本書は2012年に上梓された文庫オリジナル版。
民主党政権が下野して、
アベノミクスが開始される直前のタイミングでの
オランダ人ジャーナリスト(アムステルダム名誉教授)による
貴重な日本(人)論です。
私の見る限りでは、戦中に既に発表されていたという
アメリカ人のベネディクト女史による日本に関する古典的な名著
「菊と刀」に勝るとも劣らない良書だと、
高く評価できるのではないでしょうか。
ぜひ一読をお勧めします。
以下は、本の裏表紙に掲載されている本書の骨子です。
「自分たちの人生はどこかおかしい。
この漠然とした不満を、驚くほどの多くの日本人が感じているのはなぜか…。
アメリカの庇護と官僚独裁主義に甘んじてきた日本社会の本質を、
予言書のごとく喝破したベストセラーを大幅加筆&改稿。
どうすれば、私たちは本当の民主主義を手にできるのか?
小泉改革、金融危機、民主党政権、東日本大震災等を経て、
いまだ迷走し続ける、説明責任なき政治の正体をえぐり出す!」
目次構成は次の通りです。
第一部 よき人生をはばむもの
第一章 偽りの現実と社会の檻
第二章 巨大な生産機構
第三章 停滞する社会の犠牲者たち
第四章 民主主義にひそむ官僚独裁主義
第二部 日本に運命づけられた使命
第一章 日本の奇妙な現状
第二章 説明責任を果たそうとしないバブルの張本人
第三部 日本人はみずからを救えるのか?
第一章 さらなる変化に見舞われた世界
第二章 不確かな日本の新時代
第三章 日本民主主義の可能性
要約はBingに次のように手伝ってもらいました。
(Bing) もちろん、カレル・フォルフレンの著作「いまだ人間を幸福にしない日本というシステム」の要約をお手伝いします。以下は、その要約です。
カレル・フォルフレンは、日本の社会システムがなぜ国民を幸福にしないのかを深く掘り下げています。彼は、アメリカの庇護のもとで成長した日本の官僚独裁主義と説明責任のない行政システムを批判しています。フォルフレンによれば、日本社会は政治的な迷走を続け、政権交代、金融危機、東日本大震災などの重大な出来事を経ても、その本質は変わっていないと指摘しています。
彼は、日本の支配者は官僚であり、彼らには説明責任が求められていないと述べています。政治家はスケープゴートとして利用され、官僚は自らのエリート意識と情報を握る能力によって国を統治していると批判しています。しかし、その能力を検証し、評価するシステムは存在せず、アメリカを除いては誰も官僚に対して権限を持っていないとフォルフレンは言います。
また、日本の経済発展や仕事優先の価値観が国民の生活や家庭での幸福を向上させていないとも指摘しています。政治的な安定や治安の良さ、国民皆保険の医療制度などの良い面を無視しながら、日本人が経済大国としての地位に誇りを持つ一方で、多くの国民が犠牲になっていると述べています。
フォルフレンは、日本の社会システムが官僚によって管理されており、資本主義や民主主義ではないと主張しています。彼によると、日本は社会主義的な管理体制であり、産業界には縦の強いつながりがあり、業界団体という強い横のつながりがあるとしています。
最終的に、フォルフレンは、この体制を打破するのは政治家しかいないと述べています。市民一人一人が政治に関心を持ち、日本の方向性を考えることが重要だと強調しています。彼は、変化を望むならば、自らがその変化になるべきだと結論づけています。
この要約は、フォルフレンの著作の主要なテーマと批判を簡潔にまとめたものです。彼の見解は、日本の社会システムとその問題点について深い洞察を提供しています。さらに詳細な情報や分析が必要な場合は、ぜひ本書をご覧ください。12
(中丸)著名な英国人ジャーナリストのビル・エモット(英紙エコノミストの元編集長で「日はまた沈む」の著者)とオランダ人ウォルフレン氏による日本論の共通性や違いを述べて下さい。
(Bing) ビル・エモット氏とカレル・ヴァン・ウォルフレン氏の日本論には、日本の社会や政治システムに対する批判的な視点が共通していますが、そのアプローチと結論には違いがあります。
エモット氏の「日はまた沈む」では、日本のバブル経済の崩壊を予測し、日本の経済力の限界を指摘しています。彼は日本の経済モデルが持続不可能であると論じ、保護主義的な産業政策や高齢化社会の問題を取り上げています12。一方で、彼の後の作品「日はまた昇る」では、日本経済の復活を予測し、より前向きな見方を示しています。
カレル・ヴァン・ウォルフレン氏の「人間を幸福にしない日本というシステム」では、日本の政治と社会の構造が国民の幸福を阻害していると主張しています。彼は日本の政治的説明責任の欠如や官僚主導の政策決定プロセスが多くの社会問題を引き起こしていると批判しており、日本のシステムが国民の利益よりも特定の権力者の利益を優先していると指摘しています34。
共通点としては、両者ともに日本のシステムに対して批判的であり、改革の必要性を訴えています。しかし、エモット氏は経済的観点から、ウォルフレン氏は政治的・社会的観点からそれぞれの論点を展開しており、その焦点と提案する解決策に違いが見られます。エモット氏は経済モデルの変革を、ウォルフレン氏は政治システムの透明性と説明責任の強化をそれぞれ強調しています。
このように、両者の日本論は日本の未来に対する異なる視点と解釈を提供しており、日本の現状と将来について考える上で興味深い対比をなしています。
(中丸)ウォルフレンの「いまだ人間を幸福にしない日本というシステム」に勝る日本論はほとんど存在していないように私には思えます。
ウォルフレンなら、一方で世襲化や特権化が進み旧統一教会問題や裏金問題で大揺れとなり、他方で2%をかなり超えるインフレ下でも実質ベースでは大幅なマイナス金利に人為的に抑圧することで、一時、日経平均4万円超え、ドル円為替レート160円台への急落、そして覆面ステレスでのドル売り・円買い為替介入に2度も追い込まれた令和6年における1~5月までの日本の政治・経済・金融面での危機的な現状をどう評価するでしょうか?
