画を練ってほしい。
ただ、「能動的な手段」にしないとしても、日銀が国債保有を減らせば、長期金利に相応の影響が出るとみるのが自然だ。日銀が先月公表した論文も、異次元緩和の過程では日々の買い入れよりも保有残高の増加による影響が強かった、と分析している。
600兆円近い国債残高の縮小は日銀にとって未知の作業だ。経済と物価への影響に目を配りつつ、適切な政策判断を行っていく必要がある。