掲題の今朝の毎日社説。
かなり説得的。
ご参考まで。
地球温暖化によって自然災害が激甚化している。2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする歩みを加速しなければならない。
政府の「地球温暖化対策計画」に35年以降の削減目標や対策を盛り込む改定作業を、環境、経済産業両省が始めた。現在掲げる「30年度までに13年度比46%減」に、どこまで上乗せできるかが焦点となる。
国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、世界全体で35年に19年比で60%減らす必要があると分析した。日本の基準年である13年度比では66%減に相当する。
![日本の温室効果ガス排出量の推移と削減目標](https://cdn.mainichi.jp/vol1/2024/07/06/20240706ddm005070161000p/9.jpg?1)
近年の国内排出量は、企業の海外移転やコロナ禍による経済活動の停滞を背景に減少傾向が続いてきた。だが、景気回復や社会のデジタル化で、今後の電力需要は増えると予想されている。
中長期的な電源構成を決める「エネルギー基本計画」の見直し議論も進む。需要と供給両面での対策強化が欠かせない。
しかし、先進国には温暖化を招いた責任がある。主要7カ国(G7)は今年の首脳会議で、IPCCの分析に沿った35年目標を盛り込んだ首脳宣言を採択した。日本は技術力を生かし、取り組みをリードしたい。
住宅への太陽光パネル設置などを資金面で支援する施策を強化すべきだ。炭素税や排出量取引制度に代表される「カーボンプライシング制度」の本格導入も急ぐ必要がある。
昨年の世界の平均気温は観測史上、最も高かった。このままのペースで排出が増えれば、異常気象はさらに深刻化しかねない。
温暖化は人類が直面する今世紀最大の環境問題である。国民や企業に行動変容を促す政策を提示するのが政府の役割だ。