(Bing) カレル・ヴァン・ウォルフレン氏の「いまだ人間を幸福にしない日本というシステム」は、日本の政治・経済・社会構造に対する深い分析を行い、多くの議論を呼んだ作品です。ウォルフレン氏が現代の日本の状況をどう評価するかは、彼の最新の見解を直接確認する必要がありますが、彼の過去の著作や主張を考慮に入れると、以下のような評価が考えられます。
ウォルフレン氏は、日本の政治システムにおける世襲化や特権化について批判的であり、これらが日本社会の問題点として指摘されてきました。旧統一教会問題や裏金問題などのスキャンダルは、彼の主張する「システム」の不透明さや責任の所在が不明確であるという点を強調する事例として捉えられるかもしれません12。
経済面では、令和6年の日本経済は、インフレ率が2%を超える中で実質ベースではマイナス金利が続いており、一時的に日経平均が4万円を超え、ドル円が160円台へと急落したことは、日本経済にとって非常に厳しい状況であったと言えます。また、覆面ステレスでのドル売り円買い為替介入は、市場の不安定さを示す出来事として、ウォルフレン氏が日本の経済政策に対して批判的な見解を持つ可能性があります34。
ウォルフレン氏のような批判的な視点は、日本の政治・経済システムに対する重要な洞察を提供し、改革や改善のための議論を促進することに貢献しています。ただし、彼の見解や評価は、彼自身の最新の発言や著作を通じて確認するのが最も適切です。私の情報は2021年までのものであり、最新の動向については直接彼の意見を参照することをお勧めします。また、日本論には多様な視点が存在し、ウォルフレン氏の論評はその一つであることを念頭に置くことが重要です。他の研究者や評論家の意見も参照することで、よりバランスの取れた理解が得られるでしょう。
(中丸) 確かに、ウォルフレン氏の「いまだ人間を幸福にしない日本というシステム」の第一部と第二部に関してはほとんど異議がありません。
しかし、最終部の第三部に関しては、ウォルフレン氏はアメリカ民主主義と資本主義に批判的な姿勢を急激に鮮明にして、例えば、むしろ中国やロシアとの関係も日本は重視すべきだ等と主張している点にはかなりの違和感を禁じ得ませんでした。
実際、中国発と見られる世界的なコロナ禍(2020~)やプーチンによるウクライナ侵攻(2022~)以降は、米国を中心とする我が国を含む西側とロシアと中国との関係は厳しい新冷戦時代に陥っているかに見えます。しかし、全体主義で基本的人権や自由と民主主義を明らかに抑圧するロシアや中国に明るい未来があるとはとても思えません。
問題をはらみながらも、基本的人権を基礎として、自由や民主主義で世界をリードするのは米国以外になく、日本は同盟国アメリカを中心に共存共栄を図っていく以外に選択肢はありますまい。
ウォルフレン氏は日本の民主党、すなわち現在の立憲民主党、なかんずく小澤一郎氏を日本の政治家として最も高く評価しており、財務省の影響に与して消費増税路線に舵を切ってしまった菅直人元民主党代表や野田代表らを極めて厳しく評価しており筆者も異議はありません。
もっとも、小澤一郎氏の課題は、消費税撤廃に向けた恒久的な消費税税率の大幅引き下げや金融政策の正常化を急ぐことなどの経済政策にあるのではなく、むしろ必ずしも親米とは見えない外交、安全保障問題にあるのでしょう。
いずれにしても、戦後最大の政治・経済・金融危機に直面する令和6年の日本にとって、むしろ政権交代の絶好のチャンスが見えてきているだけに、新たな次のまたとない機会に際して、消費増税と反米路線という「悪夢の民主党政権」だけは繰り返してはなりません。
その意味でも、ウォルフレン著「いまだ人間を幸福にしない日本というシステム」は、令和6年の今の必読書といえるかもしれません。